【豆知識】酒蔵の杉玉にはどんな意味があるの?杉玉の由来について知りたい!
日本酒専門店や居酒屋さんの店頭に、緑や茶色の玉が吊るされていることがあります。これは「杉玉」といって、本来は酒蔵の軒先にかけられるもの。杉玉をかける理由やその由来について、唎酒師の藤田えり子さんが解説します。
杉玉は新酒ができたしるし
酒蔵の軒先に杉の枝葉で作られた玉がかかっているのを見たことがあるでしょうか。これは杉玉または「酒林(さかばやし)」といい、「今年の新酒ができました」とお知らせをするシンボルです。毎年掛け替え、最初は真新しい緑色をしているのが、だんだんと茶色く色が深まっていく様子は、新酒から徐々にお酒が熟成していくことを連想させます。
特別な大神神社の杉玉
奈良県桜井市の大神神社はお酒の神様として知られます。例年11月14日に行われる醸造安全祈願祭(酒まつり)には全国から酒造関係者や杜氏が参列し、醸造安全の御幣と杉玉をいただくのです。
まつりに先駆けてかけ替える拝殿の大杉玉は、大神神社の御神体である三輪山の杉で造られ、直径1.5メートル、重さ200kgもある巨大なもの。参列をした酒栄講の講員に授与される杉玉も同じ三輪山の杉を使って神職が手作りし、「志るしの杉玉」「酒の神様 三輪明神」と焼き印を押した木札が付いています。杉玉を自前で作る酒蔵も多くありますが、やはり大神神社から授与されたものは特別な感がありますね。
杉玉の由来はいまだ謎?
酒蔵が杉玉を吊るす習慣は江戸中期には全国に広まっていたそうですが、その由来ははっきりわかっていません。ただ、杉が尊ばれた理由は大神神社の御神体である三輪山の杉の葉をお守りとしたこと。また杉には殺菌効果があり、櫂棒や樽などの道具に杉が使われていたからという理由が考えられています。
ミニチュア杉玉を手作りしよう
フラワーアレンジメント用のフローラルフォーム(メラミンスポンジで代用可)を球状に削り、杉の葉を隙間なく刺していきます。表面を丸くカットして整え、針金に付けた吊り糸や飾り房を刺し込んでできあがり。または緑色の毛糸でポンポンみたいに作ってもいいですね。
簡単にできるので、クリスマスリースの代わりやお正月の飾りに作ってみてください。
ライター・唎酒師 藤田えり子
大阪の日本酒専門店に世界を広げていただき、さまざまな日本酒や酒蔵に出合う。好きな日本酒は秋鹿、王祿ほか。お酒以外の趣味は鉱物集めとアゲハ蝶飼育。