
雪女神大吟醸香梅
香坂酒造 | 山形県
香坂酒造
山形県の南部に位置し、上杉の城下町としての歴史と雪深い自然に恵まれた米沢市。香坂酒造は大正時代からこの米沢の地の利を活かした昔ながらの酒造りを行っている。
戦国武将・伊達政宗が誕生した地であり、江戸時代には上杉謙信を祖とする上杉家の2代目当主・上杉景勝が初代藩主として治め、「上杉の城下町」として栄えた米沢。香坂酒造は1923年、先代が織物機業家と共にこの地に酒蔵を開いたことに端を発する。
全国的にも珍しい丸い煉瓦の煙突をシンボルとする創業当時からの酒蔵で、手作りにこだわった酒を醸す。冬場の気温は氷点下10度まで下がり、蔵も大雪で覆われるが、人の手による徹底した温度管理と地の利を活かした寒仕込みで、この地ならではの美味しい酒が生まれる。
現在の当主は5代目。一帯が山に囲まれた米沢で、澄んだ空気と清らかな水、そして蔵人の丁寧な技術によって、唯一無二の日本酒を醸し続けている。
香坂酒造の酒造りの特徴は、何と言っても手作りへのこだわりだ。仕込米を素手で洗うところから瓶へのラベル貼りまで、すべての工程を職人の手作業で丹精込めて行っている。機械に頼らないポリシーは、気候、空気、米、水、技術など酒造りにおけるすべての要素に自信があり、1本1本への思いが強いからこそ貫けるのだろう。
代表銘柄の「香梅」は、すっきりと辛口で爽やかな酒。厳冬の中で春の暖かさを夢見つつ、雪解けをじっと待ち続ける。そして春が訪れると、爽やかに香り高く咲く梅の花を思わせる。極寒の雪国という地の利と、技術に裏打ちされた徹底した手作りが生み出す、妥協のない日本酒だ。
江戸期の酒造絵図そのままの仕込みを令和の時代でも続けながら、新しい技術や商品開発などチャレンジ精神も忘れない。ワインタイプの酒、超辛口原酒、冷凍貯蔵酒など日本酒の可能性を幅広く模索している。1923年の創業から1世紀を超え、これからも[香坂酒造]は、米沢だからこそ醸すことのできる日本酒を発信し続ける。