地域の酒

豊富な自然と高い酒造技術を持つ!栃木県内にある酒蔵の日本酒を紹介

都心部から近く、日光東照宮をはじめとした名所を有することから多くの観光客が訪れる栃木県。山岳地帯を水源とする多くの河川を持つことから、酒造りに適した環境が整っており、現在も多くの酒蔵が優れた日本酒を生み出している。本記事ではSake World NFTに取り扱いがある栃木県内の酒蔵とおすすめ銘柄を紹介すると同時に、栃木酒の特徴と歴史を振り返る。

  • この記事をシェアする

内陸県である栃木県には、利根川水系、那珂川水系、久慈川水系の3水系に属する計298もの河川が流れており、そのすべてが一級河川(防災面や経済的面で与える影響が国全体に及ぶ川)である。日光、那須連山といった山々に囲まれていることから、県内の水質は酒造りに向くミネラルを程よく含んでいる。

肥沃な土地と豊富な水源、そして穏やかな気候に恵まれていることから農業も盛んであり、酒造好適米の生産量は関東地域で最も多い。こうした環境を活かし、栃木県内では30近くの酒蔵が質の高い日本酒を醸している。

【あわせて読みたい】
NFTとは?

・購入方法はこちらから!
・Sake World NFTはこちら

江戸時代にスタートした栃木県の酒造り

栃木県は豊富な水資源と酒造好適米の生産に恵まれた地域であり、各蔵の個性が光る多様な酒造りが特徴だ。

県内の酒造りの歴史は江戸時代にまで遡る。近江日野城主であった蒲生氏郷が会津へ転封となったことから、近江と会津を行き来していた近江商人が栃木県内の余剰米に注目。優れた自然環境が酒造りに適していると判断し、関西地域の進んだ技術を持ち込んで、酒造業を開始したとされている。

農業に適した地域でもあることから、酒米栽培が盛んに行われており、「山田錦」「五百万石」といった主要銘柄を多く生産している。県オリジナル品種の開発にも積極的であり、2004年には収穫量の多い「とちぎ酒14」、2018年には山田錦を母方にした「夢ささら」を開発している。

2012年には県内統一の杜氏制度として立ち上げられた「下野杜氏(しもつけとうじ)」が、日本酒造杜氏組合連合会に加盟。下野杜氏には栃木県産業技術センターが課す厳しい試験をクリアした人のみが認定され、伝統的な「越後杜氏」「南部杜氏」「丹波杜氏」と肩を並べ、21世紀の杜氏集団として存在感を発揮している。

県内での技術交流、イベントも盛んに実施されており、下野杜氏に加盟する酒蔵は毎年「新世代栃木の酒 下野杜氏新酒発表」を開催している。

優れた水質、土地を持ち、技術力の研鑽にも積極的な栃木県内の日本酒は全国的にもレベルが高く、多くの愛飲家から注目を集めている。

関連記事はこちら

栃木県の日本酒を堪能!「新世代栃木の酒 下野杜氏新酒発表 2024 in 東京」潜入レポート!
♯栃木♯東京♯イベント

「Sake World NFT」で買える栃木の日本酒

①「島崎酒造」

1849年(嘉永2年)創業。
[株式会社島崎酒造]は那須岳山麓から湧き出る伏流水と、清らかな大地で育った良質な原料米を用いた酒造りを行う。洞窟で貯蔵する熟成酒が大きな特徴であり、1970年から長期熟成酒造の先駆者として様々な挑戦を続けている。
貯蔵する洞窟は第二次世界大戦末期に建造された地下工場跡であり、総延長600mの空間に約10万本の日本酒が眠っている。
自然環境を活かし、じっくりと熟成される日本酒の味わいはまさに唯一無二。独自の熟成香とまろやかな味わいが存分に楽しめる。

『おススメの1本!』熟露枯 純米吟醸 秘蔵5年

熟露枯 純米吟醸 秘蔵5年

地下工場跡を活用した洞窟で貯蔵された熟成酒。長期間貯蔵することで、日本酒に含まれるアミノ酸と糖分が反応し、黄金色に輝き、複雑な香りを生み出す。
熟成反応は温度が高い環境ほど早く進むが、年間平均10度前後という優れた環境で貯蔵されたことから、上品で繊細な香味となっている。時間が生み出す日本酒の味わいをゆっくりと楽しんでほしい。

特定名称:純米吟醸
原材料:米(国産)、米こうじ(国産米)
使用米:五百万石
アルコール度:15%

この記事の酒蔵はこちら

島崎酒造
栃木
♯栃木

②「宇都宮酒造」

1871年(明治4年)創業。
[宇都宮酒造]は、栃木県宇都宮市の中心部からほど近い柳田地区に佇む酒蔵であり、特定名称酒から普通酒まで幅広い種類の日本酒を醸す。
季節商品にも積極的に取り組んでおり、四季折々の味わいを楽しめる限定酒として、特別純米生酒やにごり生酒などを展開する。創業以来、「まごころ一献。酒は造る者の姿勢が現れる」という深い信条のもと、伝統的な酒造りの技術を脈々と受け継ぐ。
鬼怒川の伏流水を仕込み水に使い、県内産の酒米を使用した味わいは国内のみならず海外のコンクールで数々の輝かしい成果を収めている。

『おススメの1本!』四季桜 とちぎの星純米酒

四季桜 とちぎの星純米酒

2014年(平成26年)に登場した栃木県のオリジナル品種「とちぎの星」を使用した純米酒。とちぎの星は山田錦などの酒造好適米ではなく、通常の食用として使用される品種である。大嘗祭で採用され「米の食味ランキング」で特A評価を受けるなど、その品質の高さには定評がある。米の旨みを存分に味わえる一本であり、幅広い料理とのペアリングが楽しめるだろう。

特定名称:純米酒
原材料:米(国産)、米こうじ(国産米)
使用米:とちぎの星100%
アルコール度:15%

この記事の酒蔵はこちら

宇都宮酒造
宇都宮酒造(栃木県)
関東
♯栃木

③「惣誉酒造」

1872年(明治5年)創業。
[惣誉酒造]は厳選された原料を使用し、生酛造りや熟成による味わいを追求する酒蔵。全出荷のうち8割以上が栃木県内向けという地酒蔵であり、鬼怒川水系の伏流水のまろやかな仕込み水で醸す酒は、長年地元の人々に愛されてきた。全国新酒鑑評会では2011年から連続で金賞を受賞、その他鑑評会でも最優秀賞を受賞するなど、県外でも高い評価を得ている。
酒米へのこだわりが強く、なかでも兵庫県特A地区産「山田錦」の使用量は東日本でもトップクラス。他にも契約農家が栽培する「五百万石」や「夢ささら」といった県内の酒造好適米も積極的に使用している。

『おススメの1本!』惣誉 帰一 しずく 生酛仕込 純米大吟醸

惣誉 帰一 しずく 生酛仕込 純米大吟醸

特A地区である兵庫県吉川産の山田錦を35%まで自社精米し、生酛仕込み、しずく採りによって味わいの透明感と凝縮感を表現。さらに、5年以上熟成させるという惣誉の最高規格の一本だ。酒造年度ごとに瓶詰めされ、蔵内の熟成具合を確かめながら適熟と思われる順に出荷される。山田錦・生酛・熟成という惣誉が掲げる3要素を極限まで突き詰めた存在であり、ひとたび口に含んだときの上品さと浸透感は、多くの酒通から高い評価を得ている。

特定名称:純米大吟醸
原材料:米(国産)、米こうじ(国産米)
使用米:山田錦
アルコール度:17%

この記事の酒蔵はこちら

惣誉酒造
惣誉酒造
栃木
♯栃木

④「天鷹酒造」

1914年(大正3年)創業。
[天鷹酒造]は自社栽培の有機米で純米酒を醸し、有機日本酒の先駆者として持続可能な酒造りを続けている。
古くからから米作りが盛んな栃木県大田原市に深く根ざし、「純米酒」という言葉が生まれる前から”米だけの酒”を造り続けてきた。2005年に有機認証事業者となり、地域の農家とともに有機米の栽培に着手し、有機日本酒の醸造をスタート。その後、アメリカとEUの有機認証も取得し、2017年の全国新酒鑑評会では、日本初の有機日本酒として金賞受賞の快挙を成し遂げた。
使用する水は那須山系の地下水を蔵の素掘り井戸から汲み上げ、使用後の水は浄化処理ののち川に戻すなど、環境への配慮を怠らない。持続可能な酒造りを推進している、環境負荷の低減に努める酒蔵だ。

『おススメの1本!』有機純米大吟醸 天鷹 令和6年金賞受賞酒

有機純米大吟醸 天鷹 令和6年金賞受賞酒

「全国新酒鑑評会」において、全国唯一の有機日本酒による金賞を受賞した一本。有機日本酒の特徴である滑らかな舌触りとともに、華やかで気品高い香り、米の旨味が感じられつつも透明感のあるピュアな味わいが口中に広がる。天鷹の技術の粋と、有機にかける想いを集結させて生み出された一本だ。日・米・欧有機認証に加え、ヴィーガン認証を取得している。

特定名称:純米大吟醸
原材料:米(国産)、米こうじ(国産米)
使用米:兵庫県産有機山田錦
アルコール度:16%

この記事の酒蔵はこちら

天鷹酒造株式会社
栃木
♯栃木♯酒蔵

⑤「第一酒造」

1673年(延宝元年)創業。
[第一酒造]は徳川四代将軍・家綱の時代に創業した栃木県最古の酒蔵。鎖国の時代を抜け、1875年(明治8年)には銘柄を「文明開化」にちなみ「開化」と命名。1936年(昭和11年)には、「開華」と商標を変更している。
創業時は農家であったことから、現在も自社水田を持ち、社員である蔵人が田植えから収穫までのすべてを行っている。「今飲まれているお酒が蔵の歴史上、一番美味しく、そして将来飲むお酒は、今よりもっと美味しくなくてはならない」という信念を持つ。

『おススメの1本!』開華 AWASAKE

開華 AWASAKE

栃木最古の蔵が醸す瓶内二次発酵のスパークリング日本酒。きめ細かな泡立ちと豊潤で軽やかな味わい、フレッシュな柑橘系の爽やかな香り立ちと、クリーミーで繊細な泡立ちがエレガントに調和する。スパークリングワインのような爽やかな酸味があり、後味スッキリ。ワイングラスで美味しい日本酒アワードやKura Master サケスパークリング部門、インターナショナルワインチャレンジなど数々の受賞歴を誇る。歴史と革新を感じられる一本だ。

特定名称:その他
原材料:米、米こうじ
使用米:夢ささら
アルコール度:13%

この記事の酒蔵はこちら

第一酒造
栃木
♯栃木

個性豊かな栃木酒を楽しんで!

栃木県は豊かな自然環境に恵まれ、良質な水と酒米を活かした酒造りが根付いた地域である。

江戸時代の近江商人による技術導入を契機に発展し、現在では県独自の「下野杜氏」制度のもと、伝統と革新を融合させた高品質な日本酒を醸し続けている。酒造好適米の「とちぎ酒14」や「夢ささら」、食用米の「とちぎの星」など、県オリジナルの品種を使用した個性豊かな味わいも魅力の一つだ。

本記事で紹介した各酒蔵も、それぞれのこだわりや技術を活かし、唯一無二の味わいを追求。熟成酒、オーガニック日本酒、スパークリングなど、多様なスタイルで日本酒の可能性を広げている。「Sake World NFT」を通じて、これらの個性豊かな栃木酒を手に取り、その奥深い味わいと歴史をぜひ堪能してほしい。

ライター:新井勇貴
滋賀県出身・京都市在住/酒匠・SAKE DIPLOMA・SAKE検定講師・ワインエキスパート
お酒好きが高じて大学卒業後は京都市内の酒屋へ就職。その後、食品メーカー営業を経てフリーライターに転身しました。専門ジャンルは伝統料理と酒。記事を通して日本酒の魅力を広められるように精進してまいります。

特集記事

1 10
FEATURE
Discover Sake

日本酒を探す

注目の記事

Sake World NFT