[2024]京阪で地酒と車窓を贅沢に楽しむ!「京都日本酒電車」の乗車レポート
2024年2月17日(土)、24日(土)の2日間限定でJTB特別企画として、京阪電鉄とコラボした「京都日本酒電車」が特別運行。京都の日本酒と特製おつまみ弁当を楽しみながら、車窓を眺めるという贅沢な時間が実現した。本記事では24日午前便の様子をレポートします!
INDEX
2016年からスタート!「京都日本酒電車」とは
2016年から開始された「京都日本酒電車」は、電車に乗りながら京都の銘酒を堪能できるイベントだ。2024年はコロナ禍を経て久々の本格開催。本イベントのために運行する電車は日本酒を楽しむための特別仕様となる。京阪本線「三条駅」で乗車、「樟葉駅」で折り返し「中書島駅」で下車するという約1時間40分の電車旅となった。
午前10時、京阪「三条駅」で受付開始
江戸と京都を繋ぐ東海道の起点、三条大橋の真横に位置する京阪「三条駅」に集合。115名の参加者が開始前からかなりの盛り上がりをみせていた。思わず午前中だということを忘れてしまいそう。
改札付近で受付と同時に指定席を案内してくれる。10時35分に再集合し、10時45分に出発するため、参加する場合は少し余裕を持った方が良さそうだ。
POINT1 見慣れた車内が非日常的な空間に!
案内に従いホームまで移動すると、定刻通りに日本酒電車がやってきた。イベント車両のためヘッドマークも特別仕様に!
ロングシートの車両が使用されており、参加者は全員片側に座る。目の前が常に開かれているので、車窓を邪魔されることなく楽しめる形だ。車内にずらっと机が並んでいる光景は圧巻。見慣れた車内のはずだが、初めて訪れたような感覚を覚える。
10時45分の定刻どおりに出発!
出発して間もなく、乾杯の挨拶が伏見酒造組合理事である[齊藤酒造]の齊藤様より車内アナウンスにて行われた。「三条駅」から「七条駅」までの区間は地下を走るのだが、気がつけば地上へ出ていた。
POINT2 車窓と共に京都の銘酒を楽しむ
「京都日本酒電車」では厳選した京都の20蔵の日本酒の中から、午前と午後で異なる10種類が提供される。今回いただいた銘柄は以下の通りだ。
- [北川本家]富翁 純米吟醸 山田錦58
- [月桂冠]月桂冠 大吟醸
- [城陽酒造]城陽 特別純米酒60
- [宝酒造]特選 松竹梅 純米大吟醸
- [豊澤本店]豊祝 純米大吟醸 祝
- [松本酒造]桃の滴 特別純米酒
- [山本本家]神聖 超辛口 特別純米原酒
- [佐々木酒造]古都 特別純米 福実鳥
- [松井酒造]純米 神蔵KAGURA 無濾過無加水生酒 ルリ
- [羽田酒造]京・北山の地酒 羽田純米吟醸
1種類ごとの量は30ml〜40ml程度だと思うが、合計すると2合(360ml)程度になる。ゆっくりと楽しみたい。
日本酒に合わせる特製おつまみ弁当も豪華!午前便は京料理「清和荘」が監修。どれも日本酒に合う味付けで、どんどん杯が進んでいく。
日本酒と特製おつまみ弁当を楽しみつつ、ふと前を見ると車窓が広がる贅沢。この体験は「京都日本酒電車」でないと味わえない。
POINT3 蔵人から日本酒を提供してもらう特別な体験も!
前述した10銘柄に加えて、同乗する酒蔵からのおすすめ日本酒も直接提供される。蔵人に直接注いでもらうという体験もイベントならではだ。今回提供された日本酒は以下の通り。
- [増田徳兵衛商店]月の桂 祝米 純米大吟醸 にごり酒
- [松山酒造]十石 祝 純米吟醸
- [黄桜]純米スパークリング ピアノ
- [齊藤酒造]英勲 古都千年 純米吟醸
- [玉乃光酒造]純米吟醸 祝100% 源氏物語絵巻
▲[増田徳兵衛商店]月の桂 祝米 純米大吟醸 にごり酒
▲[松山酒造]十石 祝 純米吟醸
蔵の方々は運行中なんどか目の前を通ってくれるので、酒のうんちく話で盛り上がる。同じ伏見エリアで造られてるがどれも個性があり、日本酒の奥深さに改めて気がつく。
POINT4 普段は使用しない「樟葉駅」の「引上線」を走る
電車は11時14分着の「淀駅」で約30分間停車する。トイレ休憩を含め一息ついた後、11時45分に再度出発。折り返し地点である「樟葉駅」へと向かっていく。
「樟葉駅」で折り返す際、「引上線」とよばれる本線とは異なる線路を使用する。車両の方向転換、入れ替えを行うために一時的に使用する側線だ。
写真中央がその「引上線」。両隣の線路と比較して線路が少し錆びていることが分かる。現在はほぼ使用されていない線路ということで、そこを走るだけでも貴重な体験となるだろう。
午後12時26分、終点の「中書島駅」へ!
「樟葉駅」で折り返すと、終点である「中書島駅」を目指して再び走り出す。およそ40分間、再び日本酒と車窓を楽しむ。このあたりになると隣に座る人との会話も弾む。はじめは知らない人同士であっても、徐々に仲良くなっていくことはイベント参加の醍醐味だ。
そして12時26分の定刻通り「中書島駅」へ到着。およそ1時間40分という時間からは考えられないほど、充実した内容だった。
イベント車両は「中書島駅」から「三条駅」方面に引き返す。午後からの乗客を迎える準備をするのだろう。
参加者はそのまま「中書島駅」で降りる。ここまで楽しんできた日本酒の酒蔵が並んでいる風景は壮観だ。大勢の方々が足取り軽く、伏見の銘酒を楽しむべく街へと向かっていった。
身近な物を組み合わせた新しい体験
電車に乗りながらの飲酒ということで、乗り物酔いを気にする方もいるかもしれない。私も若干懸念していたが、結果として全く気にならなかった。周囲にもそういった人は見当たらなかったので、誰でも安心して楽しめるはず。
電車と日本酒という身近なものを組み合わせるだけで、ここまでエンタメ性の高い体験ができるのかと感動した。また普段は使用されていない線路を走るなど、日本酒好きと鉄道好きどちらにとっても楽しい内容になっている。少しでも気になった方は、ぜひ次回開催の情報を確認の上、参加を検討して欲しい。
ライター:新井勇貴
滋賀県出身/唎酒師・SAKE DIPLOMA
酒屋、食品メーカー勤務を経てライターに。好きな日本酒銘柄は滋賀県高島市の「不老泉」。趣味は飲み歩き、料理、旅行など
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