Sake Trivia

【豆知識】日本酒と米焼酎、同じお米を使ったお酒どうし。どんな違いがあるのかを知りたい!

日本酒好きには、焼酎の中でも味わいの近い米焼酎のファンが多いかも。同じお米のお酒なのに違いはあるのでしょうか?気になる「日本酒と米焼酎」について唎酒師の藤田えり子さんが解説します。

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日本酒も焼酎も日本の「國酒」

「國酒」という言葉を耳にしたことはありますか?“國”は“国”の旧字体で、昔から造られ親しまれてきた日本を代表するお酒を意味し、具体的には日本酒・本格焼酎・泡盛・本みりんの4種類を指しています。

その中でも、特に私たちに身近な存在なのが日本酒と焼酎でしょう。焼酎にも主原料に芋や麦を用いるものなどさまざまな種類がありますね。そこでふと疑問に思うのが、日本酒と米焼酎の違い。同じ米を原料にするものどうし、どんな違いがあるのでしょうか。

日本酒は醸造酒、米焼酎は蒸溜酒

米焼酎の造り方を簡単に説明すると、
①蒸した米に麹をつけて米麹を作り、水と酵母を加えて1次もろみを作ります。
②そこに蒸米と水を加え、8〜10日間ほど発酵させて2次もろみを作ります(芋焼酎や麦焼酎の場合は、この2次仕込みの時にさつまいもや麦を使用)。
③できたもろみを蒸溜し、貯蔵・熟成、ブレンドや割水をしてできあがり。

日本酒との大きな違いは③の蒸溜工程があること。醸造酒である日本酒に対して、米焼酎などの焼酎はウィスキーと同じ蒸溜酒というジャンルになります。

ほかにも日本酒と米焼酎はこんな違いが

日本酒と米焼酎には、ほかにもいくつかの違いがあります。
日本酒の精米歩合は高くて50〜70%が一般的ですが、焼酎は85~90%と高め。これは日本酒では雑味の元となるお米の外側に含まれるタンパク質や脂質が、焼酎の場合は風味作りに欠かせないため。使用するお米自体も、日本酒では山田錦などの特別な酒造好適米が多く使われますが、米焼酎はコシヒカリやあきたこまち、ヒノヒカリなどの食用米が主です。
麹の種類も違い、日本酒は黄麹。米焼酎は黄麹も使用しますが、濃厚な味わいに仕上げたい場合は黒麹、すっきりと仕上げたい場合は白麹と使い分けることがあります。

有名蔵元が造る米焼酎も人気

米焼酎の産地として有名なのが熊本県の人吉・球磨地区。この地域の焼酎は「球磨焼酎」と呼ばれ、産地呼称焼酎に認定されています。また、最近では「八海山」「十四代」などの有名どころをはじめ、さまざまな日本酒の蔵元が酒造技術を生かした米焼酎を製造しています。

さらにはちょっと珍しい「粕取り焼酎」も。これは酒粕に残ったアルコール分を抽出して造られる米焼酎です。昔ながらの酒粕にもみ殻を混ぜて蒸溜するものはややクセが強いので、最近では酒粕に酵母と水を追加して再発酵させる吟醸粕取り焼酎といわれる方が受けています。こちらも「獺祭」などの蔵元が手がけて、密かな人気を集めています。

焼酎の中でも、フルーティなやさしい口当たりで日本酒に近い味わいが楽しめる米焼酎。醸造酒と蒸溜酒の違いはあれど、それぞれのおいしさ、良さがありますね。

日本酒と米焼酎の比較

項目 日本酒 米焼酎
種類 醸造酒 蒸溜酒
アルコール度数 約15% 約25%
製法 発酵のみ 発酵後に蒸溜
精米歩合 50〜70% 85〜90%
使用する米 酒造好適米(山田錦など) 食用米(コシヒカリなど)
麹の種類 黄麹 黄麹・黒麹・白麹

 


ライター・唎酒師 藤田えり子
大阪の日本酒専門店に世界を広げていただき、さまざまな日本酒や酒蔵に出合う。好きな日本酒は秋鹿、王祿ほか
お酒以外の趣味は鉱物集めとアゲハ蝶飼育。

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