純米生原酒 鬼作左 袋吊り搾り
久保田酒造 | 福井県
久保田酒造
白山山系の山々と竹田川に囲まれ、丸岡城との間に位置する地で、270年の歴史を刻む老舗酒蔵の[久保田酒造]。創業は宝暦3年と、270年の歴史を有す。11代目当主となった直邦さんは、地酒とは何か?と自問し、「地元の米と水で醸したものこそ地酒と名乗れるのでは」と、地元の素材にこだわった生産体制を整備する。代表銘柄の「富久駒」は福井の酒の中でも有名どころ。酒蔵見学では、その成り立ちが体感できる。
「第一に麹。麹は酒の命なんです」と話す、当主の久保田 直邦(くぼた なおくに)さんが案内してくれる酒蔵見学は、分かりやすく見ごたえ満載。館内に貼られた写真を使って酒造りの重要なポイントを解説・イメージさせ、配布するパンフレットでは数ページにわたり醸造工程を図解。親切な見学終了する頃には、日本酒の解像度が格段に上がっている。「日本酒に興味を持って好きになって欲しいんです」と日本酒を愛するが故、普及に努めているのだとか。
中でも必見なのが自社開発した麹造りの機械。機械まで作る蔵元はあまり聞かない。麹を造る部屋”麹室”の様子が他の蔵元とは違うシステマティックな出で立ち。先代が酒造りを追求するあまりにつくりあげたものだそう。
今では「使う米がどうやってできているのか把握したい」と米作りまで自社で行い、8割以上を蔵の横に広がる水田で栽培する。自ら作った米、この地から湧き出ている地下水、自社開発の機械で安定してつくる麹を使っていることが、自信ある酒を送り出せている所以だ。
搾りの工程には伝統的な袋搾り製法を取り入れたものも。元はイベント限定で始めたはずが、町長が気に入り、リクエストによって作り続けているのだとか。「たくさん作れないから儲からないんだけどねえ」と笑いつつ教えてくれた。
試飲すると、同じ銘柄のお酒でも搾り方でこんなにも味が違うのかと、そのまろやかさに驚くこと間違いなし。
試飲には日本酒でつくったリキュールも登場。各地のイベントで試飲ウケの良いものを開発し商品化に至ったとのこと。代々継がれる「日本酒を飲んで好きになって欲しい」との想いを感じた。