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長龍酒造

長龍酒造の全てが楽しめる施設「長龍ブリューパーク」に潜入

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奈良県北葛城郡広陵町、古墳群が点在するこの町にある芝生広場では遊ぶ親子連れ、お昼時のベンチではお弁当を広げる人の姿がみられる。2022年春「長龍酒造」本社隣に開園された「長龍ブリューパーク」は、地域の人々が気軽に集まれる場所として親しまれている。日本酒やクラフトビールが楽しめるタップルームに、芝生広場を併設した地域密着施設「長龍ブリューパーク」の魅力に迫る!

1.長龍酒造の全てが楽しめる施設「長龍ブリューパーク」に潜入

県営馬見丘陵公園、千本桜の名所・高田川のほとりの閑静な人里にたたずむ長龍酒造。1963年創業当時からの看板商品は「吉野杉の樽酒」で、日本で初めて瓶詰めの樽酒を発売した蔵元として知られる。2010年頃からは日本酒業界の変化にあわせ、より上質な酒質をめざした小仕込み醸造にシフト。
酒米の個性を生かした味わい重視の純米酒や純米吟醸酒など、様々な銘酒を送り出している。
2年前にはクラフトビールの醸造も始まり、こちらも好評だ。

芝生広場で遊ぶ親子連れ、お昼時のベンチではお弁当を広げる人の姿も。2022年春、本社隣に開園された「長龍ブリューパーク」は、地域の人々が気軽に集まれる場所として親しまれている。
平日は公園として開放、土・日曜、祝日は日本酒とクラフトビールが飲めるタップルームを営業。
お酒にあうオリジナルのフードも勢揃いし、開放感のある空間でゆっくりと楽しめる。
特に花見のシーズンには高田川土手の桜並木を望む絶好のスポットに。

この記事の紹介者はこちら

長龍酒造株式会社・統括部長・吉田誠さん
プロフィール
2008年に株式会社飯田に入社、2019年に長龍酒造株式会社へ異動。クラフトビール部門を経て、「長龍ブリューパーク」の立ち上げに尽力した。今年から日本酒やビールなど製造全般の統括部長として活躍している。

2.長龍酒造の日本酒造り

吉田さんの案内で、特別に長龍酒造「広陵蔵」を見学させていただいた。「当社の社是は『昇道無窮極』。旨い酒、良い酒を造りたいという気持ちは無限であるという意味が込められています」と吉田さん。
技術の粋を注ぎ込んだ最高峰の純米大吟醸は「昇道無窮極」と命名され、品質の限界に挑み続ける蔵の象徴として限定販売している。

広陵蔵には最大2万石を製造できる設備があるが、現在は、ほとんどの工程を小人数での手作業で、昔ながらの酒造りを守っているそう。約10℃の冷蔵室にズラリと並んでいたのは、ロングセラーの「吉野杉の樽酒」を詰めた吉野杉の樽。約1カ月間樽添えさせて、少しずつ杉樽の香りを移す。杉樽は日本酒の天敵である鉄分を含む釘や鋲を一切使わず、竹で締める伝統的な手法で作られる。そんな貴重な樽なのに「樽添えに使う回数は多くても3回程度なんです」とのこと。他の用途に再利用されるというが、なんとも贅沢だ。

3.長龍酒造の日本酒銘柄3選

吉野杉の樽酒 720ml 1,364円
少し甘めの酒に清澄な杉の香りが広がり、杉樽に由来するコクと旨みが料理を引き立てる食中酒。長龍酒造を代表するロングセラーで、「ハレの日の酒を日常に飲んでもらいたい」との創業者の思いが込められている。

稲の国の稲の酒 特別純米酒 2014年醸造 720ml 1,760円
幻の酒米といわれた奈良唯一の酒造好適米「露葉風」を委託栽培し100%使用。酸味・甘味・香りなど個性豊かで、米の旨みを引き出したしっかりとしたボディの純米酒。低温瓶内熟成で「飲み頃」を見極めて蔵出ししている。

ふた穂 雄町 特別純米酒 2014年醸造 720ml 1,760円
雄町発祥の地、岡山県高島地区の雄町米を100%使用。低温瓶内熟成させたビンテージ純米酒として、醸造年度ごとの飲み比べも楽しめる。穏やかに広がる余韻が心地よく、柔らかな吟醸香と優しくふくらむ上品な味わい。

4.長龍酒造のブリュワリー

大学卒業後、国内の有名ブルワリーに勤務、その後オーストラリアで約1年間ホップ栽培などを経験した技術者を招き、2021年からクラフトビールの醸造をスタート。ホップの香りと苦味を効かせた王道のIPA、白麹の爽快な酸味が飲みやすいセゾン、ライスラガーなどバリエーションが豊富。長龍ブリューパーク内のタップルームではビール7・日本酒3タップを備え、季節ごとに様々なお酒を味わえる。

ライスラガー 550円
奈良県産の米を使用したラガービール。ホップの苦味や麦の風味は抑えめに、毎日でも飲みたくなるやさしい味わいに仕上げている。後味はほんのりと米の甘さを感じる。

5.お酒の面白さを発信

最後に吉田さんに今後の展望を伺った。「2006年頃から注力しているのが、岡山県産雄町を使った『ふた穂』や、奈良県産露葉風を用いた『稲の国の稲の酒』などの酒米をフィーチャーしたシリーズです。ほかに季節や時候を反映して年数回限定品が登場する『四季咲』シリーズもあり、こうした小ロットでの限定品を積極的に仕込んでいく予定です。また、クラフトビールの世界では一般的な自由な発想を、日本酒造りにも取り入れて“お酒の面白さ”を発信したい。
生産者や地域の方々とコミュニケーションを図りながら、日本酒の輪を奈良から国内だけでなく海外にも広げていきたいと思っています」

長龍ブリューパークが地域の人との交流を広げ、日本酒の美味しさをもっと多くの人に知ってもらえる場となるはず、これからが楽しみだ。
なお、蔵開きが11月19日(日)に行われるので、ぜひ足を運んで。

■長龍ブリューパーク
奈良県北葛城郡広陵町南7-1
0745-43-6203 (土・日曜、祝日のみ/ブリューパーク直通)
11:00~17:00(LO/16:30)
土・日曜、祝日営業(平日は芝生エリアのみ開放)
http://www.choryo.jp/

この酒蔵の銘柄一覧

長龍酒造

長龍酒造

創業
1963年
代表銘柄
吉野杉の樽酒、稲の国の稲の酒、ふた穂
住所
奈良県北葛城郡広陵町南4Googlemapで開く
TEL
0745-56-2026
HP
https://www.choryo.jp/
営業時間
10:00~16:00
定休日
土曜日・日曜日

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