小笹屋竹鶴 大和雄町純米原酒
竹鶴酒造 | 広島県
竹鶴酒造
瀬戸内海に面し、江戸時代は製塩業で栄えた広島県竹島市に位置する[竹鶴酒造]。この地の恵みである「食」を懐深く受け止める、「うま味」ある酒を醸す。
竹原の地の酒造りの歴史は、江戸時代初頭に遡る。竹鶴酒造の前身「竹鶴屋」は、この竹原にて1650年頃に製塩業を開始。1733年には酒造業にも参入した。
明治維新以降には造りの規制が廃止され、竹原の酒造業も盛んとなっていた。1888年には隣の安芸津とともに広島県初の酒造組合も結成。[竹鶴酒造]はその中核ともいえる存在として酒造りに取り組んだ。
瀬戸内海でも干満差が大きく、島が多いという特徴を持つ竹原は、身が引き締まり深い味わいを持った魚介に恵まれている。それを存分に味わうために必要なのが「うま味」。風土が生んだおいしさを最大に引き出すため、[竹鶴酒造]は単に「食を邪魔しない」に止まらず、うま味豊かで食をおいしくするための酒を醸すことに拘る。
酒造りに使用する水は、酒蔵の中で地下126mから湧き出たもの。酒を濃醇にする塩化物イオンなどミネラルが多く含まれる。これはかつて酒造の前に海がり、地下水がその海水に由来しているからだ。この水もまた、風土に育まれたものであり、うま味の源なのだ。
料理を受け止める酒を生むため、さまざまな伝統的手法を用いる「竹鶴」。兵庫・灘の伝統的製法・生酛造りを当時の製法と同じく酵母無添加で復活させ、高度な技術と労力を惜しまない造りで懐の深い酒を仕上げる。製麹には手入れや積み替えに手間のかかる「麹蓋」を使用。更に「小笹屋竹鶴」シリーズでは、タンクの代わりに木桶を使用し、豊かで奥行きのある味わいを出す。また、そのうま味を薄めないため、全商品は純米酒に徹底しているのだ。
伝統的手法のみに安住せず、「竹鶴」は日本酒に新たな魅力を吹き込みつつある。日本酒では本来少ないことが望ましいとされる酸味に注目し、食欲を呼び「爽やかさ・余韻・きれ」を持つ「清酒竹鶴 雄町純米」の発売で「酸味」という禁忌に挑戦するなど、常に日本酒の新しい可能性を切り開いていく。