編集部が行く!

世界一の日本酒生産地!
灘五郷の日本酒が楽しめるおすすめ観光コースを案内

兵庫県の灘エリアは古くから日本酒造りが盛んなエリアであり、現在でも数多くの有名酒蔵が軒を並べている地域として有名です。しかし、一言で灘と言ってもその範囲は広大。初めて灘を訪れた場合は、どこから回ればいいのか迷ってしまうでしょう。
本記事では初めての灘観光でも日本酒を満喫できるおすすめコース、スポットを紹介!ぜひ灘での日本酒旅行の参考にしてください。

灘ルート アイキャッチ
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日本三大酒どころの一つである兵庫県・灘。全国トップの生産量を誇り、数多くの有名酒蔵が集中しているエリアです。「灘の男酒」という言葉は全国的にも有名であり、その歴史と伝統ある味わいはこれまで多くの日本酒ファンを虜にしてきました。

「灘」と一言で言っても、実は「灘五郷(なだごごう)」と呼ばれる5つのエリアに分かれており、神戸市から西宮市まで広範囲に広がっています。それぞれ「西郷」「御影郷」「魚崎郷」「西宮郷」「今津郷」という地域に分かれており、最東に位置する「今津郷」から最西の「西郷」までは10km以上も離れているのです。

本記事では灘五郷のほぼ中心である阪神電車「魚崎駅」から約半日で回れるプランを提案!日本酒の深い歴史に思いを馳せながら、ここでしか味わえない限定酒も楽しめるといった、灘の日本酒を堪能できるモデルコースになっています!

大阪梅田から約20分、阪神電車「魚崎駅」からスタート!

初めて灘へ訪れた方へおすすめの下車駅は、灘五郷のほぼ中心に位置する阪神電車「魚崎駅」。阪神電車「梅田駅」から約20分程度、「大阪難波駅」からでも約30分程度で到着可能だ。

魚崎駅

↓魚崎駅から徒歩8分

1.日本酒造りの伝統を感じる![菊正宗酒造記念館]&[樽酒マイスターファクトリー]

[菊正宗酒造記念館]は昭和初期まで使用されていた実際の道具を見ながら、日本酒の造り方を学べる博物館。国指定重要有形民俗文化財の「灘の酒造用具」の各展示を間近で見学できる。菊正宗記念館

現在のように冷蔵設備がない時代、良い日本酒を造るためには極寒期の最も気温の低い時間帯に作業する必要があった。そのため基本的に酒造りは夜明け前から行われる。[菊正宗酒造記念館]ではそうした当時の様子を再現するため、朝方の薄暗い環境が再現されているのだ。

菊正宗記念館

全てが実際に使用されていた用具ということもあり非常に迫力のある展示。薄暗く、厳しい寒さに耐えながら良質な日本酒を生み出していた環境が擬似的に味わえる。

江戸時代に確立した伝統製法である「生酛造り」を実施していた「酛場」など、貴重な展示の数々は一見の価値ありだ。

菊正宗記念館

物販コーナーには菊正宗のお酒はもちろん、様々なお土産品が豊富に揃う。

実際に使用されていた「酒袋」を使用した小物入れなど、見ていて楽しいアイテムだらけだ。

菊正宗記念館

タイミングが良ければ[菊正宗酒造記念館]でしか味わえない限定酒の試飲もできるかも。加熱処理を行っていない生原酒は、酒蔵に訪れなければ楽しめない味わいだ。

菊正宗記念館

[菊正宗酒造記念館]には[樽酒マイスターファクトリー]が併設されており、事前予約(1日3回 定員20名)すれば見学ができる。菊正宗は樽酒の瓶詰め日本一を誇っており、ここでは酒樽作りの現場を実際に目の当たりにできる。

樽酒マイスターファクトリー

灘の日本酒は江戸時代、樽に貯蔵した状態で太平洋を渡り江戸へ運搬されていた。質の良い酒は上方である灘から日本酒が江戸へ下ったことが、現在の「くだらない」の語源になったと言われている。

樽に使用される木材は樹齢100年を超える奈良県吉野の杉。見学中は常に杉特有の涼しげで爽やかな香りが楽しめる。

訪れるタイミングによっては職人が実際に樽を組んでいる様子を見学することも可能だ。釘、接着剤を一切使うことなく、一滴も日本酒が漏れない杉樽を作る様子は圧巻。江戸時代から受け継がれてきた技術は現在、「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」に指定されている。

樽酒マイスターファクトリー

日本酒造りの原点ともいえる現場を贅沢に見学できる[菊正宗酒造記念館]と[樽酒マイスターファクトリー]。灘、そして日本酒の歴史を存分に楽しんで欲しい。

樽酒マイスターファクトリー

  • 菊正宗酒造記念館(きくまさむねしゅぞうきねんかん)
  • 住所:〒658-0026 神戸市東灘区魚崎西町1-9-1
  • TEL:078-854-1029
  • 営業時間:9:30~16:30(入館は16:00まで)
  • 定休日: 年末年始
  • 入館料:無料(団体は要予約)
  • URL:菊正宗酒造記念館

 

  • 樽酒マイスターファクトリー(たるざけまいすたーふぁくとりー)
  • 住所:〒658-0026 神戸市東灘区魚崎西町1-9-1
  • TEL:078-277-3493
  • 営業時間:9:30〜16:30
  • 見学時間:10:30/14:00/15:00(各3回)
  • 所要時間:約30分
  • 定員:各回20名(先着順)
  • 開催日:休館日をのぞく毎日開催(事情により見学を行わない場合あり)
  • 定休日: 年末年始
  • 入館料:無料(要予約)
  • 参加方法:見学予定日2日前までに予約サイトから予約
  • URL:樽酒マイスターファクトリー

 

↓菊正宗記念館から徒歩10分

2.灘の伝統的な酒蔵が現存する![白鶴酒造資料館]

1743年(寛保3年)創業の白鶴酒造は、灘五郷の中で最も日本酒を生産する酒蔵。つまり、日本一の生産量を誇る酒蔵だ。

白鶴資料館

灘五郷の酒蔵は1995年に発生した「阪神・淡路大震災」により大きな被害を被ったことから、多くの建物はそれ以降に再建されたものが多い。

しかし、この白鶴酒造資料館の建物は昭和44年まで稼働していた大正時代の酒蔵。灘の伝統的な酒蔵の様子を現在に伝える貴重な存在になっている。

白鶴資料館

展示では等身大の人形とともに、当時の酒造りの様子を再現。この人形はこの蔵で実際に造りを行っていた蔵人達がモデルになっていると言われている。

約半世紀前まで実際に使われていた酒蔵ということもあり、当時の様子がありありと伝わってくるはずだ。

白鶴資料館

展示の最後には無料試飲も用意されている。中でも直営店限定商品として販売されている「特別純米原酒 蔵酒」の生酒が飲める場所はここだけ。実際に訪れた際はぜひ味わって欲しい。

白鶴資料館

  • 白鶴酒造資料館(はくつるしゅぞうしりょうかん)
  • 住所:〒658-0041 神戸市東灘区住吉南町4丁目5-5
  • TEL: 078-822-8907
  • 営業時間:9:30~16:30(入館は16:00まで)
  • 定休日:お盆・年末年始(要確認)
  • 入館料:無料(10名以上の団体は要予約)
  • 公式HP:白鶴酒造資料館

 

↓白鶴酒造資料館から徒歩5分

3.灘五郷のお酒を一挙に楽しむ![灘五郷酒所]

灘の日本酒の歴史、造りを学んだところで「灘五郷」の豊富な日本酒を楽しもう。2022年4月にオープンした[灘五郷酒所]では灘五郷に集まる全酒蔵の日本酒が飲める。

灘五郷酒所

まっすぐに伸びたカウンターはなんと全長約50メートル!カウンターの上には、灘五郷の各酒蔵が記載されており、それぞれが席番号になっているという遊び心に溢れたお店だ。

灘五郷酒所

お店がある場所はもともと、「剣菱酒造」の酒蔵だったことから、最初の乾杯は剣菱で!元気のいい店員さんが灘の歴史、日本酒について丁寧に説明してくれる。

灘五郷酒所

こちらのおすすめは「灘五郷酒所ペアリングセット」。各エリアおすすめの日本酒と3種の料理が楽しめるペアリングセットだ。

力強い灘のお酒は単体ではなく、料理と合わせることでその真価を発揮する。濃い味付けにも負けない香味、組み合わせによって生まれる新たな味わいなど、相性の考え抜かれたペアリングを楽しんで。

灘五郷酒所

  • 灘五郷酒所(なだごごうさけどころ)
  • 住所:〒658-0046 兵庫県神戸市東灘区御影本町3丁目11−2 剣菱酒造内蔵
  • TEL:080-7945-8291
  • 営業時間:12:00〜21:00(金曜日・土曜日)、12:00〜20:00(日曜日・祝日)
  • 定休日:月火水木
  • URL:灘五郷酒所

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↓灘五郷酒所から徒歩10分

4.蔵元直売店でフレッシュな味わいを![泉酒造]

1756年(宝暦6年)に酒造業を開始した泉酒造。阪神・淡路大震災により木造の仕込蔵などが倒壊してしまい、灘での酒造りを一時中断せざるを得なくなった。

一時的に親戚筋の酒蔵を借りた酒造りを行ってきたが、再び灘の地での酒造りを目指し2007年に醸造復活。昭和30年に建てられた蔵をリフォームし、様々な銘柄を展開している。

泉酒造

現在のショップは2021年に建設。中では季節に応じた銘柄の販売、そして常時2種類の試飲が可能となっている。

現在主力銘柄である「仙介」は、蔵の再建を目指していた2006年に他界した7代目の名前から決められたという。

泉酒造

取材に訪れた4月末はスッキリ爽やかな呑み口が楽しめる「仙介 夏純米」と、フレッシュな旨味が特徴の「琥泉 純米吟醸 無濾過生原酒」が試飲可能となっていた。

地元の方が日常のお酒を買いに訪れることも多く、灘の地酒として復活を果たした泉酒造。歴史ある灘の伝統を受け継ぎつつも、フレッシュで新しい味わいをぜひ楽しんで。

泉酒造

  • 泉酒造株式会社(いずみしゅぞうかぶしきがいしゃ)
  • 住所:〒658-0044 兵庫県神戸市東灘区御影塚町1-9-6
  • TEL:078-821-5353
  • 営業時間:10:00〜16:30
  • 定休日:土日祝
  • URL:泉酒造株式会社

この記事の酒蔵はこちら

泉酒造
泉酒造
兵庫
♯酒蔵♯兵庫

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↓泉酒造から徒歩12分

5.ノーベル賞の公式行事で提供される灘の銘酒![神戸酒心館]

神戸酒心館は代表銘柄「福寿」を造る醸造棟と同時にショップ、料亭、多目的ホールが集まった複合施設。酒造りに留まらず飲食、観光事業を一体化させた地域振興を目指している。

神戸酒心館

酒蔵見学はセルフで可能であり、時間帯によっては原料米の蒸し工程などが見られる。

蔵で醸される「福寿 純米吟醸」は、ノーベル賞公式行事に振舞われる日本酒として世界的に有名だ。酒蔵見学の入口にはノーベル賞受賞者のサインが書かれたボトルも展示されている。

神戸酒心館

東明蔵と呼ばれるショップではお酒はもちろん、食品まで豊富に並ぶ。

[神戸酒心館]ではサステナブルな取り組みに注力しており、醸造工程でカーボンゼロを達成した日本酒や、酒粕を活用したスイーツなど環境に配慮した商品が揃っている。

神戸酒心館

ここでしか購入できないお酒として「蔵直採り 純米生酒」と「蔵直採り 大吟醸生酒」の量り売りがある。瓶を再利用すれば初回よりもお得に購入可能。

環境にも配慮しつつ、プレミア感も味わえる嬉しい商品だ。目の前で直接注がれるフレッシュな香り、味わいを楽しんで。

神戸酒心館

  • 株式会社神戸酒心館(かぶしきがいしゃこうべしゅしんかん)
  • 住所:〒658-0044 神戸市東灘区御影塚町1-8-17
  • TEL:078-841-1121
  • 営業時間:11:00〜16:30(蔵見学、要予約)、10:00〜18:30(東明蔵)
  • 定休日:年末年始
  • URL:神戸酒心館

 

↓阪神電車「石屋川駅」まで徒歩10分 お疲れ様でした!

スポット全体マップ

ライター :新井勇貴
滋賀県出身/SAKE DIPLOMA・日本酒・焼酎唎酒師
酒屋、食品メーカー勤務を経てフリーライターに転身。好みの日本酒は米の旨味が味わえるふくよかなタイプ。趣味は飲み歩き、料理、旅行など

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