Sake Trivia
日本酒を作るお米の話
秋は新米の季節。新米で炊いた艶やかでふっくらとしたご飯は、それだけでごちそうですが、今回は主食として食べられているお米ではなく、日本酒の原料となる酒米、その中でも特に日本酒造りに適したお米をである酒造好適米についてお伝えします。
酒米のエリート「酒造好適米」
一般的なお米が千粒で24g以下であるのに対し、酒造好適米は25〜30gと大粒で、心白というお米の中心の白く不透明な部分がしっかりあることが特徴です。お米の外側に比べて組織がやわらかく細かな空洞がある心白は、麹菌の菌糸が中まで入り込みやすいため、日本酒造りにおいて重視されているのです。ほかに、タンパク質や脂肪が少ないこと、吸水率がよいこと、蒸しあがった時に外側がかたく、内側が柔らかいことなどが酒造好適米であることの条件となっています。
酒造好適米の生産状況
お米全体の生産量のうち、日本酒造りに使用されるお米は約5%。大粒であるがゆえに栽培に多くの手間のかかる酒造好適米に限っていえばたったの1%程度で、その希少性から一般米の5割以上も高値で取り引きされています。現在、酒造好適米に指定された品種は100種類ほど。兵庫県の「山田錦」、新潟県の「五百万石」、長野県の「美山錦」などが有名ですね。最近では県単位で品種改良も行われ、新しい品種が作り出されています。
京都独自の酒造好適米「祝」
京都でも「祝(いわい)」という、吟醸酒に向いた酒造好適米が作られています。「祝」が初めて誕生したのは1933年。しかし、戦後の食糧難により、収穫量の低い「祝」の栽培は一時中断されることとなります。その質の良さから1955年に栽培が再開されるものの、やはり収穫の難しさから、1974年以降姿を消すことに。しかしながら後に京都ならではのお酒をという機運が高まり、1992年、「祝」を使ったお酒が伏見で復活します。現在「祝」は丹波や丹後で栽培されており、伏見の酒蔵を中心に京都府内で「祝」を使った日本酒がつくられています。淡麗な味と独特の芳香を持つ、京都ならではの「祝」のお酒をぜひ楽しんでみてください。