地域の酒

個性豊かな「名古屋めし」との相性バツグン!愛知県内酒蔵の日本酒を紹介!

三大都市圏の中で唯一、大消費地に近いエリアで盛んに酒造りが行われている愛知県。「名古屋めし」に代表される独特な食文化にマッチする個性豊かな日本酒が数多く揃っている。本記事では愛知県内の酒蔵とおすすめの銘柄を紹介すると同時に、日本酒業界へ多大な影響を与えた功績を伝える。

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日本のほぼ中心に位置する愛知県は大きく4つのエリアに分けられる。織田信長の時代より酒造が続く伝統の「尾張」、城下町の「名古屋」、農業が盛んな「三河」、味噌や酢、醤油、酒といった醸造業が盛んな「知多」である。
古事記、日本書紀の時代にまで遡る酒造業の歴史を持つ愛知では、独自の味噌文化に合わせた濃厚なコクにマッチする辛口タイプの清酒が多く造られてきた。

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近代日本酒造りに大きな功績を残した愛知県

熱田で造られた酒がヤマトタケルに捧げられたという記録が残るように、愛知県の酒造業の歴史は古い。
江戸時代に入ると、酒好きで知られた尾張藩二代目藩主の徳川光友が、奈良より杜氏を招聘するなどして、県内の酒造業を活性化させた。

その後、温暖な東海エリアの中でも冷涼な気候を持つ知多半島に酒造業の中心が移る。
知多は江戸への海運の面でもメリットがあったことから、灘や伊丹に匹敵する生産量を誇るようになった。アルコール度数の高い愛知県の日本酒は、江戸において「鬼ころし」と呼ばれ、多くの人に愛されていたという。

明治維新以降、流通の中心が鉄道に移ったことで県内の酒蔵は大きな打撃を受ける。
起死回生を狙うため、知多半島においては新技術となる「速醸酛(そくじょうもと)」を開発。乳酸を添加することで腐造を防ぐ製法は瞬く間に全国へ広がり、今では全酒造量の90%を速醸酛が占めるまでとなった。こうした酒造業界へ与えた功績、影響は計り知れない。

また、酒米開発の歴史も長く、全国的に評価の高い「玉栄」「露葉風」「菊水」といった育成に成功。平成以降も吟醸酒向きの「夢山水」や「夢吟香」といった酒米も積極的に開発してきた。

現在では各銘柄の個性も多様化しつつあるが、かつて「鬼ころし」と称されていたように、味噌をベースにしたこってりした味わいによく合う辛口タイプが主流。
力強い「名古屋めし」はもちろん、濃厚なコクを持つ料理と愛知県の日本酒は好相性を示すだろう。

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①「内藤醸造」

1826年(文政9年)創業。
濃尾平野を流れる木曽川・長良川・揖斐川の三川合流の地からほど近くに蔵を構えている。
社長の意向から杜氏を一般公募で採用したというエピソードもあるように、「経験を問わず、ものづくりを大事にする人材を選びたい」という想いを持つ酒蔵だ。
適度なミネラル成分を含んだ木曽川の伏流水が米の旨みを引き出し、甘口ながらすっきりとしたキレも感じられる味わいが特徴である。

『おススメの1本!』木曽三川 大吟醸 金賞受賞

木曽三川 大吟醸 金賞受賞酒

令和4酒造年度全国新酒鑑評会金賞受賞酒。
酒造好適米「山田錦」を40%まで磨き上げ、清流・木曽川の伏流水を仕込み水に厳寒期にじっくりと時間をかけて醸された。すっきりとして上品な口当たりとフルーティーで華やかな吟醸香が楽しめる。

特定名称:大吟醸
原材料:米(国産)、米こうじ(国産米)、醸造アルコール
使用米:山田錦
アルコール度:17%

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内藤醸造
愛知
♯愛知

②「金銀花酒造」

創業は定かではないが、1730年頃(享保年間)にまで遡る。
徳川家康が関が原の戦いの前に参拝したと伝わる石刀神社の参道に蔵を構えており、長年に渡り地元の人達に愛され続けてきた。
現在は姉妹が蔵元と蔵人を担当しており、女性の完成を活かした酒造りと商品展開を行っている。「女性に喜んでもらえる日本酒造り」を大切にしたスッキリと軽やかな味わいが特徴だ。

『おススメの1本!』大吟醸 金銀花
大吟醸 金銀花
山田錦、酒造好適米を50%まで磨き上げた贅沢な一本であり、ジューシーな果実を思わせる力強い吟醸香が楽しめる。
ふっくらとした旨味はシャープな酸味でスパッと切れるため、どんな料理にもマッチする万能酒として活躍するはずだ。
白ワインに近いテイストでも楽しめるため、女性にもおすすめ。ベテランソムリエにブラインドテイスティングで選ばれた自慢の逸品。

特定名称:大吟醸
原材料:米(国産)、米こうじ(国産米)、醸造アルコール
使用米:山田錦
アルコール度:15〜16%

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金銀花酒造
金銀花酒造
愛知
♯愛知♯酒蔵

以下の記事では、蔵元と杜氏をつとめる姉妹が、二人三脚での酒造りや商品展開について取材している。

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【愛知県/金銀花酒造】姉妹二人三脚で酒造り!女性目線での日本酒造りの取り組みを聞く!
♯愛知

③「神杉酒造」

1805年(文化2年)創業。農業先進国のデンマークになぞらえ、「日本のデンマーク」の異名を持つ愛知県安城市に蔵を構える。

究極の地酒を目指し、酒米は地元安城で作った「若水」や、それを用いて生み出した「夢吟香」を使用。結果、この土地ならではの個性的な地酒を生み出している。
地元農家とタッグを組み、蔵人自らが田植えや稲刈りに参加して収穫した米は、100%自家精米するなど原料への強いこだわりを持つ。
製造酒は、「名古屋めし」と相性抜群の熟成酒や、フルーティーな吟醸酒などラインナップは幅広い。

『おススメの1本!』碧海野 純米大吟醸

碧海野 純米大吟醸

安城産「夢吟香」を100時間以上かけ、精米歩合35%まで丁寧に磨いた逸品。
令和2酒造年度全国新酒鑑評会入賞酒と同スペック商品となる。奥深い味わいが壮大なスケールを感じさせる。

特定名称:純米大吟醸
原材料:米(国産)、米こうじ(国産米)
使用米:夢吟香(愛知県安城市)
アルコール度:16.5%

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神杉酒造
神杉酒造
愛知
♯愛知♯酒蔵

④「山田酒造」

1874年(明治4年)創業。
当初は銘柄を「大江山」としていたが、大正時代から昭和の初期までは「最愛」、戦後は「醉泉」と変化させてきた。
山田錦をはじめ、愛知県産の若水などの良質な酒米を使用し、奥行きを感じさせる味わいながらスッキリとした辛口酒をメインに醸造。季節限定の生酒やスパークリング日本酒なども幅広く手掛け、地元の海部津島や名古屋のファンに愛されている。

『おススメの1本!』醉泉 純米吟醸

醉泉 純米吟醸

兵庫県産の山田錦50%精白を使用し、低温発酵で丁寧に仕上げた。
香り高く上品でふくよかな甘み、まろやかな吞み口が特徴。冷やして飲むとすっきりとした旨みが駆け抜け、常温に近づくにつれ華やかで芳醇な味わいに。多様な表情が楽しめる、ゆっくりと味わいたい一本だ。

特定名称:純米吟醸
原材料:米(国産)、米こうじ(国産米)
使用米:山田錦(兵庫県)
アルコール度:17%

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山田酒造
山田酒造
愛知
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個性的な「名古屋めし」と愛知の日本酒を楽しんで!

長い日本酒造りの歴史を持ち、明治時代には「速醸酛」の開発という日本酒醸造業界に大きな功績を残した愛知県。知多半島の栄枯盛衰が現在の日本酒を生み出したと思えば、非常に感慨深いものがあるだろう。

「ひつまぶし」「手羽先」「味噌カツ」「どて煮」「名古屋コーチン」「あんかけスパ」「台湾ラーメン」などなど、名古屋を代表するご当地グルメは数しれない。こうした個性的な料理に負けずとも劣らない愛知酒をぜひ楽しんでほしい。

ライター :新井勇貴
滋賀県出身・京都市在住/酒匠・唎酒師・焼酎唎酒師・SAKE DIPLOMA・SAKE検定講師
お酒好きが高じて大学卒業後は京都市内の酒屋へ就職。その後、食品メーカー営業を経てフリーライターに転身しました。専門ジャンルは伝統料理と酒。記事を通して日本酒の魅力を広められるように精進してまいります。

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