奥の松 純米大吟醸雫酒 金之丞
奥の松酒造 | 福島県
奥の松酒造株式会社
福島の地酒「奥の松」を醸す老舗「奥の松酒造」。歴史と伝統を守りながらも最新技術を取り入れ、革新的な酒造りを続けている。
「伊兵衛の吟醸蔵」と讃えられた十六代伊兵衛の系譜を継ぎ、歴代の名杜氏が磨き上げてきた技を脈々と受け継ぐ[奥の松酒造]。福島県二本松で享保元年(1716年)の創業以来、300余年の歴史を紡ぐ老舗酒蔵である。代表銘柄「奥の松」は、東北・福島の銘酒としての誇りを込めて、奥州二本松の“奥”と“松”から命名されたという。
安達太良山(あだたらやま)の麓に位置するこの地は、昼夜の寒暖差が大きく、良質な酒米の生育に理想的な環境。恵まれた風土を活かし、伝統技術を絶えず進化させながら酒造りに邁進してきた。越後流・南部流の技法により醸される、飲みやすく奥深い味わいの酒は、2023年の全国新酒鑑評会で、連続14回目となる金賞受賞という快挙を成し遂げたほか、各地の鑑評会でも高い評価を得ている。
[奥の松酒造]の酒は、細部にわたる徹底したこだわりから生まれている。なかでも特筆すべきは、原料と醸造工程への丹念な取り組みだろう。
蔵には精米所を併設し、厳選された酒造好適米を100%自社で精米。原形精米による高精白米を実現している。仕込み水に使われているのは、安達太良山の清冽な伏流水。雪解け水が地層深く染み込み、40年以上かけて濾過された水だ。ミネラル分をバランスよく含み、酒造りに理想的な水質を持つこの水が、奥の松の酒質を支えている。蔵では、100mにも及ぶ掘り抜き井戸から豊富な水量を確保している。
酵母は、古くから蔵に住み着いている家付き酵母を長年かけて純粋培養したものをはじめ、醸造する酒に応じてさまざまな酵母を使い分けている。
醸造工程の仕上げとなる瓶詰めにも注目だ。厳格な衛生管理基準に基づいて設計されたクリーンルームには、最新のパストライザー(瓶詰め後殺菌システム)が設置され、瓶詰めラインでの火入れ殺菌(酒を日持ちさせるための加熱殺菌工程)が可能になっている。火入れ工程における温度管理を徹底することで、原酒の豊かな風味と個性を保持しつつ、さらなる酒質の向上を実現した。
こだわりは酒の味わいだけにとどまらない。品質を託すにふさわしいキャップやボトルにも及んでいる。火入れ殺菌時にパストライザーの内圧に耐えられる「デラックス王冠」を、キャップメーカーと共同開発したという。
また、「オンザテーブル」をコンセプトとするボトルは、持ちやすさと注ぎやすさを兼ね備え、シンプルでスタイリッシュなデザインで食卓を華やかに演出する。
原料選びから醸造工程、最終的な容器に至るまでの徹底したこだわりが、[奥の松酒造]の酒の品質と高い評価を支えているのである。
300年以上の歴史と信頼を礎としながらも、そこに安住することなく、伝統と革新のバランスを巧みに保ちながら、[奥の松酒造]は新たな酒造りに挑戦し続ける。