琵琶湖最大の客船ビアンカで乾杯!酒房 神ぐら「10周年企画日本酒クルーズ」に参加
2024年6月9日(日)、京都・祗園にある[酒房 神ぐら]10周年を記念したイベントが開催された。琵琶湖最大の客船ビアンカを貸し切り、全国各地から集まった13蔵の日本酒が楽しめる贅沢な時間。15年分の「月の桂 立春朝搾り」飲み比べができるなど、このイベントでしか味わえない魅力に溢れていた。
2014年5月15日(木)、京都・祇園にオープンした[酒房 神ぐら]。店主の石辺敦子さんは大学時代、滋賀県高島市[吉田酒造]で酒造りのボランティアを体験し、その後は京都・伏見[松本酒造]で蔵人として活躍していたという根っからの日本酒好きだ。
10周年を記念した「日本酒クルーズ」は、[酒房 神ぐら]のカラーが存分に発揮された企画が目白押し。滋賀、京都を中心に北は秋田、南は福岡と全13の酒蔵が日本酒を提供するという豪華なイベントになっていた。さらに店舗秘蔵の「月の桂 立春朝絞搾り」15年分(平成22年〜令和6年)が一気に飲み比べできるなど、ここでしか体験できない企画も実施された。
乗船後、乾杯の挨拶でイベント開始!
ビアンカは最大定員458名という、琵琶湖最大のチャーター船。近づいてみるとその大きさに圧倒される。
11時半の乗船時刻にあわせ、総勢200名を超える参加者が集まった。
12時の出航時間を迎え、[酒房 神ぐら]店主である石辺敦子さんによる「日本酒クルーズ出港します!」の掛け声と同時に乾杯!
ライブステージでは「ジャズバンド」や「弦楽四重奏」の演奏が。船上でのイベントが一層華やかに感じられる。
いよいよイベントスタートだ!
全国各地から集まる豪華な酒蔵ブース
本イベント全国から、以下全13の酒蔵が参加した。
- ・[齋彌酒造店]秋田
- ・[岡村本家]滋賀
- ・[福井弥平商店]滋賀
- ・[吉田酒造]滋賀
- ・[瀬古酒造]滋賀
- ・[中澤酒造]滋賀
- ・[平井商店]滋賀
- ・[北川本家]京都
- ・[木下酒造]京都
- ・[松井酒造]京都
- ・[松本酒造]京都
- ・[石蔵酒造]福岡
- ・[寒北斗酒造]福岡
各ブースでは蔵人から直接お酒の提供が行われる。
銘柄の特徴や蔵の話を聞きながら日本酒を味わえることは、こうしたイベントに参加した醍醐味だ。
京都府京丹後市に蔵を構える[木下酒造]は「玉川」銘柄で全国的にも有名。
イギリス人杜氏のフィリップ・ハーパー氏が、滋賀県産の玉栄を使用した山廃純米などを提供していた。
「雪の茅舎」を醸す[齋彌酒造店]。専務取締役の佐藤昭久氏は本イベントに合わせて秋田県からやってきたという。
山田錦の母系統にあたる山田穂を使用した銘柄などを提供していた。
各ブースでは限定酒やイベントに合わせたブレンド酒、熟成酒など様々な銘柄が提供されており、あまりの充実度に日本酒試飲会に訪れたかのような錯覚を覚える。
さらにブース端にはセルフで燗酒を楽しめるコーナーもあり、蔵の方々がおすすめする温度帯でゆっくり楽しめた。
目玉コンテンツの「月の桂 立春朝搾り」飲み比べ
石辺さんが[酒房 神ぐら]をオープンする前から貯蔵していた「月の桂 立春朝搾り」も有料コーナーで提供。
「立春朝搾り」とは毎年2月4日の早朝に搾り上がった生原酒を指し、各都道府県の酒蔵で醸されている。前日である節分の日に邪気を払い、正月のように新たな気持ちで春を迎えることを祝うお酒だ。
本イベントでは平成22年〜令和6年という、実に15年分に渡るラインナップが展開されていた。
各年代には、[酒房 神ぐら]や石辺さんにまつわるエピソードが写真付きで添えられる。
各種2年飲み比べ500円、4年飲み比べ1000円で楽しめる。
今回は[酒房 神ぐら]がオープンした平成26年から4年分を試飲させてもらった。
平成26年は丸10年という長期熟成にも関わらず、比較的飲みやすく、軽快でキレイな味わい。かなりの低温環境で熟成させていたのかと思いきや「お店をオープンする平成26年までは、単なる自宅用の冷蔵庫に置いていました」と石辺さん。それ以降も[酒房 神ぐら]の冷蔵庫で貯蔵していたという。
「立春朝搾り」をこれだけの期間熟成させ、さらに数年分一挙に楽しめる機会は滅多にない。非常に貴重な体験ということもあり、多くの来場者が様々な組み合わせで楽しんでいた。
最後には「お楽しみ抽選会」も
イベント終了前には、各種景品が当たる「抽選会」も開催。
石辺さんによる当選者の読み上げで会場は大いに盛り上がった。
景品はオリジナルイラストが描かれたTシャツやトートバック、更にはプロ野球観戦チケットなど種類豊富。
また人気グルメ漫画『酒のほそ道』の作者サインまで。本イベントにはラズウェル細木氏本人も参加されており、[酒房 神ぐら]の求心力の強さを改めて感じた。
[酒房 神ぐら]の今後に期待!
イベント中、ほろ酔い画ユニット「酔胡楽(すいこらく)」によるライブペインティングも実施。最後には完成絵の披露も行われた。
竹生島に祀られる弁財天と龍をモチーフにした絵画となっており、周りには「琵琶湖周航の歌」の歌詞が並ぶ。この絵は[酒房 神ぐら]に飾られる予定となっているそうだ。
全国各地の充実した酒蔵ブース、立春朝搾り15年分の飲み比べなど、日本酒を中心にしたイベントとして非常に充実したものになっていた。
またイベントには子ども連れも多く、船上でのイベントということで幅広い年代が楽しめたはずだ。
ここまでの規模感でイベントを行える飲食店舗は多くないだろう。京都の日本酒シーンを支える[酒房 神ぐら]の次のステージに注目したい。
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ライター :新井勇貴
滋賀県出身/酒匠・唎酒師・焼酎唎酒師・SAKE DIPLOMA・SAKE検定講師
酒屋、食品メーカー勤務を経てフリーライターに転身。好みの日本酒は米の旨味が味わえるふくよかなタイプ。趣味は飲み歩き、料理、旅行など