【豆知識】日本酒一升って何リットル?一升瓶と4合瓶の謎について知りたい!
一合とっくりで熱燗、この季節にはこたえられないですね。ところで日本酒の量は一合や一升など、現代では一般的でない単位で表すことが多いのはなぜなんでしょう。気になる謎について、唎酒師の藤田えり子さんが解説します。
一升瓶は昔の尺貫法の名残り
一般に日本酒は一升瓶や4合瓶で扱われますが、ジュースなど飲み物のペットボトルは500mlや1Lなのに、なぜ単位が違うのでしょうか?
「升」や「合」はかつて使用されていた尺貫法に基づく単位です。尺貫法は昭和34(1959)年に廃止、以降はメートル法に規定されましたが、日本酒や焼酎、醤油など一部では習慣的にまだ使用されています。お米も一合で量りますね。
では、具体的にどれくらいの量(体積)になるのでしょう。それぞれ10倍、10分の1なのでわかりやすいはず。
1石(いっこく)…約180リットル
1斗(いっと)…約18リットル
1升(いっしょう)…約1.8リットル
1合(いちごう)…約180ミリリットル
1勺(いっしゃく)…約18ミリリットル
耳馴染みのある一升・一合以外にも酒蔵の生産規模は石高で表しますし、鏡割りの四斗樽や斗瓶取りという名称もあります。飲食店の日本酒グラスは8勺グラス(145ml)と呼ばれるものが多いですね。また、お酒以外では塗料などを入れる一斗缶なども現役です。
一升瓶での販売は明治時代から
一升瓶入りの日本酒は、明治34(1901)年に[白鶴酒造]が初めて販売したといわれています。以前は酒屋が貸し出す通いとっくりなど樽から量り売りをしていましたが、なかには水増しなどのインチキをする悪徳業者もあったようです。明治政府は酒税を重要な財源とみていたので、誤魔化しようのない一升瓶での販売を奨励しました。さらに衛生的にも優れているとして、一升瓶での流通が普及するようになったということです。
なぜ5合ではなく4合瓶?
最近では一升瓶より小さいサイズ、720ml入りの4合瓶が主流になりつつあります。でも、なぜ一升の半分の5合ではなく4合瓶なのか、疑問に思ったことはないでしょうか?
その理由については各説あり、一つ目は5合で一升瓶の半値にすると販売する手間の割に蔵の利益が薄くなるため、少し減らして4合にしたという説。海外のワインボトルの750mlに準じたという説。さらには江戸時代以前には「盃」という単位があり、それが4合にあたるという説もいわれていますが、これは地方によって量のバラツキがあるので疑問が残ります。
一升瓶のリユースに協力を
実はここ数年、酒瓶、特に一升瓶の不足が問題になっています。コロナ禍で打撃を受けてお酒の需要が下がった時期に一升瓶メーカーが製造をやめたり、回収も滞っているという事情です。一升瓶は古くから販売店で回収してきれいに洗浄したのち、リユースされる仕組みがありました。4合瓶も一部はリユースされますが、一升瓶と違って規格が統一されていないためなかなか難しいようです。
リユースできて環境にやさしい、それに同じお酒なら大容量の方がお得!この機会に一升瓶の良さを見直してみませんか。
文/唎酒師 藤田えり子
大阪の日本酒専門店に世界を広げていただき、さまざまな日本酒や酒蔵に出合う。好きな日本酒は秋鹿、王祿ほか
お酒以外の趣味は鉱物集めとアゲハ蝶飼育。