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隠れた日本酒処、福岡のおすすめ地酒は?祇園[酒房 神ぐら]で福岡出身の女将に聞く!

実は福岡にある日本酒蔵の数は全国5位。今回は福岡出身の女将さんに、地元の銘酒について語っていただいた。
九州といえば焼酎のイメージだけど、福岡は隠れた日本酒処でもある

酒房 神ぐら
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京都・祗園にありながら入りやすい日本酒バー

2023年で10周年を迎えた京都・祗園にある[酒房 神ぐら]。
着物が似合う女将の石辺さんは伏見の[松本酒造]の蔵人として酒造りを経験し、酒関係の資格を複数持つというからただ者ではない。

石辺さん「学生時代にバイトしていた懐石料理屋で、日本酒の美味しさを知りました。唎酒師の資格を取ったりもしましたが、もっと知りたい!と思い、蔵人になったんです。酒造りの歴史ある伏見で、毎日お酒造りに奮闘できたのは、本当に貴重で有り難い経験だと思います。」

それでいていつもふんわりとした笑顔で迎えてくれて、祗園にありながら女性ひとりでも気構えなく入れるのがうれしい。

酒房 神ぐら

常時40〜50種揃う日本酒はころころと入れ替わり、冷蔵ケースを見て注文するか、「どんな感じがいいか言ってもらえたら選びますよ」とのこと。
料理店とは違って日本酒バーなので、酒単体でも充分楽しめる銘柄もあり、日本酒の味わいの幅が広いにも嬉しい。

酒房 神ぐら

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酒房 神ぐら
女将 石辺敦子さん
プロフィール
福岡県出身。大学進学のため京都へ移ったところ日本酒にハマり、伏見の「松本酒造」の初の女性蔵人となる。その後、祗園で日本酒バーを開業。
J.S.A. SAKE DIPLOMA、J.S.A. ソムリエ、唎酒師。

なんと!福岡にある日本酒蔵の数は全国5位

実は福岡には現在も50軒以上の日本酒蔵があり、その数は全国5位。また酒米の代表格である山田錦の生産量も全国上位にランキング。歴史的には江戸元禄の時代、儒学者の貝原益軒が福岡の酒を褒め称えたと記されている。焼酎の影に隠れがちだけど、日本酒だって負けていないのだ。

そんな福岡の日本酒の魅力を、福岡出身の石辺さんに聞いてみた。
石辺さん「しっかりタイプが多いかもしれません。九州はお醤油が濃いこともあって、お酒もキリッと辛口というよりは、旨みの乗った華やかなものが多い印象です」

—では、福岡でおすすめの日本酒を教えてください。

酒房 神ぐら

石辺さん「福岡をはじめ九州のお酒は好みでいつも置いています。その中からおすすめの3本を選んでみました」

女将さんが推したい福岡の日本酒3選

酒房 神ぐら

■若波 純米酒 グラス800円
若波酒造(福岡県大川市)、アルコール度数15度、精米歩合65%

100周年を迎えたばかりの[若波酒蔵]の“若波 純米酒”。姉弟を中心に若手3人が「味の押し波・余韻の引波」をコンセプトとして新しい酒造りに挑む。

石辺さん「女性杜氏さんの酒蔵です。私も蔵人を経験しましたが、寒い中の力仕事で大変なんです。ほかにもあまおうのリキュールなど、女性ならではの新しいお酒を作っています。これはジューシーな旨口系」

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■寒北斗 辛口純米酒 shi-bi-en(シビエン)冬バージョン グラス800円
寒北斗酒造(福岡県嘉麻市)、アルコール度数16度、精米歩合55%

創業は享保年間だが、40年ほど前にこれまでの酒造りを一新して「寒北斗」を発売。搾りたてをそのまま瓶詰めした、フレッシュな無濾過生原酒。

石辺さん「福岡では珍しく、辛口の酒蔵。スイスイキレがあって飲みやすいです。九州の料理に限らず、なんでも合う万能の食中酒」

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■みやこ雄町 特別純米酒 グラス800円
林龍平酒造場(福岡県京都郡)、アルコール度数15度、精米歩合60%

最後は、酒蔵のあるみやこ町で育てられた雄町米を使用した“みやこ雄町 特別純米酒”。農家の協力を得た良質の酒米と英彦山からの伏流水(硬水)で、地元に愛される地酒を作る。

石辺さん「『九州菊』というお酒を作っている蔵です。実家から一番近い蔵なのに知らなくて、逆に京都へ来てから再発見しました。ナイーブで素朴、あまり垢抜けしないのが、かえって落ち着く感じです」

ここの日本酒もおすすめ!

—ほかにはどんな日本酒がおすすめですか?

石辺さん「まずは私が蔵人をしていた伏見の[松本酒造]のお酒を。それから[寺田本家]という江戸時代のような自然な酒造りをしている蔵から。麹造りの種麹は『もやし屋』さんから買うのが一般ですが、蔵へ伺った時にこちらでは藁で自家培養していると聞いてすごい!と思いました」

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澤屋 まつもと 守破離 雄町 グラス800円
松本酒造(京都市伏見区)、アルコール度数15度、精米歩合表記なし

「桃の滴」で知られる[松本酒造]のなかでも、特に新しい味わいや技術を探求したシリーズが“澤屋まつもと”。
岡山県産雄町を全量使用した一本。

石辺さん「お世話になっていた松本酒造のお酒です。守破離のシリーズは瓶ごと火入れしているのでガス感が残って、色々な料理に合う万能です」

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■五人娘 自然酒 純米酒 生酛 グラス800円
寺田本家(千葉県)、アルコール度数15度、精米歩合70%

創業350年の酒蔵[寺田本家]。無農薬・無化学肥料米を使用した生酛造りにこだわる。純米酒「五人娘」は微生物と響き合いながら造る、寺田本家の自然酒の先駆け。

石辺さん「寺田本家は個人的に癖のあるお酒が多いと感じるけれど、これは口当たりがよく、旨みがしっかり。一晩中飲むなら、こういうお酒がいいなと思います」

手作りのアテに目移りしそう

—酒肴が色々あって、どれも美味しそうですね!

石辺さん「自分のつまみにしたいものをその日の仕入れで作る感じです。12月いっぱいまではこっぺ蟹を1000円で出しています。蟹の殻の出汁で炊くおでんもおすすめです」

酒房 神ぐら
つきだし 1000円(席料)
日替わりのアテ4種。この日は鶏肝の醤油漬け、小松菜とお揚げ煮、柿なます、丹波黒豆の枝豆。席料の代わりではあるけれど、これだけあれば充分飲める

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いわしのぬか炊き 600円
女将さんの地元、北九州の郷土料理。いわしを醤油ベースで煮て、味噌の代わりに糠味噌を加えたもので、糠味噌ごと食べる。同じ糠床の糠漬け添え

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吟醸粕汁 500円
[松本酒造]の奥さんが振る舞ってくれた粕汁がベース。大根、薄揚げ、人参を入れて、日替わりの吟醸酒の酒粕で香りよく仕上げている。

これからも頑張る酒蔵さんを応援していきたい

—最後にSake World読者へ一言お願いします。

石辺さん「自分の好みを知るには、ひたすらいろんなお酒を飲んでみること。思い込みや偏見なく、いろんな味にチャレンジしてください。私もまだまだですが、新しい試みをしている酒蔵さんがいっぱいあるので、私からもその頑張りを伝えていけたらと思っています」

酒房 神ぐら

通常のグラスの半量60mlでも注文できるそうなので、気になるお酒はどんどん試してみて。何より日本酒を知るには、頼りになるお店を見つけて通うのが近道だ。[酒房 神ぐら]がその助けになる一軒なのは間違いない。

Instagram /@shubou_kagura

Sakeが飲める・買える店一覧はこちらから
https://sakeworld.jp/place/

酒房 神ぐら

酒房 神ぐら

住所
京都府京都市東山区祇園町北側 花見小路富永町東入ル南側 アミカビルⅡ3FGooglemapで開く
TEL
075-533-2820
営業時間
18:00〜24:00 (LO/23:30 )
定休日
日曜、祝日

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