日本酒とお店

大阪の名酒場が集結する[バルチカ03]で日本酒ハシゴ酒!おすすめ3軒を飲み歩き

2024年7月31日にオープンした[イノゲート大阪]内にある飲食フロア[バルチカ03]。冠する「03」は住所の「梅田3丁目」「サードプレイス」、そしてあえて親しみをもって「オッサン」を由来としています。これには「オッサン」をはじめとする、梅田で働く人々の憩いの場になってほしいという意味が込められています。

バルチカ03
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JR大阪駅西口改札すぐにある、7月31日にオープンした[バルチカ03]は、2F~5Fにかけて50店舗が集結。店名リストを見ると、行列の絶えない人気店や老舗から、隠れた名店まで、関西圏の酒場が一挙に集まっています。これは本来なら時間をかけて移動を伴うハシゴ酒がビルひとつで完結するということ!観光客はもちろん、関西の方にもうってつけ。今回は、特に日本酒が豊富で、おいしいものが食べられる3店舗を巡りました。

多彩な料理で自在に日本酒を楽しむ[わすれな草別邸 酒処すずめ]

バルチカ 忘れな草外観

常に行列が絶えない。こちらオープン直後がねらい目

まずは、話題店[わすれな草別邸 酒処すずめ]から。かつて肥後橋に立ち飲み屋としてあった頃からその名が知られる人気店。鮮魚、おでん、串カツからジビエやどじょうまで、幅広い料理も楽しめる。
イチ押しはお造り。単品から盛り合わせ、寿司1貫ずつまで幅広い楽しみ方ができる。今回は「造り盛り合わせ3種」(690円)をチョイス。

新鮮なのはもちろん、ツマにみょうがや貝割れ菜などが豊富に仕込んであるのが嬉しいポイント。「大根だけじゃつまらないんで」とのことで、サービス精神を思わせる。カウンターの目の前は厨房で、食事しながら包丁さばきが見られるのも目に楽しい。

目の前でどんどんおいしそうな肴ができあがっていくので、ついついあれこれ頼んでしまう

日本酒はグラス1杯から楽しめ、どれもリーズナブル。わすれな草系列の中でも、[バルチカ03]店は国産ウイスキーの品揃えを目玉にした店。しかし、日本酒のセレクトも豊富だ。メニューに掲載されていない銘柄も多数あり、好きな味わいを相談すると、おすすめのお酒を出してくれる。
今回1、2杯目に頼んだのはこちら。

左:奈良 今西酒造 みむろ杉(490円)、右:京都 月桂冠 鳳麟(490円)

1年を通して人気なのはおでん。定番の大根と、評判だという鶏つくねをいただく。仕上げにゆずの皮が削ってかけられており、ホッとするだけではないクリアなおいしさがいい。
一緒にいただいたお酒は宮城の名手酒造の「黒牛」。まろやかで料理の受け止め力が高い。やさしい出汁の風味とマッチし、ふわりと残るゆずの香りとの相性が抜群。

大根の分厚さ、つくねのホワホワ感と、各具材のおいしさも心に残る。

この店の面白いところは、ジビエやどじょう、くじらを扱っているところ。「くじら赤身」は、新鮮なくじら特有の濃いうまみと瑞々しさを感られ、後味がすっきりしていて、お酒の香りにすっと馴染む。
定番品に見えるポテトサラダにも炊いた猪肉を忍ばせているそう。他にも猪、鹿の湯引きなどがある。ストレート以外の球を投げてもきちんと絶品なのはさすが評判の名店だ。

くじら赤身690円※写真は、通常より量を減らして提供いただいたもの

日本酒と一緒にいただくと意外なおいしさだった品は、この店の名物のひとつだという、「本日のフィッシュカツサンド」だ。
日替わりで魚の種類が選べるようになっており、取材日は鯛、ハマチ、サーモン。白身魚はまだしも、青魚のハマチはなかなか見ない、と注文した。まろやかなタルタルと、青臭くないうまみのある脂を日本酒ですっと流すと、新しい日本酒の飲み方に出会ったような感覚だった。
ほわほわと揚がった身と囲む衣のカリカリで、食感のコントラストが楽しいのはもちろん、かなり薄いカットをされたパンが使用されており、見た目よりライトに食べられる。

ハーフサイズで490円。フルサイズは790円。刺身用の魚をぜいたくに使用

わすれな草系列は名店ゆえに、既存の店舗に行ったことがある人も多いのでは。しかし、ここ[わすれな草別邸 酒処すずめ]は、ゆったり感と大衆感のバランスの良さはそのままに、新しい味わいや体験を提案してくれる。何より、おいしいものから元気をもらえる場所だ。行列ができる理由に納得。

わすれな草別邸 酒処すずめ
ワスレナグサベッテイ サケドコロ スズメ
住所:大阪市北区梅田3-2-123 イノゲート大阪内 バルチカ03 5F
TEL:06-6136-8299
時間:11:00〜23:00
定休:施設休館日に準ずる

絶品干物をアテに、47都道府県の日本酒を[ひもの野郎]

テーブル席のみなので、ゆったりと楽しめるのがまたいい。

ここ[ひもの野郎]は店名から分かるように、干物がメインの酒場だ。大阪駅前ビルにて賑わう繁盛店の進出である。定食も提供しており、食事だけの人、定食にビールを付ける人、ちびちびと日本酒と干物を飲っている人など、さまざまな利用の仕方がある。
日本全国47都道府県のお酒を扱っており、大きな暖簾の奥の壁には一面に日本地図が描かれ、各県には酒の名前の札が下がっている。

ここには書かれていないお酒も多数冷蔵庫にあるのだとか。

この日はお得な飲み比べセットを選んだ。3種あり、種類別に楽しめるセットで、その日のお酒入荷状況次第で出してもらえる銘柄も異なる。

『純米酒』飲み比べセット1390円。

今回は以下3銘柄だった。
・愛知 山忠本家酒造 義侠
キリッと辛口のお酒だが、芳醇さも兼ね備えており力強い飲み心地。
・北海道 上川大雪酒造 十勝
雑味なく、飲みごたえのある味わい。まろやかながらキレの良い味わいは、魚の脂とも相性よし。
・山梨 笹一酒造 旦
バランスの良いみずみずしいお酒。少しの酸味がさわやかで、うまみもあるフレッシュな印象。

一番人気だという、紀州備長炭干しの「とろさば」(899円)。

おすすめの定番は「とろさば」。紀州備長炭干しというのは、身の余分な水分を紀州備長炭に吸わせて、酸化を抑えつつうま味を最大限引き出す製法。そのおかげでこのふっくらと分厚い身にうまみがたっぷり詰まっている。
もう1品、箸休め兼アテとして、珍しい「金山寺味噌とクリームチーズ」(580円)。金山寺味噌は、色々な野菜と多種の麹を漬けたもの。複雑なうま味と甘みが特徴の和歌山名物のごはんのお供だ。関西の名物の中でもローカル色が強い、隠れた名特産品がこうして酒の肴として食べられるとは。県外からの観光客の多い立地だからこそ、知って欲しいメニューである。

クリームチーズと発酵食品を組み合わせたおつまみはよく見るが、金山寺味噌は初めて見た。

もちろん、干物や一品以外にも焼き野菜や揚物など多様な料理が揃う。お昼の定食に、一杯だけ気軽に、とあらゆるシーンに立ち寄って、いつか47都道府県の行脚を達成したい。

ひもの野郎 バルチカ03エキウエ店
ヒモノヤロウ
住所:大阪市北区梅田3-2-123 イノゲート大阪内 バルチカ03 4F
TEL:080‐4098‐2511
時間:11:00 – 23:00(L.O. 22:30
定休:施設休館日に準ずる
URL:https://himonoyaro.com

珍しい銘柄と創作和食、酒ファンのオアシス[佳酒真楽 さかふね]

大阪市大国町にある地酒・日本酒専門店「山中酒の店」が運営する[佳酒真楽 さかふね]。常に60~80種ほどの日本酒を揃え、日本酒の知識豊富なスタッフの方がおすすめをチョイスしてくれる。開放感のある空間で創作和食と共に珍しい銘柄のお酒を楽しめる日本酒好きは必ず訪れたい店だ。

おすすめを教えてもらうと「この銘柄が全部揃う店はほとんどないと思います」と見せてくれたのが、鳥根の[王祿酒造]の「王祿」。懇意にしている蔵元が多数あるからこそ。この日はたまたまこの銘柄だったが、その時によってどんなレアなものに出会えるかはお楽しみだ。

左から、王祿80、丈径、超王祿、渓。

まずは「渓」からいただくことに。まろやかな甘みを感じるが、徐々にキレが出て最後にはすっきりとする。繊細な味わいだからか、温度の変化とともに味の表情がじんわり変わり、長く楽しめる。
合わせるのは、自慢のひとつだという鮮魚。漁師さんから直で買い付けることも少なくないという新鮮そのものがこだわりと聞き、この日のイチ押しだったイサキをお願いする。

しっかりとした歯ごたえで鮮度を感じる皿だった。薬味の種類の多さやフレッシュさが酒の香りにも作用して楽しい。

お通しの茶碗蒸しを間に挟み、温かい出汁の香りでほっとすると、いくらでも飲み進めることができるような気分になった。これがお通しとは豪華で嬉しい、とスタッフの方にお話しすると「うちはみんな酒飲みなので、こういうものがあったら嬉しいよね、とよく話すもので」とのこと。お酒に詳しい方が多いのも納得である。

大ぶりなものを蒸し器から席に直で出してくれる。アツアツなのが嬉しい。

次にいただいたのは、石川県 御祖酒造「遊穂のあか」。
冷やでも燗でも楽しめ、冷やでは少しの酸味にキレのあるシャープな雰囲気だったが、お燗をすると花開くような芳しさが出てくる。その後、温度が徐々に下がるにつれてまろやかさが際立つ。刻一刻と変わる表情が見逃せない。

合わせたのは「冬瓜の湯葉あんかけ」(780円)。ついつい出汁味とお酒を絡めたくなる。

さかふねは[バルチカ03]の中でも少し奥まった場所に位置しており、館内の賑わいからは少し距離をおいてゆっくり過ごせる「離れ」感のある場だ。それでも、店内は開店してすぐ満席になった。客層はグループから、ご夫婦連れ、ひとり客までさまざまで、ゆとりある空間でそれぞれお酒を楽しんでいる様子だった。
店内奥の冷蔵ケースはもちろん、あらゆるところに並んだ酒瓶や、飛び交う銘柄の名前が聞きなれないものばかりで、これこそ小仕込みの蔵も逃さず酒を仕入れるこの店ならではだなと感じる。見ても飲んでも、食べても楽しい日本酒体験のできる場だった。

佳酒真楽さかふね バルチカ03
カシュシンラクサカフネ
住所:大阪市北区梅田3-2-123 イノゲート大阪内 バルチカ03 4F
TEL:06-6456-7006
時間:11:30〜14:00 (ラストオーダー13:30)、17:30〜23:00(ラストオーダー22:00)※今後変更の可能性あり、SNSにて確認
定休:不定休※今後変更の可能性あり、SNSにて確認
URL:https://yamanaka-sake.jp/sakafune-barchica03/
SNS:https://www.instagram.com/sakafune_barchica03?igsh=emw2dGpncGhxYzN4

一堂に会した関西の名店、あらゆるシチュエーションで楽しめる

本記事で紹介した3軒をはじめとして、地元の人に「あの店が!?」と言わせるような店が一堂に会すこととなったバルチカ03。コンセプトの「オッサン」に限らず、老若男女あらゆる人々が日々集まっているのが納得の名店揃いだった。駅から雨に濡れないロケーションで、関西各地の味を楽しめるスポット、観光客だけではなくあらゆる人におすすめしたい。


ライター 橋尾 日登美
東京生まれの大阪在住。ライターとして、企業取材記事や、ビジネスコラム、暮らしとお酒と食にまつわる記事を執筆中。同時に企業の人事・広報も支援。
ディープな酒場エリアに暮らし、趣味は飲み歩きとピクニック、料理。とにかくすぐ「ビールが飲みたい」と発言するのが特徴。好きな日本酒は『上喜元』、『舞美人SanQ』。
Instagram: @hashiohitomi

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