Sake Brewery

馬上酒造

廃業の危機乗り越え
新たなる「幻の酒」造りへ
[馬上酒造]

広島県・熊野町で130年余、“幻の酒”と呼ばれた[馬上酒造]の「大号令」。一度は廃業を決意した蔵が新杜氏の熱意で復活、新たな歴史が紡がれる。

馬上酒造 外観
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新たな杜氏と挑む酒造り

1893(明治26)年、広島県熊野町で創業。130年余にわたって続いてきた[馬上酒造]の造る酒は、地元以外には出回ることが少なく、“幻の酒”と呼ばれていた。しかし、最盛期には900石ほどあった製造石数が徐々に減少。1995年に杜氏が逝去してから、四代目蔵元・馬上日出男氏が杜氏を兼任し、夫婦で少量の酒造りを継続。高齢化や後継者の不在の影響で一旦は廃業を決意した中、新たな杜氏として村上和哉氏が就任。熊野町唯一の酒蔵が新たな歴史を紡ぎ始めている。

馬上酒造 外観

 

[馬上酒造]らしさを醸したい

広島や関西の酒蔵で修行してきた村上新杜氏は、「広島に恩返しがしたい」という思いで、蔵に入った。蔵元とともに目指すのは、笑顔で「美味い」と言ってもらえる酒。地元の水や米で、新生[馬上酒造]らしい味わいを醸す。蔵元がこれまで抱いてきた酒造りの概念と、新杜氏の思い描く「環境や素材を生かした」酒造りというコンセプトが融和し、これまでとは違った芳醇でありながら酸のキレを持った酒が生まれた。ラベルも馬上杯のデザインに改め、新たな酒は颯爽と駆けていく。

馬上酒造 酒造り

 

伝統の道具で健全な酒を生む

蔵には、他では残っていないような伝統的な道具が今でも揃っている。酒造りはこの道具を用い、昔ながらの製法で行っている。米の蒸しの作業には和釜と木の甑(こしき)を使い、蒸米を冷やす際は放冷機をやめて自然放冷に。製麴も古くからの蓋麹、箱麹を使用し、上槽は槽搾り。手間暇はかかるが、シンプルな製法で発酵という自然なプロセスを促す。対して、衛生面や安全には現代の技術で対応。健全な酒造りへ、真摯に向き合っている。

馬上酒造 酒造り

 

広がるフィールドとチャレンジ

代表銘柄「大号令」の他にも、北海道にある[株式会社AZE]より支援を受け、北海道の酒米「吟風」や「きたしずく」を使った日本酒を造っている。酒造りのフィールドとチャレンジはますます広がりをみせている。

馬上酒造 酒造り

 

この酒蔵の銘柄一覧

馬上酒造株式会社

馬上酒造株式会社

創業
1893年(明治26年)
代表銘柄
大号令
住所
広島県安芸郡熊野町城之堀2-5-16Googlemapで開く
TEL
082-854-0104
HP
https://bajoshuzo.com/
営業時間
9:00~18:00
定休日
月曜・日曜

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