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京都最古の屋台「屋台いなば」 突然の解体からの店舗として復活。 屋台時代の思い出を語り合う。

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京都四条烏丸より徒歩数分。因幡薬師前に佇んでいた「屋台いなば」。京都最古の屋台と言われ常連客から若者まで多くの人に親しまれていた矢先に突然の屋台解体。困難を乗り越え多くの人の支えと共に2023年2月に店舗として復活した。

因幡薬師の屋台跡地より目と鼻の先にオープン。あの時の屋台の姿ではないが、赤い提灯を目印に常連客が足繫く通う。

カウンター席やテーブル席と少し広くなり、トイレもしっかり完備。

鍋に煮込まれるおでんの温かさや出汁の香り感じながら、先代の屋台当時は何日煮込まれていたのか分からないほど真っ黒だったことを話すと、息子さんも毎日のように残ったおでんを食べさせられていたとの事。それもいい思い出。

おまかせで注文。優しい出汁で煮込まれたぷりっぷりの牛すじ、ちくわ、焼豆腐、奥には大根、はんぺん、もち巾着。

この日おすすめの日本酒をいただき、ほろ酔いぎみになったところで屋台時代の思い出話を。合わせる日本酒は山形、米鶴酒造「マルマス米鶴 限定純米吟醸」。日本酒は常連さんから聞いた美味しいお酒情報を基に自らも試飲して発注しているとのこと。定期的に来店するお客さんも多いので常にお客さん目線はさすが。

店内には先代の写真や記事、思い出の品もあちらこちらに。

屋台時代の写真。

先代は1956年から64年、因幡薬師前で屋台営業をし続けた。2018年に亡くなられ2021年に息子さん夫婦により継承される。人情味溢れる雰囲気もあり、常連さんから若い世代まで多くの方で賑わう日々が続くと思われた2022年秋にまさかの立ち退き宣告が訪れる。継続希望の署名活動なども虚しく、2023年1月に屋台は解体。寒い季節の中、途方に暮れる息子さんご夫婦や常連さんの悲しげな背中は京都でもニュースになったほど。

しかし奇跡的に屋台跡地から目と鼻の先にテナントがあり、再オープンへ。屋台があった因幡薬師前のコンクリートの色が変わった場所が屋台のあった跡。2畳もないほど小さな空間だったのが分かる。先代は屋台が好きで、毎日のように寝泊りをしてほぼ住み着いていたほど。

屋台も元々は先代の奥様が経営しており、先代はお客さんだったとの事。そこから通い詰めて結婚され屋台を引き継ぐことに。そりゃ屋台が好きなわけですね。

壁には若かりし頃のお父さんと因幡薬師さんで飼われていた犬のショット。因幡薬師の好意で新店舗移転の情報も掲載している。

取材に伺った私も先代の屋台時代にはお世話になった一人。

屋台時代の先代と。おそらく2015年頃。雑誌の仕事をしていると言うと、「東京の有名雑誌編集者が知り合いなので今後紹介したる」と豪語されたことも。こんなわけのわからん若造にも優しく語りかけてくれることにも今となっては感謝だ。

せっかくなので当時を再現して8年ぶりに息子さんの奥さんと一緒に。奥さんは飲食未経験ならがも試行錯誤のうえ継承「お店をやってよかった。体が続く限りはお店を続けたい」と。次々に訪れる常連さんを目の前に先代さながらの優しい笑顔が印象的だ。

優しいおでんの味はもちろん、年齢も性別も関係なく隣り合う同志が語り合う屋台の面影は変わらず。人生の喜怒哀楽を表す屋台の文化は店舗になっても継承され続ける。

いつまでも続いてほしい一軒だ。

この日いただいた日本酒

  • 山形、米鶴酒造 マルマス米鶴 限定純米吟醸

この青ラベルは山形県産酒造好適米『出羽燦々』を55%まで磨き上げた純米吟醸。爽やかな吟醸香に、ふくらみのある芳醇な味わい、さわやかな後切れで杯を重ねたくなる日本酒。お米の旨みが口中に広がり 飲み疲れることなく杯の進む。

  • 秋田 両関酒造 花巴 純米吟醸 出羽燦々 火入れ

十四代の遺伝子を受け継ぐ日本酒。酒米に“出羽燦々”を使用した純米吟醸は、新鮮味がありつつも柔らかく幅のある味わい、果実の様なフルーティー且つジューシーな旨味、そして弾けるような爽快感があります。豊かな味わいに仕上がっている季節限定品。

屋台いなば

屋台いなば

住所
京都市下京区東洞院通高辻下ル燈篭町592番地1Googlemapで開く
営業時間
金・土 17:00頃から23:00頃
定休日
月・火・水・木・日

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