地域の酒

日本三大酒どころの一角「広島」にある酒蔵の日本酒を紹介!

灘、伏見と並び、西条が日本三大酒どころに数えられる広島県。本稿では広島の酒造りの歴史をはじめ、県内にある酒蔵とおススメの日本酒を紹介。現代の吟醸造りの元を作った広島酒のすごさがわかる!

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各地に数多い銘酒蔵を有する広島県。東広島市にある西条は「酒都」と呼ばれる酒どころだ。
同地には全国酒造鑑評会が行われる国の研究機関・酒類総合研究所があり、兵庫県(灘)や京都府(伏見)と並び日本三大酒どころの一角に数えられている。
明治時代から先進技術をリードする“御三家”の酒造りにせまる!

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軟水醸造法を生んだ先進の酒造り

古くは『万葉集』大伴旅人の歌に「吉備の酒」が登場するほど、広島の酒造りの歴史は深い。
特に盛んになったのは明治時代からで、現在の安芸津町には元広島藩の米倉があり、豊富な米を生かして造り酒屋が急増した。
当時は醸造技術が未熟でしばしば腐造が起こったが、酒造家の三浦仙三郎が「軟水醸造法」を考案。これこそが現代の吟醸造りの元となり、のちに仙三郎は「吟醸の父」と呼ばれるようになった。

近代になると、鉄道輸送の発達した東広島の西条が酒造りの中心地に。
灘、伏見と並ぶ日本三大酒どころとして名を馳せ、現在も西条酒蔵通りには賀茂泉ほか7つの蔵が並ぶ。

広島の酒は、軟水を生かしたやわらかな口当たりと豊かなうま味が特徴。八反錦など独自の酒造好適米や広島酵母の開発など、現在も県や組織をあげての研究が進められている。

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①「賀茂泉酒造」

明治45(1912)年創業。
米と米こうじのみの本来の酒造りの復活を目指し、試行錯誤の末、1972年に「本仕込み賀茂泉」を発売。当時は希少だった純米造りのパイオニアとなる。
活性炭によるろ過を行わないほのかな山吹色の酒は、うま味豊かな芳醇な味わい。軟水の多い広島では珍しく、中硬水の龍王山由来の伏流水を使用しており、適度なミネラル感があるのも特徴だ。

『おススメの1本!』賀茂泉 朱泉 本仕込1800ml
賀茂泉 朱泉 本仕込
ふくよかなうま味とコク、爽やかな味わい。日本のみならず、世界でも愛される賀茂泉を代表する純米吟醸酒。
対外的な評価も高く、全国燗酒コンテストで2013年と2016年に金賞受賞。「KuraMaster日本酒コンクール2024」で純米酒部門にてプラチナ賞を受賞。

特定名称:純米吟醸酒
原材料:米(国産)、米こうじ(国産米)
使用米:広島山田錦、中生新千本
アルコール度:16%
酵母:KA-1-25

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賀茂泉酒造
広島
♯広島

②「竹鶴酒造」

製塩業[竹鶴屋]を前身として、享保18(1733)年に酒造業を始める。瀬戸内の恵みの魚介に合ううま味豊かな食中酒が[竹鶴酒造]の信条だ。
2004年に広島で初めて生酛造りを復活させ、江戸時代さながらの酵母を添加しない酒造りを手がけている。
すべての銘柄が純米酒というのもこだわりの一つ。

『おススメの1本!』小笹屋竹鶴 生酛純米原酒
小笹屋竹鶴 生酛純米原酒
昔ながらの木桶で醸す[小笹屋竹鶴]シリーズ。
生酛造り特有の懐の深い味わい、濃醇なうま味は燗映えし、食中酒として料理をグッと引き立てる。

特定名称:純米酒
原材料:米(国産)、米こうじ(国産米)
使用米:広島県産改良雄町100%
フレーバー:アーモンド、醤油
アルコール度:20.5%
酵母:無添加

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竹鶴酒造株式会社
竹鶴酒造
広島
♯広島♯酒蔵

③「梅田酒造場」

大正5(1916)年創業。かつては5軒の造り酒屋でにぎわった広島市安芸区船越の地にただ一軒残り、歴史をつなげている。

代表銘柄「本州一」のネーミングには「日本一の酒を作りたい」という思いが込められている。
岩滝山からの伏流水を汲み上げ、主に広島産の酒造好適米を使用。フランスの日本酒コンクールKura Masterなど海外での受賞歴も数えきれず、小さいながらも世界的に評価の高い酒蔵だ。

『おススメの1本!』本洲一 無濾過純米吟醸
梅田酒造「本洲一 無濾過純米吟醸」

製造工程で活性炭でろ過しておらず、原酒のままの風味がしっかり味わえるのが特徴。
なめらかな口当たりとふくよかな味わい、フルーティーで落ち着いた香りが楽しめるバランスの良い純米吟醸酒だ。
国際的な評価も高く、イギリス・ロンドンで毎年4月に開催される「International Wine Challenge」では、SAKE部門にて2012年と13年の2年連続でゴールドメダルを受賞。
フランスで開催される「Kura Master」では2020年に金賞を受賞。香港で開催される「Oriental Sake Awards」では2022年に銀賞を受賞した。

特定名称:純米吟醸酒
原材料:米(国産)、米こうじ(国産米)
使用米:千本錦(広島県産)
フレーバー:青リンゴ、ライチ、メロン
アルコール度:16.5%
酵母:広島吟醸酵母

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梅田酒造場
広島
♯広島

④「福光酒造」

明治初期創業の[高杉酒造]から引き継ぎ、昭和8(1933)年より[福光酒造]として地元に愛される地酒を製造。
2006年に蔵元杜氏が病に倒れ一度は廃業するも、9年の時を経て創業者のひ孫にあたる四代目が蔵を再興。新たな酒造免許の取得は難しいため、町の特区免許でワインとどぶろくの醸造を行う。

『おススメの1本!』純米生どぶろく「朝光」
純米生どぶろく「朝光」
12%と低アルコールで飲みやすい、どこか懐かしさを感じる味わいの純米生どぶろく。おだやかな香りとキレのある辛口、やや発泡感のある飲み口は食中酒にぴったり。

特定名称:純米酒
原材料:米(国産)、米こうじ(国産米)
使用米:広島県産 こいもみじ100%
フレーバー:ヨーグルト ライチ
アルコール度:12%
酵母:きょうかい8号+広島令和1号酵母

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福光酒造
広島
♯広島♯酒蔵

「酒まつり」に行ってみよう!

例年西条酒蔵通りでは「酒まつり」が開催され、35回目を数える2024年は10月12日(土)13日(日)に行われる。
全国地酒の試飲や蔵元では限定酒も販売する。赤い煙突と白壁が美しい酒蔵のまち、西条を訪ねてみよう!

▽2023年の様子はこちら▽
https://sakeworld.jp/special/231024-hiroshima-sakematsuri/

ライター・唎酒師 藤田えり子
大阪の日本酒専門店に世界を広げていただき、さまざまな日本酒や酒蔵に出合う。好きな日本酒は秋鹿、王祿ほか
お酒以外の趣味は鉱物集めとアゲハ蝶飼育。

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