【豆知識】燗酒(かんざけ)におすすめな温度って?作り方や呼び方の違いも!
さまざまな温度帯で楽しめるのが日本酒の良さ。特に燗酒はホッとする味わいで、身体にやさしいといいことづくめです。5℃ごとに変わる呼び方からお手軽な燗の付け方まで、唎酒師の藤田えり子さんが解説します。
燗酒におすすめな日本酒は?温度によって変わる味わい
一般に燗上がりするといわれるのは純米酒や本醸造酒。これらのお酒はうま味成分であるコハク酸やアミノ酸を多く含んでおり、温度が上がるとそういったうま味を舌が感じやすくなるためです。
また、香りの高い吟醸系は冷酒で飲むのが定番ですが、なんとなく物足りない時はぬる燗程度に温めてみると、甘味やうま味が引き出されてぐっと味わいが深くなります。
温度によって甘味の感じ方が変わるのは、冷たいアイスクリームが溶けると甘すぎて食べられないのと同じ理屈。温度を上げると苦味や渋みは感じにくくなり、酸味は種類によりますが、まろやかになることもあります。
甘・酸・苦・旨の複雑なバランスからなる日本酒の味わい。それぞれのお酒の個性に合わせたおいしい温度を見つけてください。
日本らしい風流な燗の呼び方の違い
燗酒をひっくるめて「熱燗(あつかん)」ともいいますが、5℃刻みでこんな美しい呼び方があります。
ほんのり温か30℃の「日向燗(ひなたかん)」、するする飲める35℃の「人肌燗(ひとはだかん)」、ほっこりやさしい40℃の「ぬる燗」、ほどよい45℃の「上燗(じょうかん)」、キリッと締まる50℃の「熱燗」、アツアツ55℃の「飛び切り燗(とびきりかん)」。
日本語らしい細やかな表現が、お酒のあるシーンを豊かにしてくれると思いませんか。
家で簡単に燗酒を楽しむ
鍋に沸かしたお湯に1合(180ml)徳利を浸けて2分強でぬる燗、3分で熱燗になります。お湯の量は徳利の首のあたりが目安です。鍋の代わりに電気ケトルを使ってもいいです。もちろん、スイッチを切ってから徳利を浸けてください。
少し味は落ちますが、電子レンジを使う方法もあります。徳利や片口、なければマグカップでもかまいません。器の8分目ほどお酒を入れてラップをかけ、1合あたり40秒温めます。かき混ぜて味見をし、まだと思ったらもう10秒ずつ。ちょっと熱めにして香りを補うためお酒を足すのもありです。
酒燗専用の温度計じゃなくても、100円ショップでも手に入る料理用の温度計が1本あると、適した温度が記録できて楽しいですよ。
燗酒は身体にやさしい
燗の酒は悪酔いしにくく、身体にやさしいといわれます。体温に近いためアルコールの吸収が早く、酔いを感じて飲み過ぎを防げるからというのがその理由。
身体が温まるうえリラックス効果もあって、ストレス解消にはもってこい。毎日の晩酌には、ぜひ燗酒を楽しんでくださいね。
ライター 藤田えり子
唎酒師。大阪の日本酒専門店に世界を広げていただき、さまざまな日本酒や酒蔵に出合う。好きな日本酒は秋鹿、王祿ほか
お酒以外の趣味は鉱物集めとアゲハ蝶飼育。
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