[京都/玉乃光酒造]
「文化財保護」認定事業「東蔵再生プロジェクト」を開始
[玉乃光酒造]が所有する酒蔵「東蔵」の文化的価値が認められ、文化財保護分野の支援事業として「東蔵再生プロジェクト」を実施することが決定した。プロジェクトの想いを聞いた。
京都市では、アーティストなど文化芸術関係者の意欲的な活動を社会全体で支え、持続的な文化芸術の発展を目指す「Arts Aid KYOTO」を令和3年度に創設。令和4年9月には新たに文化財保護事業も支援対象に追加し、文化芸術・文化財保護の両分野を支援する制度に拡充している。
今回[玉乃光酒造]が所有する酒蔵「東蔵」の文化的価値が認められ、文化財保護分野の支援事業として「玉乃光酒造 東蔵再生プロジェクト」を実施することが決定した。
老朽化した蔵の再生資金を、ふるさと納税を通じて寄付の募集を実施する仕組みだ。
プロジェクトに取り組む想いを玉乃光酒造 代表取締役社長 羽場洋介さんに聞いた。
この方に話を聞きました
- 玉乃光酒造 代表取締役社長 羽場洋介さん
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プロフィール会計士として、様々な企業の経営コンサルを経験。2023年より玉乃光酒造株式会社 代表取締役 第14代蔵元として日本酒の価値を世界に発信している
1.東蔵を残す背景や想い
玉乃光酒造株式会社は延宝元年(1673)に和歌山県で創業した伝統的酒造りを続けている日本酒の酒蔵だ。戦後、京都の伏見に移転、事業として酒造りをはじめた蔵が「東蔵」になる。東蔵は、大正13年(1924)に建設した築100年の建物であり、酒造りが玉乃光酒造の本社に移った後も貯酒設備や蔵人の住居として使用され、玉乃光酒造の原風景が残る蔵として現存している。
羽場さん「ここ伏見は、坂本龍馬や寺田屋など関係があります。現存する地図があるんですけど、旧薩摩藩邸跡地が東蔵になります。文化的にも歴史的にも意味のある場所を残していきたいです」
また背景には日本酒の国内市場の低迷も影響しているという。日本酒市場は直近50年間で4分の1まで縮小している。しかし、日本酒は単なるアルコール飲料にとどまらず、2,000年前から続く日本の食文化であり、神事に使われる神聖なものであり、職人の技が織りなす伝統産業になっている。
羽場さん「日本酒の国内市場が低迷していく中で、何が起こるかというと、設備がいらなくなります。東蔵には85個のタンクが並んでいますが、全て使ってないです。ただ酒造りをしていた原風景が残っている。玉乃光の酒造りの根底や、昔の人の痕跡があり、『伝統的酒造り』を次世代に繋いでいきたいという想いが強いです。。そのためには、古い酒蔵を保存し、そのすばらしさを日本から世界に発信していきたいと考えています。」
2. 価値を世界に向けて発信
「東蔵」の再生後は築100年の蔵の中で伝統的酒造りや玉乃光酒造の歴史を体感できる空間を用意するという。また、お茶やお花など、京都の他の伝統産業と連携し、日本の文化を世界に発信していく場所を想定している。
羽場さん「お客さんに東蔵を見せた時の反応がとても喜んでいただけるんです。ここにある独特の空気感は残さないといけない。 文化的に大事だから残そうというのではなく、未来に対して日本酒以外の伝統産業と一緒に蘇らせることで、世界中どこにもないものが作れるんじゃないかというのを想像しています」
具体的には毎回ゲストによって立て付けを変える空間になる。レストランや音楽、お能、お茶、お花ゲーム、アニメ 諸々、クリエイティブな世界の人たちが活躍できる場所にする構想があるという。
羽場さん「今の若い方に、日本って素晴らしい、日本ってまだまだいけるんだっていうのはやっぱり伝えていきたい。様々な人たちと一緒に手を組んでやっていくことが、1番大事なことだと思う。この場所を使っていただいて、輪になり繋がり、日本酒業界全体に波及させていきたいという夢を描いています。」
プロジェクトを一緒に取り組むのは、玉乃光酒造から東蔵の運営を委託された「一般社団法人 酒蔵保存協会」日本酒の文化的価値をより多くの人に伝え、酒造りを未来につなげていくために、古い酒蔵を保存し日本から世界に発信していく。
一般社団法人 酒蔵保存協会理事長
玉乃光酒造 第14代蔵元 代表取締役社長 羽場洋介さん(写真真ん中)
一般社団法人 酒蔵保存協会理事
株式会社京伝びと 代表取締役 梅原英哉さん(写真左)
一般社団法人 酒蔵保存協会理事
株式会社Skeleton Crew Studio 代表取締役 村上雅彦さん(写真右)
3. 寄付の方法
ふるさと納税の実施。
代々受け継がれてきた東蔵を保存・再生し、伝統的酒造りを未来につなげていくため、玉乃光酒造から東蔵の運営を委託されている「一般社団法人 酒蔵保存協会」が令和6・7年度の2箇年プロジェクトを実施し、今年度は東蔵修繕工事に係るふるさとの納税を募集する。
*獲得目標額:第一目標 3,080万円
*募集期間 :令和6年10月3日(木)~令和7年2月28日(金)
*お礼の品 :・純米酒粕セット(酒粕フィナンシェ等)
・特別記念ボトル日本酒(非売品)
・蔵元が案内する非公開の特別酒蔵見学参加権
・酒粕レストラン「純米酒粕 玉乃光」ディナー 等
※ ふるさと納税金額によりお礼の品の内容が異なる。詳しくは、下記URLより確認を。
https://congrant.com/project/kyotoart/12913
玉乃光酒造株式会社
- 創業
- 延宝元年(1673)
- 代表銘柄
- 玉乃光
- 住所
- 京都市伏見区東堺町545-2Googlemapで開く
- TEL
- 075-611-5000
- 営業時間
- 8:00~16:30
- 定休日
- 土・日曜、祝日休