Sake Trivia
知っておきたい、ラベルの読み方
日本酒には興味あるけれど、種類が多くてどれを選べばいいかわからない。そんな悩みを抱えている人も多いのではないでしょうか? そんなビギナーのために、今月は日本酒選びの一つの目安となる、ラベルの基本的な読み方についてお伝えします。
清酒と書かれていたら、日本酒のこと
日本で販売されているお酒には、酒税法によって定義された品目が必ず表示されています。ビールやウイスキーはそのまま「ビール」、「ウイスキー」という表示なのでまず迷うことはありませんが、「清酒」と書かれている瓶を見て、ピンとこない人もいるかもしれません。実はこれ、日本酒のこと。酒税法上で日本酒は、「清酒」と呼ばれているのです。(「日本酒」と表示されている場合もあります)
吟醸? 純米? 本醸造?
日本酒の特定名称それでは日本酒の種類を見ていきましょう。清酒は酒類業組合法によって、特定名称の表示も定められています。特定名称とは米を60%以下に磨いて低温でじっくり醸造した「吟醸酒」、文字通り米と米こうじだけを使った「純米酒」、純米酒に近い香味と色沢を持ち醸造アルコールを添加した「本醸造酒」などを指します。さらに精米歩合や原料の組み合わせによって「大吟醸酒」、「純米吟醸酒」、「純米大吟醸酒」、「特別純米酒」、「特別本醸造酒」など計8種類に分類され、これらの特定名称の基準から外れるものを「普通酒」と呼んでいます。
香味を左右する精米歩合
精米歩合も必ず表示されている項目の一つです。精米歩合とは、日本酒の原料となる玄米を削って、残った白米のパーセンテージを表したもの。玄米の外側に含まれるビタミンやタンパク質、脂質が製造過程で日本酒の香味のバランスを崩し、雑味の原因となりうるため、精米は酒造りにおいて欠かせない工程。精米歩合50%の大吟醸は、お米の半分以上を磨いた、贅沢なお酒といえるでしょう。とはいえ、「精米歩合の高いもの=上質」とならないのが、日本酒の複雑さであり魅力でもあるところ。一般的に精米歩合の高いものは香り高く、低くなるほどコクがあるとされています。どちらを良しとするかは人それぞれ。まずは自分好みの精米歩合を探ってみましょう。
醸造アルコールの役割
精米歩合の近くには、原材料名が記されています。水は省略されるため、純米酒なら「米、米こうじ」、吟醸酒や本醸造酒なら「米、米こうじ、醸造アルコール」と表示されているでしょう。かつてはコスト軽減のためにアルコールが添加されていた時代もあったことから、悪者のようなイメージを持たれがちな醸造アルコールですが、実は口当たりや香味の調整において重要な役割を果たしています。本醸造酒の軽快で辛口なテイストは醸造アルコールによるものですし、品評会に出品されるような吟醸酒などの場合でも、吟醸香と呼ばれる香気成分を引き出すためにあえて少量の醸造アルコールを添加しています。近年アルコールを添加した日本酒(略してアル添酒と呼ばれています)の価値は見直されつつあり、アル添酒をより好む愛好家も増えています
ラベルはあくまで目安
ほかに、製造時期や製造者、アルコール分など表示義務のあるものから、酒米の品種名や貯蔵年数といった任意の記載事項まで、日本酒のラベルには様々な情報が詰まっていますが、「結局のところ、どれを選べばいいの?」という問いに唯一の正解を与えてくれるものはありません。千里の道も一歩から。失敗を恐れず色々試してみてください。そして抱いた感想と照らし合わせるように、ラベルを注意深くチェックしてみること。特定名称は? 精米歩合は? 原材料は…? だんだんと自身の嗜好がはっきりし、ラベルから味を想像できるようになれば、その日の気分に合わせた日本酒選びも可能になるかもしれません。もちろん、ラベルからの予想を超える日本酒に出合うこともあるでしょう。それもまた、日本酒の楽しみのうちなのです。