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熟成酒の先導者!約260坪もの貯蔵庫で「低温熟成酒」に取り組む

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熟成酒の先導者!約260坪もの貯蔵庫で「低温熟成酒」に取り組む

京都北白川に佇む「北白川 にしむら酒店」。いち早く日本酒の熟成に着目し、現在約2万本を冷蔵庫や氷零庫(0℃以下でもお酒が凍らない温度)での厳密な温度管理のうえ販売する専門店。品揃えは圧倒的で100蔵以上の日本酒を扱い、そのうち10蔵についてはほとんど全銘柄を取り揃えている。京都で唯一の新政酒造の特約店でもある。

店舗のほか数カ所に氷零庫を設け最高で30年以上の熟成酒も秘蔵する。低温貯蔵を始めたきっかけと熟成酒の魅力を店主西村さんにインタビュー。壮大な今後の計画は必見。

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西村道隆さん
プロフィール
ご自身が大の日本酒好き。味わいは的確で、具体的にイメージしやすい表現力はさすが。時々は女性のタイプだったらこんな感じというコメントに。「だって、男性に例えてもおもしろくないでしょう(笑)」

熟成の魅力

西村さんが熟成を意識し始めたのはワインがきっかけだという。1990年代にフランスのドメーヌを訪れた時、現地で飲んだワインの美味しさに驚かされたそう。ならばと200ケースを大量に仕入れ、日本に船で送ってもらったら全然味が違う。「あんなに美味しかったのにとガッカリして、50ケースを倉庫に積んだままにしておいた。2年くらい経った頃にふと飲んでみたら、現地で飲んだあの味になっていたんです。思えば旅疲れしていたんでしょうね」。
そのあと、出来が悪くて売り物にならない、ある日本酒を同じように寝かせておいたら、シェリー酒のような味わいになっていた。これは面白いとそれから本格的に日本酒の熟成を始めるようになったとか。

温度帯によって熟成のパターンがあり、真夏に30℃を超えるまさに常温と、15℃以下の低温、マイナス5℃の冷蔵ではまったく違う。「常温なら茶色く色付いてマデイラ酒のようになりますが、15℃以下に保ったものはほのかに熟成し、その地域の米や水の味がわかります。女性に例えれば、歳を重ねると若い時の艶やかさはないかもしれないけれど、深みや人間味の魅力が出てくる感じかな。マイナス5℃の冷蔵では、生酒でもなめらかさと緻密さが上がります」。生酒が保存するうち甘くなってしまうのは、多糖類などの甘くない糖質が酵素によって分解されて甘味のある単糖に変わるから。「マイナス5℃の冷蔵下では酵母や酵素による変化が起きないので甘味は変わらず、生酒でも熟成はするけれどひねはしません」。

このお酒はどう熟成させると美味しくなるか。どの温度がふさわしいか振り分けるのは、西村さんの長年の経験に委ねられるのだ。

熟成 貯蔵庫について

店舗や敷地内の冷蔵庫のほか、夏でも比較的涼しい標高約300メートルの山中に数カ所の貯蔵庫を設置。マイナス2℃とマイナス7℃の氷零庫は長期保存用、5℃前後の冷蔵庫には主に一回火入れ酒を保管している。5℃から20℃までの温度変化のある貯蔵庫にはワインを置き、温度差のメリハリがより美味しく熟成させるとのこと。また常温で20℃以下に保たれる地下の倉庫には、5〜10年の長期熟成用の二回火入れ酒や山廃、生酛酒などが納められている。

西村さんお勧めの日本酒

お勧めの日本酒5種を厳選!熟成酒2種、北白川にしむら酒店のPB(プライベートブランド)2種、京都では唯一にしむら酒店が特約店となっている大人気銘柄をご紹介!

  • 神開 山廃吟醸 大古酒 枯艷珠(こえんしゅ)原酒【平成14年度醸造】(藤本酒造/滋賀県)
  • 720ml  2,750円 / 1,800ml 4,950円

「平成14酒造年度醸造、蔵で20回夏を越した常温古酒です。色はあめ色。味の表現は難しいけれど、マデラ酒のようなイメージかな。ほかには蜂蜜、焦がした砂糖(メイラード)、椎茸、醤油の香ばしさ、シダ類。」

  • 花巴(はなともえ)長期熟成古酒【1988年醸造】(美吉野醸造/奈良県)
  • 375ml 2,420円/1,800ml 8,800円

「醸造は1988年で、酒蔵で25回夏越え。『剣菱』を造っていた頃の未納税の4tタンク1本を蔵の地下に置いていて最近出されたものです。常温だったので色は黒いです。一番近いのは甘露なメープルシロップ。ただ本当に美味しいです。やわらかで醸造用アルコールがあるだけにスッと入ります。」

  • 喜楽長 辛口純米酒+12生原酒 直汲み【北白川にしむら酒店限定品】(喜多酒造/滋賀県)
  • 1,800ml 2,310円

「滋賀の酒米、日本晴メインでアルコールは19%。この価格はコスパ抜群です。うちのPB(プライベートブランド)で搾りたての辛口純米をそのまま瓶詰めしました。無濾過無加水、なんの処理もしていない直汲みです。14ヵ月間-5℃で冷蔵したので、やわらかさと旨みがあります。甘味がないのでベタつきません。」

  • 富翁 山廃純米 山田錦68% 生原酒 直汲み【北白川にしむら酒店限定品】(北川本家/京都府)
  • 1,800ml 3,080円

「槽場直汲み。予約をしておいて、槽場で搾った時に詰めてもらったものです。アルコールは17.8%。特A地区の山田錦68%精米を使用しており、上等な米の美味しさと上品さがあるお酒で、コストパフォーマンスは圧倒的。味わいはふくよかで豊満。旨みたっぷりの生酒が飲みたい方におすすめです。」

  • 光栄菊 黄昏(たそがれ)Orange 無濾過生原酒(光栄菊酒造/佐賀県)
  • 720ml 1,815円/ 1800ml 3,245円

「原酒で13%台にする、今流行りの低アルコールで、スイスイ飲めるお酒です。白ワインの代わりになるような。低アルコールの軽やかさとオレンジのようなフルーティーさを持った、フレッシュで飲みやすい軽く入ってしまうお酒です。ほとんどの人が美味しいというはず、ウケるお酒ですね。スタンダードなべっぴんさんを想わす味わい。」

今後の展望

新しく設ける倉庫の予定地に案内していただいた。先導する西村さんの車はくねくねとした山道を抜けてゆき、朽ちかけた民家の前で止まった。「この約200坪の敷地に一升瓶5万本が入る60坪と30坪の冷蔵庫を作ります」。完成は来年(2024年)の夏の予定。現在、13基ある氷零庫に貯蔵されているのは日本酒2万本、ワインも2万本あるという。
最初に設けた冷蔵庫はたった1.7坪。1980年代のことで、その頃は父親にそんなもの作ってどうすると言われたそう。それから歳月を経て、今や熟成酒は日本酒のトレンドの一つになった。先見の明で、造り手の蔵にも残っていない酒が西村さんの倉庫には眠っている。まろやかで円熟した味わいと希少性。時の流れでしか作り得ない熟成酒は、これからますます価値をあげていきそうだ。

北白川 にしむら酒店

北白川 にしむら酒店

住所
京都府京都市左京区北白川久保田町3Googlemapで開く
TEL
075-781-3049
HP
https://nishimura-saketen.com/
営業時間
9:00~19:30、日曜11:00~18:00(店主一人による時短営業)
定休日
第2or第3水曜休

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