広島駅で買える![酒 ます枡]で出合う、広島のお土産におすすめの日本酒5選
広島県の西条は、兵庫県の灘、京都府の伏見と並ぶ日本三大酒どころの一つ。JR広島駅でも、個性あふれる広島の日本酒を購入することができる。広島旅行のお土産にぜひ、日本酒という選択肢を。
JR広島駅の新幹線改札の目の前にある、ekie(エキエ)おみやげ館。広島らしいお菓子や雑貨がずらりと並ぶ、お土産選びにおすすめのスポットだ。
この中に店を構える[酒 ます枡]には、広島県各地で造られた日本酒が豊富に揃う。商品の選定を担当する株式会社ジェイアールサービスネット広島の山口歩美さんに、広島県の日本酒の魅力やお土産におすすめのラインアップを聞いた。
この方に話を聞きました
- 株式会社ジェイアールサービスネット広島 観光事業部 管理課 商品開発G 係長 山口歩美さん
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プロフィール広島県出身。約3年前から[酒 ます枡]の商品の選定を担当し、店長を兼任した時期も。「日本酒は探れば探るほど奥が深い。周りの人たちに助けられながら学んできました」
1. 広島の地酒を中心にした充実の品揃え
[酒 ます枡]がオープンしたのは、2018年9月。ekieの開業に伴い、西条をはじめとした酒どころとしての広島の魅力を伝えていくために酒専門店を開店することになった。
県内のあちこちで湧く軟水を使った「軟水醸造法」によるきめ細かい味わいの日本酒や、北部で珍しく湧き出る硬水によるキレのある辛口の日本酒など、広島県で造られるお酒の個性はさまざま。「お米、お水、気候など、広島県は酒造りの素材に恵まれていると思います」と山口さんは話す。
[酒 ます枡]で扱うお酒は、200種類以上。「種類の多さは当店の売りの一つです。広島の日本酒は本当に個性が豊か。こんな珍しいお酒があったんだ、とお客さまに感じていただける商品選定を心がけています」
定番の銘柄はもちろん、個性的な風味や珍しい造り方の日本酒も取り扱う。最近販売されたワイン酵母仕込みの日本酒は、爽やかな酸味と優しい甘味が感じられ、普段はあまり日本酒を嗜まない人にもおすすめだ。
2. 山口さんおすすめ 広島の日本酒5選
おすすめの日本酒を尋ねると「本当にたくさんあるんです!」と山口さん。[酒 ます枡]の店頭で出合える5本を紹介してもらった。
・醉心山根本店(広島県三原市) 醉心 紅乃舞 純米吟醸原酒
広島県限定の日本酒。広島県産酒造好適米と、広島県中央部鷹ノ巣山山麓の軟水を使用している。もみじをあしらったラベルも広島らしい。
山口さん「割水がされていない原酒ではありますが重くなく、華やかな香りと奥深い味わいがマッチした一本です。広島県限定品ということもあって、お土産をはじめとしたシーンで選んでいただいています」
720ml/3,080円
味わい/やや辛口
アルコール分/17度
原料米 /広島県産酒造好適米
精米歩合 /60%
・賀茂鶴酒造(広島県東広島市西条) 吉祥 賀茂鶴
1873(明治6)年に西条で創業した賀茂鶴酒造による、プレミアムな一本。もろみを酒袋に入れたあと、圧力をかけずに自然に滴り落ちる一滴一滴を集めて造られる「雫酒」だ。
パッケージにも高級感があり、年末年始や父の日などの贈り物としておすすめ。当初は年末年始などの贈答が集中する時期にのみ販売していたが、利用客からの要望により現在は通年で取り扱っているそう。
山口さん「雫酒の味わいはとても優雅。酒造好適米の山田錦が使われている、香りや味わいのバランスのよい大吟醸酒です」
720ml/11,000円
味わい/やや辛口
アルコール分/16度以上17度未満
原料米 /山田錦
精米歩合 /32%
・山陽鶴酒造(広島県東広島市西条) 純米吟醸 枡酒
[酒 ます枡]がオープンしたときに作られた限定枡酒。ボトルの中身はさらりとした口当たりの純米吟醸で、100mlのミニサイズはお土産としても渡しやすい。取材時にも「かわいい」と手に取る人の姿が多く見られた。
山口さん「こちらは男女問わず人気の商品。猫や魚などの瀬戸内らしいモチーフをパッケージにあしらった、当店で購入することができる一押しの日本酒です」
100ml/865円
アルコール分/15度
・八幡川酒造(広島市佐伯区) 八幡川 純米大吟醸
広島県生まれの酒造好適米「千本錦」を100%使用した純米大吟醸。米の旨味を引き出しつつも、香りは軽やかだ。2023年にはフランス人のトップソムリエたちが審査を行う「Kura Master」の純米大吟醸部門で金賞を受賞している。
山口さん「冷やして飲むのがおすすめ。辛口でキレのよい一本です」
720ml/2,542円
味わい/辛口
アルコール分/16度
原料米 /千本錦
精米歩合 /50%
・小野酒造(広島県山県郡北広島町) 老亀 純米吟醸
1697(元禄10)年頃から酒造りを行う、広島県北西部の酒蔵が醸す日本酒。精米した「千本錦」を低温でじっくりと発酵させている。米の風味よりも、個性的で独特な酸味と香りの良さが際立つ。
山口さん「口の中に湧き出る酸が個性的な、ぜひお試しいただきたい一本です。リピーターのお客さまもいらっしゃいます。しっかり冷やして、フルーツと一緒に召しあがるのもおいしいですよ」
720ml/2,442円
味わい/甘口
アルコール分/15度
原料米 /千本錦
精米歩合 /50%
3. 選べる2種をワンコインで飲み比べ
店内には、500円で2種類の日本酒を飲み比べることができるカウンターも。日本酒の内容はシーズンによって変わるが、純米大吟醸や大吟醸が並ぶAコースとその他のBコースから、各1種類を選ぶことができる。
Aコースの日本酒が注がれるおちょこには、店名と「のんでみんさい ひろしまの酒」の言葉が。持ち帰ることができるので、家でも日本酒を飲むときに活躍しそうだ。
取材時は、Aコースからは広島らしい「大吟醸 雨後の月」(広島県呉市 相原酒造)、Bコースからはお土産におすすめの一本でもある「老亀 純米吟醸」(広島県山県郡北広島町 小野酒造)をチョイス。
「大吟醸 雨後の月」はさらりとした口当たりで、酸味や刺激は後から追いかけてくる印象。対して、「老亀 純米吟醸」は舌がピリッとするような酸味を感じたあとに、口中で軽やかに転がるような心地よい香りが広がっていく。
思わず「飲み比べてみると、味わいが全然違いますね」と伝えると、「日本酒を知るには、まずは飲んでみるのが一番です」と笑顔の山口さん。
利き酒をしてみて、言葉で表現された味を体感する。この「なるほど」の積み重ねが、日本酒をますます楽しんでいく秘訣なのだろう。
4.広島の個性あふれる日本酒を発信し続けたい
[酒 ます枡]では、広島県の酒蔵を訪れたり、スタッフが実際に日本酒を味わってみたりすることで、日本酒の知識を深めていくことを大切にしている。
「当店はお客さまとの会話が多い店舗。予算やシーン、お好みに合わせておすすめできるよう、スタッフもいろいろな日本酒を味わって勉強しています」
店内に並ぶ日本酒のボトルには、手書きのPOPが掛かったものも。試飲会や、シーズンごとの売り場作りにも力を入れる。
「酒どころとしての広島の魅力を発信するというコンセプトを崩さず、これからも大切にしたいと思っています」。味わってみなければ分からない日本酒の顔を心を込めて伝えようという思いが、ひしひしと伝わってくる。日本酒を通して、広島を知る。そんな旅がしたくなったら[酒 ます枡]に立ち寄ってみたい。
ライター :時盛郁子
広島県出身/管理栄養士
ホテル勤務を経て、フリーライターに。好みの日本酒は、やや辛口でさらさらと飲める澄んだ味わいのもの。食べることと読み書きと、予定をたっぷり詰め込んだ旅が好き。