天穏 純米大吟醸 改良雄町
板倉酒造 | 島根県
板倉酒造
琴引山を源流とする神戸川(かんどがわ)のほとりに位置する[板倉酒造]。[出雲大社]にもほど近いこの地で、清らかな御神酒(おみき)のようなお酒を目指し、150年以上酒造りに勤しんできた。
島根県東部に位置し、出雲平野や宍道湖、日本海と山にも湖にも海にも囲まれた穏やかな出雲。美味しい水や米を生み出すその自然環境や、出雲神話などの記述に見られるように、古から日本酒との縁が深い。
「日本酒発祥の地」とも言われるこの場所には、古くから酒蔵が立ち並ぶ。[板倉酒造]もその一つで、150年以上にわたり酒造りを続けてきた。地元の水、米、出雲杜氏の伝統を引き継ぐ、出雲から地酒を届けている。
代表銘柄「天穏」は、1916年に宗門である日蓮宗本山要法寺管主坂本御前の「無窮天穏」の文言に因んで命名。出雲の水と米にこだわり、出雲の神やご先祖様、自然に感謝を捧げる御神酒のようなこの地酒は地域だけでなく全国から愛されている。
創業以来、[板倉酒造]が目指してきたのは、飲む人の心を穏やかにする酒造り。清らかで優しく、飲む人にやわらかく寄り添う味と香りにこだわる。
お米で酒をつくった最初の神様として知られる[佐香神社(さかじんじゃ)]を里に持つ出雲杜氏。その出雲杜氏による「山陰吟醸造り」の技術と意志を受け継ぎ、機械に頼ることのない人の手による手間暇をかけた酒造りに邁進してきた。
「山陰吟醸造り」は通常の酒造りとは異なり、限定吸水、突きハゼ、長期低温発酵醪など、人の技術と時間が求められる。この技術と時間によって、綺麗で飲みやすい酒質が作られるのだ。
「天穏」には、“天が穏やかであれば窮する(困る)ことは無い、世界とその未来が平和であることを願う”という意味を込めている。「山陰吟醸造り」と、蔵の中の乳酸菌と蔵付き酵母を取り込んで無添加の酒を造る伝統技法の「山廃造り」を掛け合わせることで、清らかさと力強さを両立させた唯一無二の味となっている。
出雲杜氏の伝統継承だけでなく、新たなチャレンジにも積極的。リキュールなどその他の醸造酒免許で製造する製品を「イトナミブルワリー」と総称して開発、製造。島根医大や近隣の飲食店とも協働しながら、日本酒で得た知見や功績を幅広い領域へと拡大している。
[板倉酒造]にとっての「天穏」はただの地酒ではなく、神や祖先、歴史、自然、食材、人々など万物に捧げる御神酒。永遠の平穏を願いながら出雲から全国、そして世界へと酒造りを届け続ける。