Sake Brewery

養老酒造

手作りで和醸良酒を作り続ける[養老酒造]が家族で目指す地域復興の旗印

愛媛県西南部に位置する一級河川の肱川上流に、現在の3代目当主の曾祖父が創業した[養老酒造]。大正時代に創業して以来「伊方杜氏」の伝統を引き継ぎつつ、独自性のある酒造りで「人の手で醸す酒」にこだわり続ける。

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家族で挑み続ける地域復興の酒造り

冬の寒い朝に冷気が強風とともに川を下り、瀬戸内海に流れ出す自然現象“肱川あらし”が起きる肱川。この肱川の清らかで水と暖かい風土に恵まれた場所で、[養老酒造]は造り酒屋として始まった。肱川の豊富な水源を蔵内の地下約10mから汲み上げ、機械に頼らない人の手による地酒を生み出している。

2006年には現在の3代目当主が自ら杜氏となり、蔵人の妻と二人三脚で酒蔵を盛り上げてきた。その後、2018年7月の西日本豪雨で酒蔵が全壊する甚大な被害に遭ったことをきっかけに、長男も後継者となるべく帰郷して蔵人に。酒蔵3棟と作業場、隣接した自宅が高さ約3mまで浸水し、酒造りの道具も散乱するほどの惨状に見舞われたものの、家族や仲間、地域のボランティアの尽力で復興への道をたどることができた。

養老酒造 外観

先人が100年守り続けてきた酒造りの情熱と伝統、そして地域に愛される酒蔵を次世代へと繋ぐ。廃業も覚悟したほどの経験があるからこそ、地域復興への強い思いと感謝を乗せた酒造りに邁進している。

作り手の想いを風に乗せ、飲む人に届ける「風の里」

養老酒造の根幹にあるのは、全国でも有数の歴史を誇り、佐田岬半島に位置する伊方町を拠点とした杜氏集団「伊方杜氏」。伊方杜氏の伝統を受け継いだ美味しい酒を目指し、愛媛県産の酒米と手作業にこだわってきた。

軟水である肱川の伏流水を徹底管理し、米や麹の変化をわが子のように表情を見極める。作り手の想いを風に乗せ、飲み手に届ける和醸良酒。現在の当主が作ったブランドの「風の里」は、そんな[養老酒造]の酒造りを体現する銘柄だ。愛媛生まれのサクラヒメ新品種から分離された酒造用花酵母で醸造されており、酒素材の繊細さを楽しめる淡麗でシャープな口当たりが特徴。

米、酵母、水に至るまで愛媛県の素材にこだわった「鵜州」は華やかな味わいが魅力。養老酒造が創業以来、初めて醸した純米大吟醸で、大洲市の名物である「鵜飼い」から命名している。
養老酒造 酒造り

地域復興を胸に未来へと繋げる酒造り

若き後継者の長男も未来を見据え、「風の里」に続く新ブランド開拓にも意欲的だ。副産物の酒粕を使った大洲の野菜の粕漬けなども商品化され、新たな挑戦で蔵の伝統を紡いでいる。

杜氏や蔵人だけでなく、復興を支えてくれた人たちや飲み手に至るまで、すべての関わる人を通して良い酒が生まれる。養老酒造の「和醸良酒」には、そうした人々の温もりや感情の機微もまた美味しい酒を造る上で大切だと教えてくれる。被災した地域の旗印となる使命を胸に、家族で支える小さな酒蔵の酒造りは続いていく。

この酒蔵の銘柄一覧

養老酒造株式会社

養老酒造株式会社

創業
1921年
代表銘柄
風の里、鵜洲
住所
愛媛県大洲市肱川町山鳥坂49Googlemapで開く
TEL
0893-34-2352
HP
https://yoroshuzo.jp/
営業時間
00:00~00:00

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