辻善兵衛 純米きもと 夢ささら
辻善兵衛商店 | 栃木県
辻善兵衛商店
栃木県真岡市[辻善兵衛商店]は、栃木県の新たな杜氏制度・下野杜氏の資格を持つ十六代目蔵元を中心に、その若き感性と情熱で地酒を醸す。
SLが走ることで有名な真岡鐵道沿いの真岡(もおか)駅から歩くこと15分ほど。奥州白河の関(現在の福島県白河市)に繋がることで「関街道」と呼ばれていた街道沿いに、清酒「桜川」醸造元の[辻善兵衛商店]がある。近江商人の初代・辻善兵衛が宝暦4年(1754年)に酒造業を始め、実に270年にわたって、この地で地元・栃木の酒を造り続けている。創業当時から続く銘柄の「桜川」や、現在の蔵元である十六代目・辻寛之の立ち上げた新たなブランド「辻善兵衛」など、伝統と現代のニーズ、それぞれに合わせたコンセプトの酒を丁寧な手造りで提供している。
日本三大商人である近江商人をルーツに持つ[辻善兵衛商店]。その近江商人の哲学には「三方よし」という理念がある。「三方よし」とは、売り手も買い手も満足でき、そして社会にも貢献できるのがよい商い、という意味。[辻善兵衛商店]の酒造りにもその精神が息づき、売り手と買い手と、地元が喜べるおいしい酒をつくることを大切にしている。
酒蔵の位置する場所は、北関東の豊かな穀倉地帯。また、蔵の井戸からは鬼怒川水系の良質な水が湧き出す。地元の素材を生かして酒を醸す技術は「下野杜氏」の技である。
「下野杜氏」とは、次世代を担う若き醸造技術者の育成のため2006年に栃木県で創設された新たな杜氏制度。[辻善兵衛商店]の杜氏であり、十六代蔵元・辻寛之もこの資格を持つ一人である。「桜川」を主力銘柄として普通酒や本醸造酒がメインとしていた蔵で、杜氏の若い感性と情熱で「純米酒や純米吟醸酒に力を入れたい」と新たに「辻善兵衛」ブランドを立ち上げた。それだけでなく「國酒の文化を守るには、酒は生活に身近であるべき」と普通酒に対しても、吟醸と同様の技術を注ぐ。持てる技を全ての酒に平等につき込む造りが特色である。
「若い人にも『安くておいしい』と感じてもらえる品質の高い普通酒を」と約10年前から取り組むのが、日本酒の本当の旨さを追究した「PREMIUM S(プレミアム エス)」だ。「S」はスタンダードの「S」であり「桜川」の「S」でもある。これまでの普通酒の概念を覆す繊細な味わいと、普通酒の常識を超えた品質管理。発想を転換したアプローチは、日本酒文化を未来へ繋ぐための布石となるはずだ。