酒屋に聞く

“お酒と会える場所をつくりたい”京都駅の角打ち&酒屋「SiZUK-サケノシズク-」の取り組みに迫る。

京都駅から徒歩5分、アクセス抜群のところにある日本酒専門店「SiZUK-サケノシズク-」。「買って帰るもよし、その場で飲むのもよし」の角打ちスタイルで店を営む佐々木一真さんに、日本酒への取り組みについて伺った。

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京都駅近くのおしゃれ角打ち&酒屋[SiZUK-サケノシズク-]
全国の酒蔵に店主さん自ら足を運び厳選された銘柄が揃う。
グラス1杯から有料試飲も楽しめるとあって若い世代や外国人観光客にも人気だ。
また店主の佐々木さんは「お酒と会える場所をつくりたい」と日本酒イベントのなども開催し、日本酒勉強会など幅広い世代に日本酒の魅力を伝えている。
今回は[SiZUK-サケノシズク-]の日本酒に対する真摯な取り組みをインタビュー。

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SiZUK-サケノシズク- ディレクター佐々木一真さん
プロフィール
京都の飲食店で15年にわたりさまざまな経験を積む。その傍ら、日本酒の文化を伝える「MASU PROJECT」を発足。2022年11月に角打ちの酒店「SiZUK-サケノシズク-」を開業。実家は京都市中央市場でマグロ店を営む。

1.  洒落たカウンターで気軽に日本酒を楽しむ

―すごくスタイリッシュなお店ですね。
早速ですが、なぜ店を開業しようと思われたのですか?

佐々木さん「全国各地にはいろんな蔵元があり、美味しいお酒が数多くあることをたくさんの人に伝えたいと思ってです。特に日本酒にあまり馴染みがない若い人にも知ってほしいので、気軽に立寄れるような外観と内装にしました。」

―常備、何種類くらい揃っているのですか?

佐々木さん「約80種類くらいでしょうか。取引している15の蔵元さんより直接仕入れ、普段あまり見かけないお酒も揃えています。季節によっても変わり、飲み比べもできますよ。」

―なぜ角打ちの形にされたのですか?

佐々木さん「飲食店だったら仕入れるときに、試飲して購入することもできますが、一般のお客さんの場合、味見なしですよね。それって一発勝負の賭けのようなもの。それなら有料で試飲できるスタイルにして、好みの味を購入してもらおうと思ったからです。日本酒バーのように使ってもらってOKですよ。」

冷蔵ケースには4合サイズがズラリと並ぶ。一升瓶だと家の冷蔵庫では大きすぎると考えてのこと。

2. あまり知られていない名酒を味わってほしい

佐々木さんおすすめの銘柄をお聞きした。
取引している酒蔵には全て足を運ぶという。
お酒の情報はもちろん、お酒への想いや、蔵人の人柄もお客さんに伝えたいとのこと。
佐々木さん「京都ではあまり出回らない珍しいお酒や銘酒を味わってほしいですね」

帰農2 KINO、純米酒、720ml グラス600円
元坂酒造株式会社(三重県)、アルコール度数16度、精米歩合65%

「全ての産業は農に帰する」をコンセプトに米造りからこだわり、山田錦の祖と言われる酒米「伊勢錦」を復活させた。芳醇なお米の旨みが表現され、穏やかで洗練された味わいが堪能できる。

萩錦 生酛 純米酒 720ml グラス500円
萩錦酒造株式会社(静岡県)、アルコール度数15度、精米歩合65%

時間も手間もかかる昔ながらの製法「生酛造り」で造られた銘酒。柔らかく温かみのある味わいで軽やか。常温でも熱燗でも美味しく飲める。食中酒としても最適。

佐々木さん「若いご夫婦が二人三脚で造られたもので、ほとんど流通されない希少なお酒。料理に寄り添ってくれる感じがイイですね。造り手のお二人は『涼しいお酒』と評されていました」。

生粋左馬 純米吟醸 720ml グラス500円
有賀醸造合資会社(福島県)、アルコール度数14度、精米歩合50%

ふくよかな味わいと後味の余韻とのバランスがよい。麹が生み出すきれいな甘み、艶やかさが印象的。アテがなくてもお酒単体でも存分に楽しめる。

佐々木さん「“一生の粋な酔い”をモットーに、世界に誇れる日本酒の醸造を実践されている蔵元です。香りもよく、味わいもあり、それでいて重くもない、みんなが美味しい!と感じるお酒やと思いますね。」

LIBROM Lemon  Verbena、その他の醸造酒、500ml、グラス600円
株式会社LIBROM Craft Sake Brewery(福岡県)、アルコール度数9度、精米歩合92%

福岡県産のレモンバーベナというハーブを使ったクラフト酒。お米由来の自然な甘さに、爽やかな酸味で飲み心地がよい。ハーブ由来の香り、低アルコールであることから女性に人気。

佐々木さん「今、話題のクラフト酒ですが、京都では取り扱いが少ないです。今まで日本酒に馴染みがない方に、ぜひ一度、飲んでいただきたいですね。他にもカカオなどフレーバーを使ったクラフト酒があります」。

3. 郷土料理や日本酒に合う個性的な肴

―酒のアテも用意されていますね。

佐々木「『肉みそバリバリピーマン』や『山椒タプナード』など京都の人気飲食店の酒の肴と、地方の郷土料理を提供しています。写真のお酒と料理は、どちらも福島県産です。程よい山椒の香りとやわらかな口当たりのお酒、とても相性のよい組み合わせだと思いますよ」。

料理メニューには、ご実家の京都市中央市場から季節のアテもあり楽しみだ。

にしん山椒漬け・500円
脂ののった身欠きにしんを醤油やみりんをベースにしたタレに山椒を一緒に漬け込んだ、会津の代表的な郷土料理。さわやかな山椒を合わせることで魚の臭みを消し、風味豊かな仕上りに。

廣戸川、特別純米、720ml グラス500円
松崎酒造株式会社(福島県)、アルコール度数15度、精米歩合55%

「真っ直ぐ真ん中に入ってきて、飲み手の心をグッとつかむお酒」と佐々木さんが言う通り、香りは控えめで、ちょうどいい味わい、なめらかで親しみやすい味。酒屋の店主からの推しが多いとか。

4. 新しいカタチで、日本酒を若い世代に広める

―主催する「MASU PROJECT」ではどんな活動をされているのですか?
「10月1日の「日本酒の日」に合わせて催される、全国規模のはしご酒イベント「日本酒ゴーアラウンド」に参加しており、2023年も関わりました。担当した京都では、33の出展店舗と蔵元が協力してくださり、おかげさまで盛況でした。
クラブを貸し切って、DJによる音楽とお酒、料理を楽しむ新しいカタチのイベントも昨秋に開きました。今後も間口を広げて、日本酒に親しみのない世代にもアプローチしていきます。」

―オープンされて1年余年が経ちましたが、今後の展望を教えてください。

佐々木さん「日本人がずっと昔から親しんできた日本酒は『國酒(こくしゅ)』だと思っています。ですが、今は消費が以前より減り、造り手も世代交代がうまくいかず廃業されるところも少なくありません。日本酒の魅力を伝えるとともに、若い蔵元を応援していきたいですね。ゆくゆくは焼酎も…と考えています。」

佐々木さんは、今から10年前の25歳のときに「きれいな味わい」の地酒に出合い、日本酒の虜になったとか。このお店が、そんな素敵な巡り合いの場所になっているのでしょうね。

SiZUK-サケノシズク-

SiZUK-サケノシズク-

住所
京都府京都市下京区西境町162Googlemapで開く
TEL
075-748-1062
HP
https://sizuk.net/
営業時間
11:00~20:00、金曜・土曜11:00~24:00
定休日
月曜休

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