“おでん”に燗酒が美味しい理由って?天然だしおでんが名物の[KELP]に聞いてみた!
俳句において冬の季語となる“おでん”。
日本酒党なら、やっぱり熱々のおでんには熱燗でいきたいもの。
最強コンビが合う理由って?
出汁のいい香りが漂うおでん酒場
石畳の路地が残る京都・烏丸佛光寺にあるモダンな印象のおでん酒場。
入ったとたんに出汁のいい香りが漂い、それだけで頬が緩む。
「関東からのお客さんも多いんですよ」と店長の小谷さん。
10年も20年も長く親しまれるよう、おでんは基本に忠実を心掛ける。大根や玉子などの定番ネタを中心に、自家製の鴨ロールキャベツや京都らしい生麩、だし巻きなども楽しめる。
なにより命となる出汁は、北海道産の昆布に枕崎産鰹節、あご(飛魚)を贅沢に使った関西風。
左奥から時計回りに、だいこん300円、たまご250円、生麩550円
この記事の紹介者はこちら
- 店長 小谷修一さん
-
プロフィール大阪府出身。京都のスポーツショップに勤務後、転職をしたミュージッククラブで現在の社長と出会い、飲食業へ。好きな日本酒は日日と紀土と神蔵。
おでんに燗酒が合う理由って?
言うまでもなくおでんと日本酒の相性はばっちり!でもその理由って?
成分が似た日本酒と料理の組み合わせは、おいしいという評価が多いそう。
この考えでいくと、燗をしておいしさが増す温旨系のお酒によく合う料理の筆頭は“おでん”になるんだとか。
出汁の旨味成分、醤油由来の乳酸、甘味成分などがたっぷりと素材に滲み込み、それに和辛子の刺激味が加わり、温旨系の日本酒のうまさが溢れる。
特にしっかりタイプの山廃や生酛造りの食中酒が合い、燗酒ならばさらによし。
また[KELP]では行なっていないが、出汁割りという日本酒の飲み方があるくらいで、お酒の旨味とおでんにしみた出汁の旨味が掛け合わされて旨さは倍増。
こだわりの燗酒3選
京都はもちろん各地の日本酒が勢揃いしている[KELP]。
店長の小谷さんに燗酒におすすめな日本酒を3銘柄セレクトしてもらった。
燗が向くとされている程よい酸のある芳醇な純米酒二本に加え、小谷さんがおすすめの一本に追加した「日日 山田錦」は、それとはまったくタイプが違う。
「発泡は酸化を防ぐためでもあるそうで、温めると炭酸ガスが消えて、隠れていた香りがグッと引き立ってきます」。燗酒の常識が変わる体験ができそうだ。
■賀茂金秀 お燗酒 純米酒 グラス700円、徳利1100円
金光酒造(広島県)、アルコール度数15度、精米歩合 麹米60%、掛米65%
サブネームは“するする優しいお燗酒”。
その通りクセのない口当たりの良さ。麹米に雄町を使用しているので、燗をつけるとさらに旨味と酸味のバランスがよくなり、料理に寄り添う。
小谷さん「燗酒はいろいろありますが、これが一番飲みやすいです。燗でなにかおすすめはと聞かれたら、いつもこれをお出しします」
■ヒモノラ 辛口純米酒 グラス700円、徳利1100円
白隠正宗(静岡県)、アルコール度数15度、精米歩合65%
干物の産地、地元沼津のアーティストとコラボした「味確認生物ヒモノラ」ラベル。
白隠正宗らしい地元の食に合う地酒。
小谷さん「おでんともちろん合いますが、ラベルの通り干物との相性もぴったり(笑)辛口のお酒で、燗にすると米の香りが立ってきます」
■日日 山田錦 グラス1100円、徳利1600円
日々醸造(京都府伏見区)、アルコール度数12度、精米歩合非公開
2021年に設立された松本日出彦氏が率いる酒蔵。兵庫県東条産山田錦100%。
生酛仕込みのやわらかな甘みと酸味、軽いガス感があるフレッシュな味わい。
小谷さん「フルーティーで飲みやすい冷酒ですが、燗もいい。名杜氏が立ち上げた、今注目している酒蔵です」
こんな個性派の日本酒も!
季節の限定酒を合わせて14本前後が並ぶ日本酒メニュー。リスト外でも個性的なお酒がピックアップされているので、料理や好みに合わせて相談してみて。
■八仙 Mixseed Series 2023 KiM69 グラス●●円、徳利●●円
八戸酒造(青森県)、アルコール度数17度、精米歩合69%
蔵元いわく“八仙史上最高にドライなお酒”。
華やかな香りと味のギャップがあり、ロック調のラベルもインパクト抜群。青森県産まっしぐら100%。
小谷さん「超辛口で後味にキレがあります。おすすめの飲み方はオンザロック」
■酔鯨 純米吟醸 吟麗秋あがり(寒露) グラス700円、徳利1100円
酔鯨酒造(高知県)、アルコール度数16度、精米歩合50%
北海道産酒造好適米の吟風100%使用。
瓶詰めの後、氷温貯蔵でゆっくりと熟成させ、旨味がありつつ後味にキレのある味わい。
小谷さん「ひと夏越してまろやかになった秋あがり。この季節限定のお酒です」
本格的なアテにも注目を
和食店[御幸町ONO]の姉妹店なので、おでん以外のメニューも充実している。
とろたくを筆頭に、炭火焼きでは噛むごとに旨味が湧いて出るひねどりや一匹丸ごとのわた入り丸干しイカなど、日本酒抜きではいられない一品揃い。
締めまで抜かりなく、棣鄂の麺を使用したおでん出汁の中華そばはぜひ味わいたい。
とろたく 1000円
毎朝中央市場で仕入れる生マグロの中トロとたくあん、海苔は絶妙の取り合わせ。寿司屋の人気メニューをご飯抜きでお酒のアテにアレンジした一品
自家製さつま揚げ(紅生姜)400円、マグロ酒盗500円
揚げたてのさつま揚げは自家製で、関西らしく香りの良い紅生姜入り。酒盗はマグロのわたの塩辛。これだけで何杯もお酒がすすんでしまうこと請け合い
ほっとするおでんと燗酒で温まろう
「これからは新酒が楽しみな季節」と小谷さん。
おでんにも冬の味覚が加わり、出汁でほんのり温めた牡蠣など気になる一品が登場する。
カウンター11席とテーブル数席と限られており、人気店につき予約が確実。
ほっとするおでんと燗酒で心も体も温まりに訪れよう。
Instagram /@kelp_kyoto
Sakeが飲める・買える店一覧はこちらから
https://sakeworld.jp/place/
KELP
- 住所
- 京都府京都市下京区上柳町315-4Googlemapで開く
- TEL
- 075-353-0515
- 営業時間
- 17:00〜23:00 (LO/フード22:00、ドリンク22:30)
- 定休日
- 火曜、ほか不定休有