イベントレポート

京都府のブランド酒米「祝米」の田植え!
「京都酒林会」主催のイベントに参加

例年6月上旬、京都市伏見区向島の田んぼにて「祝米」の田植えイベントが開催される。本記事では2024年6月2日(日)に実施された「京都酒林会」による田植えイベントの様子をレポート。子供から大人まで幅広い年代が楽しめるイベントとなっていた。

田植え
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2024年6月2日(日)、近鉄向島駅より徒歩5分程度の場所に位置する田んぼで「祝米」の田植えイベントが開催。「京都の飲食店に京都のお酒を!」をテーマに活動する「京都酒林会」が主催するイベントであり、当日は150名を超える参加者で盛り上がった。

京都酒林会主催の田植え会

「京都酒林会」は京都の酒米で京都のお酒を造ろうという想いから、1994年より活動を開始。2024年で30周年を迎える。

京都伏見の農家3件、伏見と城陽の酒蔵3件、そして京都市内の酒屋5件からなる団体であり、日本酒の原料から製造、販売を通じた活動を続けている。

30回目となった今回の田植えには、総勢150名を超える参加者が集まった。

「今回の田植えの収穫が10月にあり、新たな日本酒造りが始まる。今回のイベントはそのスタートということで、皆さん気持ちを新たに楽しんでほしいと思います」と、[増田德兵衞商店]の増田氏からの挨拶。

京都酒林会

▲[増田德兵衞商店]代表取締役会長 十四代 増田德兵衞氏

農家の山田ファームや高宮農園、中島農園、そして酒販店の津乃嘉商店、酒蔵の[城陽酒造]など「京都酒林会」の各メンバーからの挨拶があり、いよいよ田植えスタートだ!

京都酒林会

▲[城陽酒造]代表取締役社長 島本稔大氏

田んぼに入り田植え開始!

当日は雨天予報とあいにくの天気であり、田植え開始時には小雨に見舞われた。

幸いにも数分で雨は上がり、次第に天候も回復する中での田植え体験となった。

田植え

ほとんどの参加者が裸足で田んぼに入り、1本ずつ苗を手植えしていく。

慣れた手つきで進める方、初めてで緊張した様子の方など様々。田んぼには虫やカエルなどの生物もたくさん見られ、環境の良い田んぼであることがうかがえる。

田植えを初めて行う小さな子供も多く、街中では味わえない体験を楽しんでいるようだった。

田植え

一度田んぼに入ると、あっという間に足首以上の深さまで沈む。

足場の悪い中、中腰で進める作業は想像以上に大変な作業だった。

田植え

京都府オリジナル酒米の「祝米」

1933年に京都府で生まれた酒造好適米「祝米」だが、戦後の食糧難とともに栽培が中断。

1955年頃を再開に再び注目され、丹波や丹後で積極的な栽培が開始。伏見の酒蔵で最も多く使用される酒米へと復活した。

しかし、稲の背が高く倒伏しやすい上に、収穫量も少ないことから再びその姿を消していった。

祝米

幻の酒米となった「祝米」に再び注目が集まったのは1998年。

「京都の米で京都独自の日本酒を造りたい」という想いから、酒造組合や農家を巻き込んだ取り組みが開始。1992年から再び栽培が開始され、現在では京都府内の酒蔵が「祝」を使用した酒造りを行っているのだ。

祝米

京都府にはオリジナル酵母である「京都酵母」も存在している。

そのため水、米、酵母という原料を全て「京都産」で醸す、「オール京都日本酒」といったブランド戦略も進められているのだ。

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田植え後は「祝米」を使用した日本酒が飲み放題

本イベントでは「祝米」を使用した日本酒として、「京都酒林会」に参加する3つの酒蔵の日本酒が提供された。

試飲

  • [齊藤酒造]真向 純米吟醸
  • [城陽酒造]南山 純米酒
  • [増田徳兵衛商店]塩鯛 純米吟醸

それぞれ「京都酒林会」オリジナル銘柄として展開しており、名称も向島にちなんだ名称となっている。

「真の向島」や「真っ向勝負」を意味する[齊藤酒造]の真向。

向島の土を使った作品を作る陶芸家の伊藤南山氏にちなんだ[城陽酒造]の南山。

そして向島への取材をきっかけに付き合いが始まった、落語家の桂塩鯛氏にちなんだ[増田徳兵衛商店]の塩鯛。

試飲

同じ場所で育った酒米でありながら、その味わいはそれぞれ異なる。

日本酒の造りによる変化を感じられる、興味深い飲み比べとなった。

フードも充実

参加者には500円相当のフードチケットが3枚配られる。

京都市内の飲食店が出店しており、それぞれ好みのフードが注文できた。

食事券

京都18酒蔵の飲み比べができる、伏見の「伏水酒蔵小路」も日本酒にマッチするおつまみを提供。

しっかりしたフードからおつまみまで、幅広い需要に応える充実したフードブースであり、日本酒とともに大満足だった。

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フード

次回は10月に稲刈りが予定

「京都酒林会」では6月の田植えだけではなく、10月の稲刈りイベントも実施している。

今年は10月6日(土)での実施が予定されているという。

原料であるお米を身近に感じながら味わう日本酒は格別。気になった方はぜひ、10月の参加を検討して欲しい。

ライター :新井勇貴
滋賀県出身/酒匠・唎酒師・焼酎唎酒師・SAKE DIPLOMA・SAKE検定講師
酒屋、食品メーカー勤務を経てフリーライターに転身。好みの日本酒は米の旨味が味わえるふくよかなタイプ。趣味は飲み歩き、料理、旅行など

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