活生原酒 京の夢 上澄
竹村酒造店 | 茨城県
竹村酒造店
霞ヶ浦にほど近く、茨城県常総市に1753年に創業した「竹村酒造店」。関東平野の真ん中で、食中酒として食事とともに楽しめるための酒造りに勤しむ。
地の利を生かした清酒醸造の営みは1753年にまで遡る。滋賀県からやってきた近江商人が、利根川の支流である小貝川と鬼怒川に挟まれた、豊かな水田地帯による水に恵まれたこの地に根をおろした「竹村酒造店」の始まりだ。
現在の常総市石下に本店があったほか、水海道・藤代・大阪などに支店もあったという。1864年の天狗党騒動によって本店の蔵が2度の襲撃に遭ったことから番頭が店を閉め、水海道に醸造蔵を移して現在に至る。
最も古い銘柄「富士龍」は3代前の当主が名付けた。平成元年に杜氏が変わってから淡麗で喉越しのサッパリとした味わいにリニューアルし、今も地元の多くの人に愛されている。
270年以上、10代に渡って受け継がれている酒造り。そのこだわりは米の味を引き出す製法だ。日本酒が食と共に楽しむ食中酒であることを考え抜かれて行われる。
関東の米どころの真ん中に位置するだけあって、米の旨味やバランスを最大限に引き出し、飲み飽きのしない芳醇で淡麗な酒に醸すことを心がけている。
代表銘柄「京の夢」は8代目の茂八郎と親交のあった谷崎潤一郎氏の随筆「京の夢 大阪の夢」から酒名を取った。特に寒仕込みのときだけ販売する「京の夢 上澄」は上澄のために醸した本醸造の搾りたてを澱が下がるのを待ってから、上澄み部分をすくって瓶詰しているので無濾過、無調整の出来立てを楽しめる。40年近い試行錯誤が実った自慢の生原酒だ。
長い歴史と伝統がありながらも、妥協せず常に挑戦を続ける。平成3年には一番新しい銘柄「瑠璃」も立ち上げた。
造り手の拘りを大切に醸した日本酒で、「京の夢」と同じ原酒を袋吊りで圧をかけずにゆっくりと搾った。濾過を最小限に留めることで、フルーティーな香りと旨味をより楽しめる。
食事やシチュエーションに合わせてさまざまな飲み方ができるように、それぞれの銘柄で大吟醸から普通酒まで幅広く展開する。地元の風土を大切にしながら創業300年、400年に向け、水海道の地から食中酒としての日本酒文化を全国へ届け続ける。