[山口県/村重酒造]
幻の8号酵母で醸す日本酒「eight knot(エイトノット)」をBY違いで飲み比べしてみた!
[山口県/村重酒造]より販売されている幻の「きょうかい8号酵母」で醸すシリーズ「eight knot(エイトノット)」を2020年、2021年、2023年とBY違いで飲み比べ。編集部によるテイスティングレポート。
山口県の観光名所、錦帯橋で有名な城下町岩国の[村重酒造]
若手杜氏が幻の8号酵母で醸す日本酒「eight knot(エイトノット)」を2020年醸造、2021年醸造、2023年醸造のBY違いで飲み比べしてみた。
eight knot(エイトノット)とは?
「eight knot(エイトノット)」は、昭和52年に頒布中止となった幻の酵母「きょうかい8号酵母」で醸すシリーズ。8号酵母は一般流通していない酵母として日本醸造協会が管理・保存を行なっており、酵母が糖を食べる速度が遅く、アルコールの生成が遅いのが特徴で多酸な濃厚酒向きの酵母。藤黄(とうおう)と白練(しろねり)の2種類があり、2020年に第1弾が販売。2020年醸造はIWC(インターナショナル ワイン チャレンジ)2021「SAKE部門」純米酒の部にてメダルを獲得するなど、日本国内のみならず世界からも注目を集めている。
「eight knot」の由来は、山や海をはじめ様々なところで活用されるロープワークの結び方のひとつ、「八の字結び(エイトノット)」。その名の通り数字の「8」の字をかいた結び方で、強度が非常に高く破断しにくい事から、「生産者から消費者までが解けることのない強い絆で結ばれること」を願い命名されている。
2023BYを試飲
香り
色は少し黄味がかかった薄濁り。藤黄の方は酸味を感じる乳酸菌の香りが感じられる。熟したドライフルーツや桃の香り。白練りの方が爽やかな桃やマンゴーのような香り。
味わい
白練/旨味がしっかりあり、雑味が全くない味わい。綺麗に流れていくが酸味が 喉の奥までしっかり包んでいる。
藤黄/飲み口は 白練りと同じ。 しっかりとした酸味、苦味、旨味、生酛らしい味わいが広がる。通常の生酛よりは酸味が強く感じられる。
トータルで酸味を感じ、酸をより飲みやすく、より美味しく。酸味らしい酸味が体感できる。
eight knot白練2023
原料米:山口県産山田錦(一部に山口県産契約農家オリジナル米)
精米歩合:80%
アルコール分: 16度
日本酒度:非公開
酸度:非公開
eight knot藤黄2023
原料米:山口県産山田錦
精米歩合:80%
アルコール分:17度
日本酒度:非公開
酸度:非公開
2021BYを試飲
2023年から2年熟成。2023年と比べると色が全く違い、白練の方が少し黄味がかっているのが見て取れる。
香り
白練/2023年とそこまで大差はなく、重厚な白桃の香り、甘さを感じる。
藤黄/2023年より落ち着いており、新酒のような爽やかな米の香りがする。
味わい
白練/味わいも2023年と比べるとそこまで大差はなく、綺麗な飲み口。
色味の割にはのそこまで熟成がかかった感はない印象。
藤黄/やはり新酒のような味わい。生原酒のような濃くてとろっとした飲み口で、とても濃厚。
2023年の方が生酛造りが感じられ、2021年はより重厚感が感じられる。
どちらも3年熟成がかかってるとは思えない綺麗な飲み口。冷蔵保管なので、ゆっくりじっくりと熟成している途中段階だ。
eight knot白練2021
原料米:山口県産西都の雫
精米歩合:70%
アルコール分:18度
日本酒度:非公開
酸度:非公開
eight knot藤黄2021
原料米:山口県産西都の雫
精米歩合:70%
アルコール分:17度
日本酒度:非公開
酸度:非公開
2020年BYを試飲
香り
白練/驚くほど香りが落ち着いている。精米歩合が70%で元々が香りが香る酒質ではないが、より香りが落ち着き穏やかな印象。例えるなら白桃からメロンのような薄い香り。
藤黄/若干、熟成香がありブランデやウィスキー系のような香り。そしてバラの香りエレガントで上質な香りに変わりつつある。
味わい
白練/2023、2021年と比べるとボリュームダウンして、 酸味がすっと残ってる印象。元々酸味が強いので特徴的な苦みとキレがあり、 淡麗辛口の部類に入ってきている。
藤黄/同じくすごく落ち着いて飲みやすくなっている。酸味が強い辛口の味わい、若干熟成のオフフレーバーな雰囲気が出ている綺麗なお酒。
eight knot白練2020
原料米:山口県産
精米歩合:70%
アルコール分:15度
日本酒度:非公開
酸度:非公開
eight knot藤黄2020
原料米:山口県産
精米歩合:70%
アルコール分:15度
日本酒度:非公開
酸度:非公開
まとめ
全体的に白ワインのような非常に透明感のあるお酒に仕上がっている。
個人的に生酛が好きなので2023年が好きだが、もしかすると少し濃すぎて飲みにくいという人もいるかもしれない。
Sake World NFTでは紹介したすべての銘柄が-5度氷温庫で熟成保管できる。
2020年が熟成させた1つのサンプル参考だと考えると、香りが落ち着き、ボディがスッキリして、クリアな淡麗の味になっていくのではと推測する。
生酛はおそらくアミノ酸値が多く、うま味成分たっぷりだと思う。
そのアミノ酸の成分がどのように化学反応して変わっていくのかを考えるととても面白い。
熟成させるのは米の旨味たっぷりで米もあまり磨いてなく、アミノ酸値が高いものが非常に変化に面白い形だと改めて感じる。
今回BY違いで飲み比べてみて、2021年は全く違うお酒ができたのではないかと想像する。
2023年を2年熟成させた、3年熟成させたっていうサンプルにはならないのかもしれない。
とはいえ2023と2020だけを比較してみるとすると、改めて綺麗な味わいになっていくのではないかという期待値を持つ。
アミノ酸成分を変化させて綺麗なお酒を生み出す方法が、 低温熟成の1つの価値だと感じる味わいだ。
村重酒造株式会社
- 創業
- 明治初期創業/昭和26年から会社設立
- 代表銘柄
- 金冠黒松、村重、eight knot
- 住所
- 山口県岩国市御庄5丁目101-1Googlemapで開く
- TEL
- 0827-46-1111
- 営業時間
- 9:00~17:00
- 定休日
- 年始(1月1日~1月3日)