水陸の要衝として日本酒文化に貢献!滋賀県内にある酒蔵の日本酒を紹介!
世界に20しかない貴重な古代湖であり、日本一の大きさを誇る「琵琶湖」を中心にした滋賀県。日本酒造りに重要となる水に恵まれた環境から、これまで数多くの銘酒を生み出してきた。本記事では滋賀県内の酒蔵とおすすめ銘柄を紹介すると同時に、滋賀酒の特徴と歴史を振り返る。
滋賀県は中央に県土の総面積の約6分の1を占める琵琶湖を有し、周囲を伊吹、鈴鹿、比良など1,000メートルを超える山々に囲まれている。こうした山々から流れ出る数多くの河川が日本酒造りに必要な水を恵み、扇状地である近江盆地では古くから良質な米が古くから収穫されてきた。
都に近く、交通の要衝として栄えたことから老舗酒蔵の数も多い。全国でもトップクラスの歴史を持つ蔵も。江戸時代には滋賀県内にある農村には必ず酒造業者が存在していたという。
製造する日本酒は湖魚を甘辛く煮た郷土料理など、濃い味付けによく合う濃厚な旨口が特徴。幅広い温度帯で楽しめる、飲み飽きしない味わいが多くのファンを唸らせている。
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INDEX
古くから水陸の要所として活躍した滋賀県
滋賀県は京都に近かったことに加え、琵琶湖を有することから古くから水陸交通の要衝として栄えた。東海道、中山道沿いの宿場町には数多くの酒蔵が存在し、一部は現在にもその姿を残している。
江戸時代、近江商人達は西日本だけではなく関東方面にも活動範囲を広げ、「江州店(ごうしゅうだな)」として各地に醸造技術を伝播していった。
こうした歴史背景から、現在でも北関東から東北には近江商人をルーツにする酒蔵も少なくない。
明治時代には、大津に「北国屋(能登屋)」呼ばれる能登杜氏を紹介する職業斡旋所が存在し、県内や京都山城方面へ当時を斡旋した記録が残っている。滋賀県が各地の酒造業へ与えた影響は非常に大きい。
豊富な水源に加えて、古くから良質な米が収穫される地域としても知られている。
「滋賀渡船6号」「吟吹雪」といった酒米に加えて、「みずかがみ」「日本晴」などの食用米が県全土で栽培されている。
2022年4月には、国税庁より清酒にてGI「滋賀」の指定を受け、国内外へのブランド力を強化。県内全ての酒蔵の純米酒をブレンドする企画を実施するなど、滋賀県酒の認知度向上へ向けた取り組みを積極的に進めている。
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①「喜多酒造」
1820年(文政3年)創業。
[喜多酒造]は琵琶湖の東部に広がる穏やかな平野、豊かな近江米の実りに恵まれた八日市市(現在の東近江市)に江戸時代より酒蔵を構えている。「喜び、楽しく、酒を飲みながら、長生きをしていただけるように」との願いが込められた「喜楽長」は、創業当時から続く銘柄だ。
現在は代々受け継がれてきた酒造りへの想いを、父と娘の二人三脚で継承しながら、変わらぬ味わいを守り続けている。
『おススメの1本!』喜楽長 辛口純米吟醸
「旨味のある辛口酒が呑みたい」という想いから醸される一本。
トップには麹由来の米の旨味が感じられ、その後口中で広がる辛味の余韻が特徴。喜楽長ならではの造りこまれた麹によって、米の旨味と日本酒度+14の辛味が両立した唯一無二の味わいに仕上がっている。
辛いだけではない、日本酒本来の旨味、そして変化する余韻の辛味にぜひ注目してほしい。
特定名称:純米吟醸
原材料:米(国産)、米こうじ(国産米)
使用米:山田錦
アルコール度:17%
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- 喜多酒造
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②「笑四季酒造」
1892年(明治25年)創業。旧東海道の水口宿で「竹島本家」として創業したのが笑四季酒造だ。
「笑四季」とは、口にした時に思わず笑みがこぼれるような美酒を醸す意気込みを表しており、2代目が命名者だ。
現在は5代目蔵元兼醸造責任者竹島允彦氏の元、すべて純米仕込みで醸造アルコールや乳酸添付無しの生酛づくりとし、きれいな甘さの酒質中心の酒造りを進めている。
『おススメの1本!』笑四季 貴醸酒 モンスーン 山田錦
仕込み水に酒を使用する貴醸酒のシリーズであり、滋賀県産山田錦を使用。
その味わいは、浮世絵師の東學氏が描くラベルが物語るように、どこか耽美な世界に引き込まれるよう。青々とした果実を思わせる芳香があり、凛とした味わいと適度な甘さが特徴。和製ソーテルヌとも称される極上の旨味が楽しめる。
特定名称:-
原材料:米(国産)、米こうじ(国産米)
使用米:山田錦
アルコール度:17%
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- 笑四季酒造
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③「上原酒造」
文久2年(1862)創業。冬の寒さの厳しい琵琶湖の北西にて、米の味をしっかりと引き出す古典的な酒造りを現在でも続けているのが上原酒造だ。
もろみをしぼる上槽の工程では、石をおもりにした「木槽天秤しぼり」と呼ばれる手法を採用。江戸時代にも遡る酒造りの原風景を現在でも確認できる。
酵母無添加の山廃仕込や木桶による仕込など、いにしえの酒造りを推し進める一方、全自動精米機で自家精米を行うなど理想の酒造りに余念がない。
『おススメの1本!』不老泉 山廃仕込 純米吟醸 亀の尾 無濾過生原酒
青森県で契約栽培した亀の尾を使用。お米を炊いたようなふくよかな香りに、青草のような爽快感、穀物のような香りが感じられる。
亀の尾の特徴であるきれいな酸味と心地よい苦みの絶妙なバランスに加え、山廃仕込の濃醇さの中に亀の尾の特徴が伝わる一本。きれいな酸味がお酒の口あたりの良さにつながり、苦みが良いアクセントとして楽しめる。
特定名称:純米吟醸
原材料:米(国産)、米こうじ(国産米)
使用米:亀の尾(青森県産)
アルコール度:17%
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- 上原酒造
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④「竹内酒造」
1872年(明治5年)創業。比叡おろしが吹く冬の寒さに鈴鹿山麓の伏流水、そして上質の近江米と美酒が生まれる条件に恵まれる。
蔵のある近江の石部は、江戸時代には宿場町としてにぎわい、「この地にはうまい酒がある」と旅人の間で評判だった。
伝統を守りつつ、一方では現代のニーズに合わせたバリエーションの豊富さも特色。米の旨味を引き出した味わい深くキレのある酒質を目指し、蔵人同士チームワーク良く酒造りに励んでいる。
『おススメの1本!』AI~アイ~
チャットGPTと画像生成AIにより生まれたお酒。チャットGPTと竹内酒造が会話し、会話内容を画像生成AIにプロンプトとして反映させて生まれたのが「AI~アイ~」だ。
特別純米無濾過生原酒で、旨みが強くしっかりとした味わい。食中酒として幅広いシーンで楽しめるだろう。
特定名称:特別純米酒
原材料:米(国産)、米こうじ(国産米)
使用米:日本晴
アルコール度:17%
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- 竹内酒造
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⑤「藤居本家」
1831年(天保2年)創業。
仕込み水は鈴鹿山系の伏流水、酒米は滋賀県産の酒造好適米の新米を使用し、能登杜氏と蔵人が酒造りを行う。
ブランドのひとつ「旭日」は、勢いが盛んなことを意味する「旭日昇天(きょくじつしょうてん)」という言葉に由来する。酒米を贅沢に磨いた純米大吟醸や、30年以上熟成させた古酒、季節のおすすめなどバリエーション豊かな「旭日」が造られている。
『おススメの1本!』旭日「煌々 -きらら-」純米大吟醸
2019年のG20大阪サミットの際に提供された純米大吟醸酒。
酒米は、琵琶湖など周辺の環境に配慮して生産される「滋賀県産環境こだわり農法米」の酒造好適米「滋賀渡船二号」を100%使用。「滋賀渡船二号」の旨みと、華やかな吟醸香、まろやかな飲み口に特徴がある。ひやか冷酒でゆっくりと楽しんで。
特定名称:純米大吟醸
原材料:米(国産)、米こうじ(国産米)
使用米:渡船二号(滋賀県)
アルコール度:15%
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- 藤居本家
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水と歴史が織りなす滋賀酒の魅力!
滋賀県の四方を囲む山々から流れる水源に加え、日本一の大きさを誇る琵琶湖を有する滋賀県は全国的に見ても日本酒造りに重要となる「水」に恵まれた地域といえる。こうした地理的特徴に加え、水陸交通の要衝としての役割から長年に渡り日本酒を醸し続けてきた。
2024年現在、本記事で紹介した酒蔵を含めて県内31の酒蔵が個性あふれる銘柄を展開している。これからも各地域の特色を活かしつつ、時代のニーズに応える新たな挑戦を続けていくことだろう。自然と文化が生み出す滋賀の日本酒をぜひ楽しんでほしい。
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♯滋賀
ライター :新井勇貴
滋賀県出身・京都市在住/酒匠・唎酒師・焼酎唎酒師・SAKE DIPLOMA・SAKE検定講師
お酒好きが高じて大学卒業後は京都市内の酒屋へ就職。その後、食品メーカー営業を経てフリーライターに転身しました。専門ジャンルは伝統料理と酒。記事を通して日本酒の魅力を広められるように精進してまいります。