”日本の玄関口”千葉県成田市「成田山参道」で地酒を気軽に楽しむ!お散歩コース案内

日本の空の玄関口[成田空港]のある千葉県成田市周辺は、数々の名所が存在し、毎年多くの観光客が訪れる。日本酒に関するおすすめスポットが豊富なのも成田の特徴。今回は空陸いずれでも立ち寄れる「成田山参道」で、地酒を楽しむ散歩コースをご紹介。

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首都東京のお隣千葉県は、県内38もの酒蔵がある意外な酒どころ。
日本の空の玄関口である成田空港がある成田市周辺は観光名所も豊富。国内外の観光客が、毎年数多く押し寄せる。

特に成田山表参道エリアは、空でも陸でも立ち寄れるおすすめスポット。ノンアルコールや菓子類なども充実し、お酒が飲めない家族や友人とも安心して周れるが、散策しながら地酒を楽しめるコースをご案内。

JR&京成から所要時間はほぼ同じ~成田山表参道~

JRと京成2種類の路線がある成田駅。成田山参道は、京成両駅のちょうど真ん中に入口があり、所要時間はほぼ同じところにある。

それぞれの駅前から、歌舞伎役者の像を目印に表参道に入るとあとは道なりに進むのみ。飲食店が並び、インバウンドが意識された入口付近を通り過ぎ、そのまま5~6分ほど歩く。

参道入口付近

1:成田山参道唯一の酒蔵直売店~長命泉~

最初のスポットは、成田山参道唯一の酒蔵[滝沢本店(1872年創業)]の蔵元直売店「長命泉」。
初代当主・滝沢栄蔵が、成田山へ参詣した際、その日の夢でお不動様のお告げを受けたことから、同地で酒造りを始めたのだという滝沢本店。「長命泉」は同蔵の代表銘柄で、付近の井戸水がとても良質で、「病気が治る」「長生きできる」などの評判が寄せられたことが名前の由来だそう。

店舗のすぐ裏には酒蔵が位置し、日本酒はもちろん、お酒や酒粕を使用したスイーツなどの購入や、注力ポイントだというサーバーでの試飲などが体験可能。

日本酒は定番品の他に、年に10種類程度リリースするという季節の限定商品が並ぶ。取材時(5月)では、「正五九 吟醸純米一度火入れ」が数量限定のおすすめ品として販売されていた。
P箱と呼ばれる、酒瓶やビール瓶を運ぶための通い箱に陳列されているのも“らしさ”あふれる。外国人にも受けそうだ。


四合瓶では持ち帰りにくいといった人には、180mlや300mlの小瓶や、おつまみとセットで巾着に入ったプチギフトなどもあり、用途に合わせた商品も豊富に取りそろえる。

スイーツ好きな人には、酒ゼリーや日本酒キューブケーキ、酒粕を使用したかりんとうなどもおすすめ。取締役副社長の滝澤千香子さん曰く、酒粕ラスクはお酒に合わせるおつまみとしても優秀だそう。

子ども連れの方にイチオシなのは、目にもかわいいサイダーとグミ。サイダーは、[滝沢本店]が監修したご当地サイダー「空のサイダー」。そのまま飲んでもよし、日本酒や焼酎の割材として使うのもよしとのこと。

長命泉でなにより楽しいのが、コイン式の日本酒サーバーでの試飲ができる「利き酒」のコーナーだ。レジでサーバー用のコインを購入し、好きなお酒を選び、自身で注いで試飲できる。

「お酒を『体験』してもらえる」ことが、蔵元として一番だという気持ちで設置したという。利き酒は、店頭で販売している直営店限定品や季節の限定品や、コンクール受賞酒なども可能。香りや味わいの目安も座標軸で示されていて、外国人や日本酒に詳しくない人にもわかりやすい。ついつい、すべてを試飲してみたくなってしまう。

土日などは「蔵元の角打ち」と称して、店頭で日本酒をカップに注いで販売もしているとのこと。なんと一合ほど入るカップでの提供で、シェアして飲んだりするお客さんも多いそう。酒豪な方だと「行きに一杯、帰りにまた一杯」なんていう人もいて、飲み方もさまざま。

飲めない人も一緒に楽しめるのが、店舗に併設した「成田麹スタンド」。こちらでは、フレーバーのバリエーション豊富な麹甘酒や、揚げ物や焼き鳥などの軽食に、「酒蔵のカレーライス」や「ミニ鰻丼」などがメニュー展開。スタンド横のベンチに座って、ひと休みしながら食べることもできる。

今回は、いちごの麹甘酒を頼んでみたが、甘酒のミルク色といちごの赤色が二層になって、見た目にもきれい。味わいは濃厚な甘みの甘酒の中にいちごフレークやゼリーなどの複数の食感が楽しい。健康志向の女性にもぜひおすすめしたい!

「昼間に日本酒はちょっとアルコールが強いけど…軽めのお酒なら飲みたいな」という人には、「長命泉」の原酒を使用した日本酒カクテルもイチオシ。定番のレモンをはじめ、抹茶や梨など暑い季節にもぴったりの日本酒アレンジを試してみてほしい。

なお、7月1日より価格改定がされるため、取材当時の表示価格と異なる場合があるとのこと。詳しくは店頭にてご確認ください。

蔵元直売店「長命泉」
住所:〒286-0032
TEL: 0476-22-8417
営業時間:10:00〜18:00
定休日:なし(年中無休)
公式HP:成田銘醸「長命泉」蔵元 公式通販

2:「仁勇/不動」醸造元[鍋店]直営店~鍋屋源五右衛門~

「長命泉」をあとにして、そのまま表参道沿いをまっすぐ8分ほど進んでいくと、成田山新勝寺総門が現れる。

すぐ手前に成田山新勝寺総門が見える。

さらに1分ほど進むと次のスポット「鍋屋源五右衛門」がある。このお店は、千葉県香取郡に酒蔵を持つ[鍋店株式会社(1689年創業)]の直営店。

成田山新勝寺の門前にて創業した[鍋店]の由来は、当時の鉄類製造権利である「座」のひとつ「鍋座」を幕府より与えられていたことに、老舗を表す「店(たな)」が結びついたものと伝えられている。現在は、量販店等の一般市場向けの「仁勇」と、特約店向けの限定流通銘柄「不動」を基幹銘柄としている。

店長の新橋瑛史さんによると、「仁勇」は比較的すっきりとして飲み飽きしないお酒が多く、「不動」は特約店限定というレア度に加え、米そのもののしっかりとしたうまみや濃さが味わえる酒が多いという。

店頭の中心に並ぶのは、その季節ならではの数量限定酒。取材時は「不動」夏吟醸や、「仁勇」淡麗純米酒といった夏酒がラインナップされていた。

店内全体には、両銘柄の相当数の種類が扱われていて思わず圧倒される。

正直どれを選んだらいいのか悩んでしまいそうだが、主な銘柄の試飲が可能なので、迷ったらぜひスタッフに声をかけてみるのがおすすめ。

試飲の際はスタッフがお酒の説明をしてくれる(画像は店長の新橋瑛史さん)

この日試飲できたお酒の一部。

お酒や、酒造りの副産物から作られた食品類も数多く扱われている。麹仕込みの甘酒などをはじめ、長期熟成原酒を使用したトリュフチョコレート、ロース肉や銀だら、鮭などを「仁勇」の酒粕に漬けた粕漬け(※冷凍食品)など、お酒とのペアリングも楽しめそうな逸品揃い。

店長の新橋さんがおすすめするのは、「仁勇」を使用した奈良漬けとのペアリング。奈良漬けを細かく刻んでクリームチーズに混ぜると、おつまみとして秀逸だそう。

これに、「仁勇」の純米酒や純米吟醸酒が合わせるのがおいしい、とのことで、お土産用の「呑みくらべ3本セット」で比較ペアリングをしてみるのもおもしろそう!

奈良漬けと「仁勇」3本呑みくらべセット

「鍋屋源五右衛門」には、「雷神堂 成田門前店」という手焼きせんべいの店が併設。お酒の苦手な人や、子どもも一緒に“米”を味わえるのがありがたい。その場でおやつとして食べるもよし、手土産に持ち帰って自宅での晩酌のおともにしてもいいのでは。

鍋店直営店「鍋屋源五右衛門」門前店
住所:〒286-0026
TEL: 0476-22-2847
営業時間:9:00〜17:00(1月~5月・10月~12月)/ 9:00~16:00(6月~9月)
定休日:水曜日
公式HP:鍋店株式会社(酒蔵公式)

<番外編>成田空港のクラフトビールをお土産に~なごみの米屋 門前店~

散歩の最後には、番外編的なおみやげを購入できるお店をご紹介。

「鍋屋権左衛門」から道なりに3分ほど歩くと、「なごみの米屋 門前店」という老舗和菓子屋がある。千葉の名産「ぴーなっつ最中」などが人気の店で、和菓子をお土産にするのももちろんよいのだが、実はここでは意外なものが購入できるのだ。

その商品というのが、“成田空港が本気でつくった”というクラフトビール「成田空港エール」。

出発をイメージした華やかなセゾンスタイルと、到着をイメージしたというゆったりと芳醇なアンバーエールの2種類のラインナップで展開している。飛行機の離着を描いた紅白のラベルデザインは、成田散策の“終点”としてもぴったり。

なお「成田空港エール」は、成田空港外で購入できる場所は限られていて、成田駅周辺では「なごみの米屋 門前店」が貴重な購入可能店舗。ビール好きな人はぜひお試しを。ちなみに帰りは、成田駅までもとの道を戻るか、周回するように新参道を歩いて駅に向かうのがわかりやすい。

なごみの米屋
住所:〒286-0025
TEL: 0476-22-2801
営業時間:9:00〜18:00(元日は0:00~18:00の営業。1月2・3日は8:00~18:00の営業)
定休日:なし
公式HP:なごみの米屋

ライター :水戸亜理香
東京在住/日本酒・日本語ライター、日本語教師、日本酒テイスター
日本語と日本酒の「二本(日本)柱」で活動するライター兼教師。好きな銘柄は「やまとしずく」で、秋田県への愛が強め。
酒類以外の趣味は、ファッションと香水。保有資格:SAKE DIPLOMA・日本酒学講師・唎酒師・日本語教育能力検定試験

成田山参道の散歩コース全体マップ

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