【豆知識】食べるお米で造る日本酒とは。酒米以外を使った日本酒について知りたい!
日本酒は酒米だけで造られると思っていませんか? 実はご飯として食べているお米も使われているんです。気になる「食べるお米で造る日本酒」について、唎酒師の藤田えり子さんが解説します。
日本酒は酒米だけで造られると思っていませんか? 実はご飯として食べているお米も使われているんです。気になる「食べるお米で造る日本酒」について、唎酒師の藤田えり子さんが解説します。
食用米も日本酒造りに使われる
日本酒の主な原料はお米です。特に酒米や酒造好適米と呼ばれるお米が使われているということも、日本酒好きの皆さんならご存知ですね。でも山田錦や五百万石といった特別な品種のお米でないと日本酒が造られないかといえば、そうではありません。私たちが普段ご飯として食べているコシヒカリなどの食用米もお酒造りに利用されています。

酒米と食用米の違い
一般に酒米は食用米よりも栽培が難しく、値段が高くなりがちです。なかでも山田錦は稲の背丈が高くて倒れやすく、害虫にも弱いので、特に高価で取引されます。そこで原料価格を抑えるために、酒造りのカナメとなる麹や酒母造りに酒米を用い、使用するお米の約7割を占める掛け米に食用米や加工米を用いることがあります。できるだけ美味しさを保ちながら、安く消費者に届けたいという酒蔵の工夫といえます。
ところで酒米と食用米には、どういう違いがあるのでしょうか。酒米に求められる特徴は、精米中に砕けにくいこと、粒が大きいこと、米の中に粗い部分・心白があること(麹菌が入り込みやすくなる)などがあります。食用米はこれらの特徴がないために、酒造りがしにくいといわれてきました。

「食べるお米だけで造る」酒蔵
従来難しいとされていた食用米での酒造りにチャレンジし、「食べるお米だけで造る」酒蔵として有名なのが京都府丹後市にある白杉酒造です。コシヒカリの産地という特性を生かし、5年間の試行錯誤を経て、2013年に京丹後産コシヒカリ100%の『丹後のヒカリ』を発売。その2年後にはすべてのお酒について全量食用米を成し遂げました。現在では毎年新しく個性的な日本酒を生み出す酒蔵として、目が離せない存在となっています。
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- 白杉酒造
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京都♯酒蔵♯京都
持続可能な農業のためにも
ほかにも食用米だけで醸した日本酒は、さまざまな酒蔵で造られています。特に米どころとして知られる地域に多く、栽培しやすい食用米を使用することで米農家の支援につなげるという一面もあります。食用米を日本酒造りに活用することは、持続可能な農業への取り組みにも役立っているのですね。
ライター・唎酒師 藤田えり子
大阪の日本酒専門店に世界を広げていただき、さまざまな日本酒や酒蔵に出合う。好きな日本酒は秋鹿、王祿ほか
お酒以外の趣味は鉱物集めとアゲハ蝶飼育。





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