酒蔵に聞く

「熟成酒×NFTが蔵の歴史を繋ぐ」福島市唯一の酒蔵、金水晶酒造が新たな取り組みをスタート!

福島県[金水晶酒造]が慶応義塾大学と福島大学と連携し熟成酒×NFTを用いた新たな取り組みをスタート。金水晶酒造 斎藤湧生社長に話を聞いた。

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1895(明治28)年に創業した福島市唯一の酒蔵・金水晶酒造。
2011年の東日本大震災、2021年2月の福島県沖地震で被災。蔵を補強するも2022年3月の福島県沖地震で再度被災し、全壊判定を受けた。
一時は閉業を考えるが、「地元の酒を残したい」という一心で、市内荒井への移転し、2024年4月にオープンした。

新たに蔵を創るだけではなく「古い蔵の歴史を残したい」

今回、被災蔵の酒を新蔵の酒に受け継ぐ日本酒プロジェクトを慶應義塾大学と福島大学と連携し 熟成酒×NFTを用いた新たな取り組みをスタート。
プロジェクトに対する想いを金水晶酒造 斎藤湧生社長に話を聞いた。

この方に話を聞きました

金水晶酒造 株式会社 代表取締役 斎藤湧生さん
プロフィール
2024年3月に5代目蔵元として代表取締役に就任。酒蔵経営の傍ら、慶應義塾大学経済学部附属経済研究所 FinTEK センターにて研究員も努める。

-今回、慶応義塾大学と福島大学との連携した経緯を教えてください
齋藤さん「まず2022年に震災で被災し、蔵を移転するとなりました。加えてコロナ禍も追い打ちをかけ、お酒が造れない、売れないという日々が続く中で、何か新しい取り組みを模索していました。僕自身が慶応義塾大学出身で金融系にいたことから、酒造りの傍ら、慶応義塾大学のFinTEKセンターで研究員を始めました。」

※FinTech(フィンテック)とは、金融(Finance)と技術(Technology)を組み合わせた造語で、金融サービスと情報技術を結びつけたさまざまな革新的な動きを指す。

齋藤さん「蔵が移転する際に福島市唯一の酒蔵で129年の歴史を何とかして残したいと考えたときに、福島大学に相談しました。福島大学から新蔵の仕込みに旧蔵のお酒を使用し熟成酒とすることで、旧蔵の歴史や思いを新蔵に引き継ぎができるのではと提案してもらいました」

熟成酒×NFTの取り組み

-今まで熟成酒に対する考えはいかがですか?
齋藤さん「今まで熟成に関してはそこまで取り組んではいなかったです。ただ、何とかして歴史を繋ぎたい。その想いでとにかくやってみようと。歴史を残す以上は、旧蔵を越えていくものなので、新蔵には2~3度に保つ冷房の仕込み室を備え、8000ℓから3000ℓのタンクに縮小しました。その為小ロットでいい酒質の日本酒を造る事が可能になりました。四季醸造で地元福島県産のお米に変更しました。新蔵の荒川の伏流水は中軟水で、全国的にも珍しい硬度の高い水であることもわかりました。その為、熟成すればまろやかさが加わり美味しくなるだろうと考えています。今までより1ランク2ランク良いものを提供したいと考えています」

-そこからNFTに繋がるには?
齋藤さん「この熟成酒をどのように販売するかを考えたときに、慶應義塾大学経済学部附属経済研究所FinTEK センターの中妻センター長に相談しました。そこで“NFT”がいいのではないかと。」

日本酒を新蔵の仕込みに用い熟成酒とすることで、旧蔵の歴史や思いを新蔵に引き継ぎ、一点物の価値を付与することで販促につなげる、醸造から販売までのフードチェーン実証研究を開始をした。オークション理論を用いた販売プラットフォームを開発して、適正な価格で販売する仕組みを整備するそう。

齋藤さん「NFTのオークション理論なので市場に価値をつけてもらいたい。
そのために実装実験を取り組んでいます。現在4合瓶3000本のうち2000本を冷蔵貯蔵、1000本を常温貯蔵をして味わいの推移を観察しています。」

プロジェクトに対する想い

齋藤さん「“古い蔵の歴史を繋ぐ”ということが大前提にあります。震災後生き残ったコンテナやタンク、酵母は旧蔵の想いを受け継いでいます。旧蔵があった松川には蔵はなくなりましたが販売店はあります。販売の目玉になれるよう酒造りをしていきたい。松川の地域振興につなげたい。旧蔵の松川と新蔵の荒川と2大勢力になれるよう取り組んでいきます。」

地域想いの齋藤さんの笑顔が印象的だ。
金水晶酒造の新たな熟成酒×NFTの取り組みにますます目が離せない。

金水晶酒造

金水晶酒造

創業
1895(明治28)年
代表銘柄
金水晶
住所
福島県福島市荒井字上鷺99番地Googlemapで開く
TEL
024-572-3077
HP
https://www.kinsuisho.com/
営業時間
11:00~18:00

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