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【豆知識】知っておくべき!100年先も美味しい日本酒を守りたい「日本酒×SDGs」

SDGsとは国連が定めた17の「持続可能な開発目標」のこと。日本酒の未来にとってけっして無関係ではありません。知っておきたい日本酒とSDGsの関係について唎酒師の藤田えり子さんが解説します。

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SDGsってなんだろう?

SDGsとは「Sustainable Development Goals」の略称で、2015年の国連サミットで採択された国際目標。2030年までに持続可能でよりよい世界を目指すとして、17のゴールから構成されています。その内容は社会や経済の不平等を無くすことや環境保護などが挙げられ、日本も積極的に取り組んでいます。

日本酒の業界においては、日本酒学研究会(各大学の研究者による学術研究会)が2021年の大会で「『地域資源の護り手としての酒蔵を考える』SDGsへの取り組み」と題したパネルディスカッションを行うなど意識が高まっていて、全国の酒蔵でも地域に合わせたそれぞれの取り組みが始まっています。

持続可能な農業のために:ゴール2「飢餓をゼロに」

日本酒の大切な原料となる米。現在では後継者不足による米農家の減少が問題になっており、米作りから手がける酒蔵が増えています。ほとんどが無農薬や減農薬などの自然栽培で、なかには糠や酒粕から発酵堆肥を作った循環型有機農法を採用する酒蔵もあり、環境に負荷をかけないチャレンジがなされています。

さらに醸造技術の向上によって、米をほとんど削らない精米歩合80%などの美味しい純米酒も増えており、フードロスの観点からも注目です。

きれいな水源を守るために:ゴール6「安全な水とトイレを世界中に」

水資源に恵まれたわが国でも、環境の汚染に伴う水質の変化には無関心ではいられません。日本酒造りには大量の水が必要になり、水が酒の味を大きく左右するため、昔から名水の湧く処に酒蔵が建てられてきました。今でも天然の伏流水や井戸水を使用することが多く、きれいな水の源となる森林の保全に尽力する酒蔵も少なくありません。
例えば日本三大酒どころに数えられる灘では大切な宮水を守るため、酒造組合による「水資源委員会」や「宮水保存調査会」活動のほか、一部の酒蔵は水源となる六甲山の「森の世話人」活動に参加して、自然環境の保全に協力しています。

リユースできる一升瓶:ゴール12「つくる責任つかう責任」

日本酒に使われる一升瓶はリサイクルの優等生。資源回収されたガラス瓶は砕かれて再びガラス製品として生まれ変わりますが、一升瓶やビール瓶はリターナブル瓶として洗浄して繰り返しリユースされています。もとは販売した酒屋さんに返却して回収されるルートが基本でしたが、最近は家庭からは自治体の分別収集に出されることが多くなり、残念ながら回収量は減少しています(収集後にリターナブル瓶を選別している自治体も多くあります)。大手の酒販店や自治体によっては回収拠点を設けている場合もあるので、できるだけ利用したいもの。

生酛と山廃

そのほかにも取り組みはいろいろ

おもに環境面についてまとめましたが、そのほかにも過疎化や高齢化の進む地域で雇用を生んだり(ゴール8「働きがいも経済成長も」)、地元と交流して町おこしをしたり(ゴール11「住み続けられるまちづくりを」)など、酒蔵は地域社会とつながって発展に貢献しています。

これから先、100年後も美味しい日本酒が飲めるよう、美しい自然や社会環境を守っていきましょう。


ライター・唎酒師 藤田えり子
大阪の日本酒専門店に世界を広げていただき、さまざまな日本酒や酒蔵に出合う。好きな日本酒は秋鹿、王祿ほか。
お酒以外の趣味は鉱物集めとアゲハ蝶飼育。

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