「伝統的酒造り」のユネスコ無形文化遺産登録が決定!文化庁ではシンポジウムの開催も。
パラグアイにて開催中のユネスコ無形文化遺産保護条約第19回政府間委員会にお いて,日本酒や焼酎などを作る技術「伝統的酒造り」がユネスコ無形文化遺産登録が2024年12月4日(現地時間)に決定した。
国連教育科学文化機関(ユネスコ)の政府間委員会は2024年12月4日、日本が無形文化遺産に提案していた「伝統的酒造り」の登録を全会一致で決定した。
伝統的酒造りとは
「伝統的酒造り」とは、杜氏・蔵人等がこうじ菌を用い、長年の経験に基づき築き上げてきた酒造り技術のことで、500年以上前に原型が確立したといわれている。日本各地の気候風土に応じて発展し、日本酒、焼酎、泡盛、みりん等の製造に受け継がれてきた。また、祭事や婚礼といった日本の社会文化的行事に酒が不可欠な役割を果たしており、伝統的酒造りはそれを根底で支える技術とされる。
ユネスコ無形文化遺産登録記念「匠のわざと日本の文化を未来へ紡ぐ 伝統的酒造りシンポジウム」開催決定
文化庁では、ユネスコ無形文化遺産に日本の「伝統的酒造り」が登録されたことを記念し、また、2024年1月の能登半島地震及び9月の能登半島豪雨で被災した酒蔵を含む支援につながればという思いから「匠のわざと日本の文化を未来へ紡ぐ 伝統的酒造りシンポジウム」を2025年1月25日(土)、26日(日) の2日間、石川県金沢市「金沢港クルーズターミナル」にて開催する。
シンポジウムは「伝統的酒造り」に関するわざや歴史・文化を「学ぶ」「味わう」「繋げる・広げる」という視点で体験できるほか、開催地、石川の伝統芸能の鑑賞、食や工芸品の制作体験を通じて、石川県の文化的魅力を感じることができる。
詳細URL:https://www.bunka.go.jp/traditional_sake_making_symposium/
ユネスコ無形文化遺産登録が日本酒の追い風に
2024年11月より、伏見酒造組合の理事長に就任した 北川幸宏さんは今後の展望について以下のようにコメントした。
「2013年に和食がユネスコ無形文化遺産に登録されて以降、『次は日本酒だ』という形で業界をあげて取り組んできました。伏見が日本酒の銘醸地であることは関西圏の方には認知されていますが、東日本ではまだまだ認知度が高いとは言えません。ユネスコへの登録をきっかけに、全国各地の方に伏見の日本酒を知ってもらい、飲んでもらえるような取り組みを進めていきたいですね」
「Assemblage Club」のマスターブレンダー月の桂 十四代 増田德兵衞さんよりーー
「フランスではガストロノミー(食事と文化の関係)として、飲む食べるといった行為に対して無形文化遺産登録がされています。お酒単体で登録されることは世界的にも珍しいです」
日本酒が世界に認められたことは日本全国の酒蔵にとって強力な追い風になるだろう。全国はもちろん、世界各国の観光客が日本酒を求める日は近い。
文/Sake World 編集部