ブレンドが日本酒に興味を持つきっかけになれば[新潟/高の井酒造]代表 山﨑亮太郎さんインタビュー
複数の酒蔵の日本酒をブレンドするという考えから生まれた、新感覚の日本酒[Assemblage Club(アッサンブラージュ クラブ)]と自分だけのオリジナルブレンド日本酒が作れるスポット[My Sake World]。この蔵を超えた日本酒のブレンドという新しいチャレンジをサポートしてくれる人たちに、今の想いを聞いた。

京都の3つの酒蔵の協力のもとに実現した日本酒[Assemblage Club(アッサンブラージュ クラブ)]や、個人や飲食店、企業がオリジナルブレンド日本酒を作ることができるスポット[My Sake World]。“日本酒のブレンド”という、これまでになかった企画に協力、応援をしてくれる蔵や人に、参加を決めた理由やその後の影響などについてインタビュー。
今回はMy Sake World 御池別邸でブレンド酒の原酒になっている田友を醸造する[高の井酒造株式会社]代表取締役社長 山﨑亮太郎さんのブレンド体験に密着。
この方に話を聞きました

- 高の井酒造株式会社 代表取締役社長 山﨑亮太郎さん
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プロフィール1973年新潟県小千谷市生まれ。2011年代表取締役社長に就任。大学では経済学を専攻。大手食品卸会社でコンビニエンスストアを担当するうちに、データ重視のマーケティングとは真逆の、家業である酒蔵の伝統の価値をあらためて感じ、3代目を継ぐ決意をする。
1.地元新潟産の酒米にこだわる[高の井酒造]
米どころ新潟にあり、越後杜氏伝承の技による淡麗辛口で知られる[高の井酒造]。酒造りの歴史は江戸時代にさかのぼるが、昭和12年の火災や戦時中の米統制の憂き目に遭い、いったん休蔵して味噌と醤油の醸造を始める。その後、昭和30年に酒造を再開。地元新潟の酒米にこだわった『田友』や日本初の雪中貯蔵酒『越の初梅』が代表銘柄だ。
—[高の井酒造]さんの代表銘柄『田友』は、[My Sake World]で使用させていただいています。こちらはどういう日本酒ですか?
山﨑さん「新潟でしか扱えない『越淡麗』という酒米で醸したお酒です。酒米といえば山田錦が有名ですが、やはり新潟では育てるのが難しい。刈り入れをする11月中旬や下旬は、我々の蔵のある魚沼地域では雪が降る時期なんです。そこで約20年前に山田錦と五百万石を掛け合わせた新品種『越淡麗』が生まれ、これが両方のいいとこ取りをしたような良質のお米になりました。ただ当時は農家さんとしてはコシヒカリの方が収入が良く、なかなか作ってくれるところがなかったのですが、徐々に代替わりをしたり大規模農家が増えた関係で、単一品種のコシヒカリだけを作るより、リスクヘッジとして他の品種も手がけるようになりました。そういった形で協力してくださるところが多くなり、今は地元の契約栽培米が全体の7割を占めています。つまり『田友』は地元の米で作る地酒という原点回帰のお酒になりますね」
2. ブレンドが新しい飲み方の提案に
-[My Sake World]で日本酒のブレンドに初挑戦していただきました。ご感想はいかがですか?
山﨑さん「ブレンド自体については、自社のお酒同士についてはそういう商品もありますが、他社のお酒を混ぜるというのは初めてで、理科の実験みたいで単純に楽しかったですね」
-ブレンドをすることに抵抗感はなかったですか?
山﨑さん「イベントなどでお客さんに、暑い時はうちの雪中貯蔵酒を炭酸で割ったら美味しいですよって勧めても、そんな飲み方したらもったいないっておっしゃる方が多いんです。だけどハイボールや今回のようなブレンドにしても、新しい飲み方を提案するとか、何かのきっかけで日本酒に興味を持ってもらうことは必要だと思うんです。伝統芸能もそうでしょうが、一般の方に知られないとマーケットは広がらない。こういう施設での体験が興味を広げる機会になれば、ありがたいと思います」
-[My Sake World]では12種の日本酒から数種を選んでブレンド。2回の試作でレシピを決定したら、後日、自分だけのオリジナル日本酒が届きます。山﨑さんの1回目のブレンドは英勲10ml、神蔵10ml、抱腹絶倒10ml、TAMA10mlでした。
山﨑さん「せっかく京都に来たので、すべて京都のお酒でブレンドしました。京都も軟水がメインで、新潟に近くてスッキリした味わいですし、それぞれに特徴があって美味しかった。どう組み合わせても美味しいと思うので、10mlずつ同じ分量で合わせてみました」
-2回目は御社の田友10ml、石鎚10ml、シン・ツチダ10ml・にいだしぜんしゅ10mlでしたね。
山﨑さん「にいだしぜんしゅが個性のあるタイプなので、多少配合を変えればもっといい感じになったかも知れません。でもお仕事ではないので、とにかく楽しんで作らせてもらいました。こちらのように日本酒をブレンドする体験はおもしろい、海外の方にもすごくアピールしそうですね」
3. 体験に勝るものはない、ぜひ酒蔵へ
-それでは最後に[高の井酒造]さんの今後の展望についてお教えください。
山﨑さん「やはり国内消費に加えて、海外輸出の比率も上げていきたいと思っています。それと同時に、地元ももちろん大切ですが、さまざまなきっかけで全国的に[高の井酒造]を知ってもらいたい。それでこのお酒美味しいから蔵元へ行ってみよう、新潟へ、小千谷市へ行ってみようとなればうれしく思います。今はネットでなんでも買えますが、体験に勝るものはないですから」
[My Sake World]でも[高の井酒造]の『田友』は、淡麗辛口の代表格として人気が高く、ブレンドのベースに選ばれる方も多い。山﨑さんも初めての日本酒ブレンド体験に終始真剣に、かつ大いに楽しみながら取り組んでいただいた。ブレンドという手法についても、日本酒に興味を持つきっかけになればと積極的に捉えておられたのが印象的だった。[高の井酒造]では蔵見学も常時受け付けている(要申込み)。ぜひ新潟の酒造りの現場を訪れて、体験をしてみてほしい。
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ライター・唎酒師 藤田えり子
大阪の日本酒専門店に世界を広げていただき、さまざまな日本酒や酒蔵に出合う。好きな日本酒は秋鹿、王祿ほか
お酒以外の趣味は鉱物集めとアゲハ蝶飼育。


My Sake World 御池別邸
- 住所
- 京都府京都市中京区姉小路通富小路東入る福長町123Googlemapで開く
- TEL
- 075-600-9226
- 営業時間
- 平日:11:00~12:30、13:30~15:00、16:00~17:30(各回90分制)
土・日曜、祝日:11:00~12:30、13:30~15:00、16:00~17:30、18:30~20:00の4部制
- 定休日
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