イベントレポート

2024年、新酒、夏酒を先取り!
酒蔵ユニット「11PM」の春の試飲会に潜入。

2024年5月8日「第41回11PM春のきき酒会」が東京新橋のとっとり・おかやま新橋館にて開催された。今年の新酒や夏酒を中心にセレクトされた日本酒を試飲レポート。

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2024年5月8日「第41回11PM春のきき酒会」が東京新橋のとっとり・おかやま新橋館にて開催された。今年の新酒や夏酒を中心にセレクトされた日本酒を試飲レポート。

1. 11PMとは?

複数の酒蔵がユニットを形成しイベントや取り組みなどを行うことは多い。
中でも酒蔵ユニットの先駆けとも言われるのが「11PM」だ。
「11PM(イレブンピーエム)」とは、蔵の酒質設計を担う11蔵のプロダクトマネジャー(どんな商品を作るのかを決める責任者)が集まって結成されたチーム。
41回目となるきき酒会は酒販店、飲食店対象となっており、各蔵は新酒やPRしたい銘柄を揃えている。

参加メンバーは、以下11蔵。
・八戸酒造(青森県「陸奥八仙」)
・秋田清酒(「秋田県「刈穂」)
・大木代吉本店(福島県「自然郷」)
・島崎酒造(栃木県「東力士」)
・小野酒造店(長野県「夜明け前」)
・青木酒造(新潟県「鶴齢」)
・土井酒造場(静岡県「開運」)
・利守酒造(岡山県「酒一筋」)
・吉田酒造(島根県「月山」)
・今田酒造本店(広島県「富久長」)
・天山酒造(佐賀県「七田」)

イベントの主催蔵は持ち回りになっており、今回主催蔵の
八戸酒造(青森県「陸奥八仙」)駒井さんに話を聞いた。

この方に話を聞きました

八戸酒造株式会社 専務取締役 駒井秀介さん
プロフィール
1978生まれ。2002年八戸酒造入社、2003年から陸奥八仙のリブランディングを手掛ける。幅広い世代へのPRの為、日々全国を駆け巡る

「11PMは元々、有志蔵元きき酒会と称して、2001年から取り組んでいます。当初は秋田清酒さん、大木代吉本店さん、島崎酒造さん、小野酒造店さん、利守酒造さん、今田酒造本店さん、天山酒造さんの7蔵が日本酒市場を活性化するために始めたのが結成のきっかけです。現在は11蔵になり11PMと謳って日本酒のPR活動や技術交流会、視察など活動しています。同業ですが仲がいいメンバーが揃っていますよ。」

2. 各蔵の新酒、夏酒を実飲

●今田酒造本店(富久長/広島)

広島県安芸津町に蔵を構える。女性杜氏でもある美穂さんがお酒の持ち味を活かした酒に仕上げている。米は地元広島県産、特に地元最古の在来品種の酒米「八反草(はったんそう)」の復活にも力を注いでいる。

代表取締役で、杜氏でもある今田美穂さん。
今田さん「今年の新酒を揃えています。今年の米は全国的に硬いと言われるところが多かったが、広島はそうでもなかった。スパークリング、大吟醸、海風土、辛口純米夏など米の旨みと爽やかな酸が体感できる銘柄を揃えています。」

純米大吟醸を試飲。富久長 八反草 純米大吟醸 特栽米 2023BY
令和6年度 広島県清酒品評会 令和一号酵母の部門 主席第1位を受賞。
すっきり爽やか、飲みやすく優雅な香りがしっかりと感じられる。

●大木代吉本店(自然郷/福島)

福島県の西白河郡矢吹町。福島の郷土愛に溢れた日本酒を醸す。代表銘柄は、「自然郷(しぜんごう)」と「楽器正宗(がっきまさむね)」

代表 大木雄太さん「自然郷ブランドを中心にセレクトしました。アミノ酸控えめで、クリア、軽やかなお酒に仕上がった。いいものが出来たと思う。」
純米吟醸・搾ってすぐを瓶詰めしているので、酸化させずに、従来の味わいを引き出している。

●青木酒造(鶴齢/新潟)

新潟県 魚沼地方。雪国のもたらす恵みと伝統の技によって生み出される日本酒。酒米本来の旨みを残した味わいに定評がある。

専務取締役 阿部勉さん「純米大吟醸4種類などの定番から、雪室で貯蔵したヴィンテージ2018、2020をピックアップしています。近くに米の雪室があったことから、春の新酒を秋にひやおろしで出したのが初めての雪室熟成です」

おすすめのヴィンテージ2018年を。兵庫県産特A地区の山田錦を37%まで磨いた純米大吟醸酒。
5度の低温度で熟成しており、雪室独特のまろやかさが感じられる。古酒とは違い、綺麗な味わいを保っている。

●秋田清酒(出羽鶴/秋田)

「出羽鶴蔵」「刈穂蔵」の2蔵を所有し、仕込に使用する水・酒米にはこだわりを持っている。

夏に向けてスパークリング2種類と数量限定夏酒と無農薬の自然栽培米の日本酒がラインナップ。

代表取締役社長 伊藤洋平さん「おすすめは地元の農家さんと協力して、お米を磨かず、90%精米でお米の旨みを味わってもらうお酒、カゼノオトです」
・出羽鶴 自然栽培米醸造 カゼノオト
爽やかながらも濃厚でコクがある。

●天山酒造(七田/佐賀)

「不易流行」の精神のもと、佐賀の自然を活かした品質にこだわる酒造りをしている。

代表取締役社長 七田謙介さん「今回は夏向けのおすすめの銘柄を揃えています。アルコール度数低めのもの、柑橘系の香り、スパークリングが中心です」

・七田 しちだ 純米 春陽 七割五分磨き 無濾過
あまりお米を磨いていない、今までの日本酒にない柑橘系でグレープフルーツの香りやほろ苦さが感じられる。

●小野酒造店(夜明け前/長野)


長野県伊那谷の辰野町小野宿に佇む。高品質な酒米で醸す日本酒は金賞受賞銘柄が多数。
今シーズンから全て原酒に搾ったものを火入れするか生で出すかのスタイルに変えたという。

営業部長 小野庄平さん「お客さんに蔵見学に来ていただいた時に美味しいと言っていただく事が多い、その味わいをそのまま消費者の方に伝えたいと思ったんです。」

・特別本醸はキレがあり、純米吟醸は一番人気。
5月より発売される夏向けのお酒「純米酒 すみあがり」はアルコール12度。
「旬のホタルイカに最高に合いますよ」と小野さん。

●利守酒造(酒一筋/岡山)

岡山県赤磐軽部の地で雄町米メインの日本酒。酒一筋と赤磐雄町の2大銘柄。

専務取締役 利守弘充さん「今回、夏のお酒を特別に揃えました。夏の純米吟醸がおすすめです」

・酒一筋 夏純吟
雄町米の旨味と爽やかな酸のバランスが抜群。
いつ見ても酒一筋の力強い文字は心に刺さる。

●八戸酒造(八仙/青森)

青森県産の米と酵母にこだわる日本酒。
フルーティで華やかな香りとフレッシュな味わいの日本酒は若者層や若い女性にも人気。

専務取締役 駒井秀介さん
定番の特別純米からスパークリング、夏酒、リキュールなど幅広くラインナップ。

・陸奥八仙 夏吟醸
アルコールを抑えた清涼感がすっきり爽やか。口に含んだ後はふくよかさと香りに満たされる。

●島崎酒造(東力士/栃木)

那須岳山麓から湧き出る伏流水と、清らかな大地で育った良質な原料米を用い、日々丹精込めた酒造りを行う。

代表取締役 島崎健一さん「今回は無濾過生原酒、夏酒、どうくつ瓶囲などをセレクトしています。」
特に今年よりラベルが新しくなったスイカのラベルがかわいい「酔夏(すいか)」は、フルーティーなトロピカル純米、華やかな爽快純米、数量限定の純米生原酒の3銘柄。

●吉田酒造(月山/島根)

島根の銘水百選に指定された超軟水の仕込み水と島根産の良質な米で醸す日本酒はフレッシュで香り高く、キレも抜群。

代表取締役 吉田智則「夏の季節限定酒、低アルコール原酒、試験醸造などを揃えています。」

・月山 生酛 おろち 純米大吟醸
青りんごなどを彷彿させる香りと、生もと造り特有の味わいが交差する。
酸味と旨みが感じられる、味わい深い1杯。

●土井酒造場(開運/静岡)

静岡県、地元、小貫の発展を願って「開運」と名付けられた日本酒。

代表取締役 土井弥市さん「静岡酵母を使用して、香りは華やかではないですが、永遠と飲み続けられる食中酒です」

・純米酒「涼々」
山田55%精米、夏向けに度数を15%にして飲みやすくしている。
すっきりとした酸と、爽やかな香りが特徴。

3.まとめ

今年の新酒、夏酒を中心に試飲。
どれも蔵の良さが感じられる銘柄がズラリ。
日本酒のプロが集まる試飲会だけあって熱のこもった会話が垣間見えた。
今後も継続していく11PMの活動に目が離せない。

 

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