純米吟醸 山の形
東の麓酒造 | 山形県
東の麓酒造
最上川上流に位置し、山形県南部にある置賜盆地(おきたまぼんち)。南に吾妻連峰(あづまれんぽう)、北に出羽丘陵(でわきゅうりょう)の広がるこの地で、[東の麓酒造]は日本酒造りを営んでいる。
[東の麓(あずまのふもと)酒造]が創業したのは1896年。東北の伊勢熊野大社のお膝元に位置することから酒蔵の名を付けた。
澄んだ空気や厳しい冬の寒さ、清らかで豊かな水に恵まれた置賜盆地。数多くのワイナリーが立ち並ぶこの地で、山形県南陽市唯一の酒蔵として地元から愛されている。標高の高さや肥沃な土地により、良質な酒造米が多く生産され、古くから銘醸地として知られている。
創業の背景には、江戸時代に米沢藩宮内地区で領主から特権を得ていた在郷商人、酒田屋利右衛門氏の酒造部門を、六代目の遠藤栄次が引き継いだという歴史がある。それ以来、伝統を守りながら「飲む人の心を満たす酒」を造り続けている。
小さな酒蔵ながらも地元の米と水へのこだわりを強く持ち、また吟醸造りの技術継承にも力を入れてきた[東の麓酒造]。2010年からは全国新酒鑑評会で大吟醸「東の麓」が5年連続で金賞を受賞するなど、その技術と味わいの高さが評価されている。
酒蔵と同じ名を冠した代表銘柄が「東の麓」は、山形県産の酒米を主に使用している。特に、2015年に山形県が開発した最高級酒米「雪女神」や、1984年から開発が始まった酒米「出羽燦々」などを厳選し、真白く磨き上げた酒米を真心込めて醸している。品質本位を追求した結果、生まれる旨味がその大きな特徴となっている。
同じ「東の麓」でも大吟醸から純米酒、普通酒まで幅広いラインナップが取り揃えている。甘さや辛さなど飲む人の好みや気分によって選べるのは、まさに酒蔵としてこだわってきた「飲む人の心を満たす酒」そのものを体現している。
米麹の手入れ作業から吸水の確認、袋しぼりに至るまで、伝統と手作りにこだわる。一方で未来の日本酒文化の担い手育成にも力を注いでいる。
若者にも日本酒に親しんでほしいという想いから、新ブランド「天弓(てんきゅう)」にも取り組む。「天弓」は地元の東北芸術工科大学の学生と共同開発したお酒で、フルーティーで飲みやすい味わいが特徴で、若者や女性のファンが増えることも期待している。
置賜盆地だからこそ生み出せる心を満たす日本酒。[東の麓酒造]はこれからも未来に向けて、南陽市から丁寧に醸した山形の地酒を造り続ける。