日本酒好き必見!大阪駅・梅田のおすすめ角打ち巡りスポット3選
酒屋さんの一角に設けられた飲食スペースのことを『角打ち(かくうち)』と言います。カウンターでの立ち飲みスタイルで安価に楽しめるお店が多く、気軽に1杯寄り道しやすいおすすめの酒場のひとつ。
北九州発祥と言われる「角打ち」は、今や全国さまざまなスタイルで広がり、味にあふれた老舗からネオスタイルと呼ばれるモダンなものまで幅が広がりつつあります。
そして実は“大阪 梅田”は角打ちの名店が揃うエリア。 日々、角打ちを探して町を散歩しているライター橋尾が、日本酒も楽しめる角打ちのお店を、飲み歩きしながらご紹介します。
ビギナーもおひとり様も安心して日本酒が楽しめる[浅野日本酒店]
梅田地下街にある「泉の広場」から地上に出て、扇町通りを東へ5分弱歩くと、軒先から下がる杉玉が見える。ガラス張りになっている店は奥まで見通しが良く、入りやすい雰囲気。
店内には大きな冷蔵ケースとディスプレイ棚があり、びっしり日本酒が詰まっていて、並ぶラベルを見るだけでも楽しめる。常時150種揃う日本酒の豊富さが自慢の店だ。客席はカウンターの他にテーブル席もあり、1人はもちろん、2、3名で入れるのも嬉しいところ。
常連・新規客ともに人気なのが利き酒セット(1,000円~、昼の時間帯は800円~)。日本酒30ml×3種、アテ1品のセットが週替わりで楽しめる。この値段で3種類が味わえるのはお得。メニューには提供される日本酒について詳しい解説が書かれているのもありがたい。蔵のある地方の風景や作り手の顔写真があり、酒造りの背景まで楽しむことができる。
取材日のセレクトは奈良の「花巴(はなともえ)」を中心とした2種。同じ銘柄だが山廃生酒、水もと生酒、山廃うすにごり生酒と違った味わいが楽しめる。飲み比べることで自分の好みを発見でき、気に入ったお酒をついつい購入して帰ってしまう。
次の一杯を迷っていると、スタッフさんが「店内にあるお酒は、ビールと発泡日本酒以外すべて試飲ができるので言ってくださいね」と声をかけてくれた。冷蔵ケースのものも含め、購入を検討しているものは何杯試飲してもいいとのこと。太っ腹である。
浅野日本酒店は『飲めて試して買える』ことや『日本酒をコーヒーのように気軽に』『ゆるい店』といったコンセプトを掲げている。
そう話す朗らかな店長の西野さんは、店の日本酒セレクトも手掛ける。付き合いのある蔵とのつながりはもちとん、お客さんの声も反映している。また、同年代の蔵人を応援する姿勢など心意気が感じられる。
毎週土曜日には全国各地の酒蔵の方を招いたイベントが開かれている。ゲスト蔵のお酒が利き酒セットになっていることが多く、味わいながら酒造りや土地のことを聞けるのが楽しい。コンセプト『昼飲みのススメ』の名の通り、昼間は利き酒セットがお得価格だ。また昼からふらりと、ついつい寄りたくなる店である。
浅野日本酒店
あさのにほんしゅてん
住所:大阪府大阪市北区太融寺町2-17 太融寺ビル 1F
アクセス:各線「梅田駅」から8分
TEL:06-6585-0963
定休:年中無休(年末年始休)
時間:11:00~23:00(LO22:40)
禁煙・喫煙:全席禁煙
予算:1000~1999円
HP:https://asano-nihonshuten.co.jp/
SNS:https://www.instagram.com/asanonihonshutenumeda/
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♯奈良♯酒蔵
手作りのアテ、うまい酒、温かい人三拍子揃う店[山長 梅田店]
お次は、大阪の呑兵衛ならみんな大好き駅前ビルの中にある店へ。第2ビル地下1階の[山長 梅田店]は、駅前ビルが入居者募集を始めた昭和52(1977)年にこの地にて酒屋の営業を始めた。競合の多い梅田で他がやっていないことを始めよう、と1年後の昭和53年から立ち飲みスペースを併設し、現在は2代目になるご主人が切り盛りされている。
「立ち呑み処」と大きく書かれた暖簾が目印。ビールやチューハイ類に加え、定番の日本酒は約24種、週替わりは6種が揃う。お酒の選択肢が豊富なのはさすが酒屋。おつまみ類もメニューが多く、壁に並んだ短冊だけでアテになりそう。イチから手作りだというおつまみは奥様と娘さんが健康を考えて調理しており、200円台から食べることができる。
今日のおすすめ地酒に並ぶ兵庫のお酒、「琥泉 夏の原酒」はフルーティな香りと爽やかな味わいが楽しい純米吟醸原酒。優しい味わいのおつまみとも相性が良い。お願いすると小グラスで出してくれるのが嬉しい。酒屋で購入したお酒も飲むことができる。
この日は自家製きゅうりのぬか漬け(300円)と、日替わりおかずから豚肉としめじの糸コン時雨煮(300円)をいただく。素朴ながらも丁寧に作られたアテがしみじみ美味しい。
ちくわの磯辺揚げを頼んだら「マヨネーズは要る?」と聞いてから添えてくれる、細やかな気遣いに溢れた接客に心が沁みる。
店の壁にはテレビが設置されており、手持無沙汰にならずゆったり過ごせるのも嬉しい。2席あるテーブルはビールケースを積み上げて作られたTHE・角打ちスタイルで渋かっこいい。
山長 梅田店
やまちょう うめだてん
住所:大阪府大阪市北区梅田1-2-2 大阪駅前第2ビル B1F
アクセス:各線「梅田駅」から5分
TEL:06-6344-0228
定休:土日祝
時間:16:00~21:00
禁煙・喫煙:全席禁煙
予算:1000~1999円
HP:https://yamachou.ocnk.net/
SNS:https://www.instagram.com/yamachouumedaten/
ついつい寄りたくなっちゃう大人の秘密基地[曽根崎 松浦商店]
昼に近隣店舗への酒配達を終え、夕方になると提灯に灯りをつけ開くのが、曽根崎の[松浦商店]だ。全4.9坪の敷地には、7席程度で満席のコンパクトなカウンターと冷蔵庫が収まっている。まるで秘密基地のようなワンダーランドの趣がある。
店のコンパクトさに対してお酒やつまみの種類は驚くほど多い。日本酒は常に20種ほどストックがあり、その時のおすすめを出してくれる。もちろんビールやチューハイも常備しているが、酒屋営業との兼ね合いでどの銘柄が揃っているかはその時次第。そのランダム性も楽しい。
いただいたのは奈良の「出世男」。うま味と酸味があり、ひと口飲むとしっかりした味わいがダイレクトに来るお酒だ。キリリと冷やして飲むとさっぱり楽しめる。
壁には乾きものが下がっており、ボードには日替わりの手作りおつまみが並ぶ。店の前にある燻製器で燻す、燻製ポテチ(170円)、燻製チーズ(120円)は絶品なのでぜひ食べてみて欲しい。取材日は「今日は水ナスがあるで!」とおいしい漬けものを食べさせてもらった。
酒屋業を長く営む中、先代である酒好きの父と立ち飲みスペースを開き今年で9年目。「前からやりたいと思ってて。しゃべりながら日常のあれこれをガス抜きできる場にね」と店主の松浦さん。昨年まで大阪酒販青年会の会長を務めるなど、酒販店の連帯を強めたり、イベントの開催などにも力を入れている。お酒やおつまみはもちろん、店主の松浦さんの人柄に人が集まっているのだろう。
お客さんは顔見知り同士の方が多く、入店があると「○○○さん、久しぶり!」と声を掛け合い、店主の松浦さんも常連さんの冗談に応酬している。
常連さんの多い店はアウェイに感じ、入りにくいことが多いが、松浦商店はそんな引け目を感じさせない。気さくな店主と酒場距離感の上手な常連さん達が、見事な手綱具合で話しかけたりそっとしておいてくれたりする。会社帰り、ひとり0次会や2次会など、それぞれの日常のガス抜きに、今日もついつい、立ち寄ってしまう。
曽根崎 松浦商店
そねざき まつうらしょうてん
住所:大阪府大阪市北区曽根崎2-10-28
アクセス:各線「梅田駅」から8分
TEL:06-6314-5515
定休:日祝
時間:月~金 17:00~21:00、土 17:30~20:00
禁煙・喫煙:全席禁煙
予算:1000~1999円
SNS:https://www.facebook.com/sonezaki.matsuurasyouten/
https://www.instagram.com/sake_matsuura
ライター 橋尾 日登美
東京生まれの大阪在住。ライターとして、企業取材記事や、ビジネスコラム、暮らしとお酒と食にまつわる記事を執筆中。同時に企業の人事・広報も支援。
ディープな酒場エリアに暮らし、趣味は飲み歩きとピクニック、料理。とにかくすぐ「ビールが飲みたい」と発言するのが特徴。好きな日本酒は『上喜元』、『舞美人SanQ』。