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【豆知識】日本酒の色をキレイにする「濾過(ろか)」。仕上げの工程、ろ過について知りたい!

酒屋さんに並ぶ日本酒の中でも、ちょっと特別な存在の無ろ過生原酒。無ろ過=ろ過しないという意味だけど、「ろ過」って具体的にどうするの? 気になる「ろ過」について唎酒師の藤田えり子さんが解説します。

利き酒の方法
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ろ過は日本酒の仕上げの一つ

日本酒造りの工程は大まかにいうと、蒸米・米麹作り・酒母作り・仕込み(発酵)を経て、でき上がったもろみを搾り、清酒にしていきます。でも、まだ完成ではありません。お酒の種類にもよりますが、瓶詰めまでには澱り引き・ろ過・火入れ・タンク貯蔵・割り水などのさまざまな“仕上げ”が行われているのです。今回はそのうちの「ろ過」について詳しくみていきましょう。

「ろ過」とは液体や気体から異物を取り除くこと。日本酒の場合でいうと、色付きや雑味の原因となる成分を除外するために行われます。搾りたての清酒は濁りがあるので、タンク内で数日間置き、固形物(澱り)を沈殿させます。これが「澱り引き」です。澱り引き後の日本酒はまだ細かい粒子が残り、うっすらと黄色がかっているので、透明にするためろ過をする必要があります。

利き酒の方法

新方式のろ過も登場

一般にろ過には粉末の活性炭を使用します。その始まりは一説によると、江戸時代に主人の扱いに不満を持った使用人が腹いせに酒の入った木桶に灰をぶちまけたところ、酒のにごりが取れてすっきりとした味になったことからとか。現代では澱り引きをした酒に醸造用活性炭を加え、炭表面の無数の微細な孔で不純物を吸着させて、フィルターを付けたろ過機に通しています。ただし、炭ろ過のしすぎはせっかくのお酒の旨みや香りも取り去ってしまい、また炭臭という異臭の原因にもなりかねないので注意が必要です。

このような炭ろ過に加えて、近年登場したのがSFフィルターを使用したろ過です。SFフィルターとはストローのような中空糸を束にしたフィルターで、酵母や劣化の元となる雑菌まで取り除くことができるので、現在多くの酒蔵で導入されています。

ろ過をする理由、しない理由

最近では無ろ過のお酒、特に無ろ過生原酒をよく見かけるようになりました。元々は酒蔵でしか飲めないものでしたが、品質の向上や流通管理の改善にともなって、気軽に酒屋さんで手に入るようになったのです。ろ過をしないので搾ったままの味わいが楽しめますが、一方で変質がしやすいので注意が必要です。その点、ろ過をしたお酒では安定した品質が保ちやすいといえます。

ろ過をした日本酒は透明感があり、バランスの良い味わいでさっぱりとした和食と相性ぴったり。無ろ過の日本酒はやや黄金色で力強い旨みがあり、味も個性豊か。濃厚な料理や洋食と合わせても負けません。今日のお酒はろ過にしようか無ろ過にしようか、迷ったら料理に合わせて選んでみてはいかがでしょうか。


ライター・唎酒師 藤田えり子
大阪の日本酒専門店に世界を広げていただき、さまざまな日本酒や酒蔵に出合う。好きな日本酒は秋鹿、王祿ほか
お酒以外の趣味は鉱物集めとアゲハ蝶飼育。

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