地域の酒

石鎚山の伏流水で醸す、やわらかでやさしい酒。「愛媛」にある酒蔵の日本酒を紹介!

酒造りの歴史は古く、全国的にも高い技術を誇る杜氏集団を生んだ愛媛県。小さいながらも伝統的な手造りを守る酒蔵が多いことでも知られる。本稿では県内にある酒蔵とおススメの日本酒を紹介。

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瀬戸内海、宇和海からの海の恵みに寄り添う愛媛県。この地で作られる日本酒は、西日本最高峰の石鎚山が位置する四国山地からの伏流水に由来するやさしい味わいが特徴だ。
県独自の酒造好適米や花酵母の開発など新しい動きにも注目したい、愛媛の日本酒を紹介!
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瀬戸内の魚介に合う「伊予の女酒」

愛媛県は石鎚山ふもとの「東予」、都(松山市)を擁する「中予」、宇和海と瀬戸内海に面した「南予」の3つの地域に分かれている。
気候風土が違えば酒蔵もそれぞれに個性豊かで、そのほとんどは家業的で生産量も少なく、伝統を守り続ける小さな蔵だ。

戦国時代後期に地域の献酒を担っていた酒蔵が現存し、その記録から愛媛の酒造りの歴史は約400年以上前にさかのぼるとされる。江戸初期にあたる慶長16年(1611年)の文献にも銘酒としての記述が残り、当時から酒どころとして知られていたようだ。寛政期1790年頃には、僧の円乗が灘から醸造法を持ち帰り、これがルーツとなった「越智郡杜氏」と、南予地方の「伊方杜氏」の集団はともに多くの技術者を輩出してきた。

仕込み水は石鎚山の伏流水を使う蔵が多く、軟水から中硬水の特質でやわらかなやさしい味の酒になるのが特徴。そのため、古くより「伊予の女酒」と呼ばれてきた。
地域によっても違いはあるが、旨み豊かで淡麗な味わいは瀬戸内の魚介にぴったりだ。

近年では県独自の酒造好適米「しずく媛」を開発。また新開発の花酵母「愛媛さくらひめ酵母」を使って愛媛の米と水で醸造する「えひめ香る地酒プロジェクト」を2022年からスタートさせた。
この取り組みには、県内23の蔵元が参加するなど、さまざまな新しい試みも始まっている。

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①石鎚酒造

大正9(1920)年創業。愛媛県西条市の石鎚山のふところに蔵を構え、家族中心での手造りを貫いている。
蔵内の井戸から湧き出る石鎚山系の超軟水で仕込まれる酒は、ビロードのようなやわらかさとすっきりした口当たりの「飲むほどに旨くなる」食中酒。タライ麹法による麹造りから長期低温発酵のもろみまで、すべての工程に繊細な手作業の感覚が活きている。

『おススメの1本!』石鎚 純米大吟醸 さくらひめ

石鎚 純米大吟醸 さくらひめ

愛媛県オリジナル品種の花から生まれた「愛媛さくらひめ酵母 Type1 Tropical」を使用。果実を感じさせる華やかな香りと、適度な甘さと爽快な酸味が調和している。さくらひめの花をイメージしたデザインも目を引く。

特定名称:純米大吟醸酒
原材料:米(国産)、米こうじ(国産米)
使用米:愛媛県産しずく媛100%
アルコール度:16%
酵母:愛媛さくらひめ酵母Type1 Tropical

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石鎚酒造
石鎚酒造
愛媛
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②首藤酒造

明治34(1901)年創業。仕込み水は石鎚山系の伏流水の湧き出る自社井戸水、米は県独自の酒造好適米「しずく媛」や「松山三井」、酵母まで地元産にこだわる。
当主を含めた三兄弟だけの手造りゆえ、生産量は少ないながらも、仕込みは一度に一品種ごとと限定した丁寧な酒造りの姿勢が地元で愛される所以だ。

『おススメの1本!』寿喜心 しずく媛 純米吟醸

愛媛県初の酒造好適米「しずく媛」をを使用。果実を思わせる甘く華やかな吟醸香、甘味と酸味のバランスが良く、後味にキレのあるすっきりとした味わい。

特定名称:純米吟醸酒
原材料:米(国産)、米こうじ(国産米)
使用米:愛媛県産しずく媛100%
アルコール度:15%
酵母:EK-1

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首藤酒造
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③養老酒造

大正10(1921)年創業。2006年に三代目が蔵元杜氏となって以来、夫婦二人三脚での酒蔵を盛り上げてきた。
ところが、2018年7月の西日本豪雨で酒蔵が全壊。それをきっかけに帰郷した長男とともに、仲間やボランティアの助けもあって復興を果たした。
伊方杜氏の伝統を受け継ぎ、蔵内の地下約10mから汲み上げる肱川の伏流水、米や酵母も地元産にこだわり、手作業での酒造りを貫く。

『おススメの1本!』風の里「さくらひめ」純米吟醸

花酵母の純米吟醸らしいやわらかな花の香りを感じつつ、ほんのり甘めでスッキリとした旨味と酸味が爽やか。山菜・川魚・瀬戸内の魚料理などと相性がよく、食中酒として華やかに彩る。

特定名称:純米吟醸酒
原材料:米(国産)、米こうじ(国産米)
使用米:愛媛県産しずく媛
アルコール度:16%
酵母:愛媛さくらひめ酵母

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♯酒蔵♯愛媛

愛媛の酒を飲み比べできるアンテナショップも

四国の中では酒蔵の数が最も多く、愛媛県酒造組合には35蔵が所属している。
松山市にある酒造組合直営のアンテナショップ「蔵元屋」では約150の銘柄が揃う。じゃこ天などのおつまみとともに飲み比べを楽しみながら、お気に入りの愛媛の酒を見つけてみては。
http://www.yokota-sake.com/kuramotoya/

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ライター・唎酒師 藤田えり子
大阪の日本酒専門店に世界を広げていただき、さまざまな日本酒や酒蔵に出合う。好きな日本酒は秋鹿、王祿ほか
お酒以外の趣味は鉱物集めとアゲハ蝶飼育。

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