熟成酒

[刻SAKE協会]から新商品が登場。熟成日本酒のアッサンブラージュで広がる新しい楽しみ方

[刻SAKE協会]は古酒・熟成酒に日本酒の未来を描く日本酒蔵が集まり設立された13社の団体。時間軸を用いて日本酒の価値を押し上げていくのが目論みだ。日本酒の「熟成」と「アッサンブラージュ(ブレンド)」という新しいアプローチで注目を集めている。今回は古酒・熟成酒ファンの裾野を広げるべき手に取りやすい商品ラインナップが加わった。

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今回、新発売の商品は2つ。「刻の奏シリーズ」と称し[月の桂][黒龍]の2社が主軸に立ち、蔵の垣根を越え複数の蔵の古酒・熟成酒がブレンドされた逸品である。監修には日本ウイスキーで唯一の殿堂入ブレンダーである輿水精一氏(サントリー名誉チーフブレンダー)が協力した。

左より株式会社熟と燗 上野伸弘氏、株式会社増田德兵衞商店 増田德兵衞氏、黒龍酒造株式会社 水野直人氏、サントリースピリッツ株式会社 輿水精一氏

過去には、刻SAKE協会顧問でもあり日本ソムリエ界の重鎮 田崎真也氏によるブレンド古酒(8本セット202万円・完売)などで古酒・熟成酒の高価格帯市場が存在することを証明してきた同協会だが、今回は裾野を広げる試みだ。商品価格帯は1万円〜1.5万円で、今後も協会メンバーから続々と同価格帯の商品ラインナップが出揃う予定だ。

記者会見に臨んだ両蔵からは「味や香味の総量がグッと増している。単体では表現できなかった味わいができた」とのこと。「刻の奏シリーズ」には、使用された酒蔵のロゴが入っているので、どの蔵の酒がブレンドされたのかが視覚的にもわかるようになっている。

輿水氏からは「ウイスキーの場合、お客様は出来上がった最終形の味わいしか楽しめない。今回は異なる蔵の掛け合わせで、単純に美味しいだけではなく、中身に宿る歴史や味わいを探しにいくおもしろさがある。これからの新しいスタイルとして取り組みたい」と語った。

ウイスキーは掛け合わせ前の酒を飲むことはできない。[月の桂]や[黒龍]をはじめとする使用酒の味わいを知るファンからすれば、蔵の元の味を想像し、完成酒の中にどのように息づくのか想像するだけでも楽しい。歴史や味わいを“探しにいく”という楽しみ方は新しいスタイルだと言える。

刻の奏・ときのかなで 黒⿓ 720ml 【限定3,000本】12,000円
⼝に含んだ時の「⽊⼾泉AFS」由来の酸味が響きつつも、味わいの中核に「黒⿓」「⼋海⼭」ならではの旨味がしっかりと存在。⽢さと酸味の余韻が⼼地よい「黒⿓」本来の特徴は維持しつつ、⾹りの複雑さや幅が⼤幅増強されている。フルーティーでな果実⾹から完熟の⾹り、⽶由来の旨味を連想させる厚みのある⾹りまで実に多様な香りがつまっており、柔らかくふくらみのある酒が出来上がった。

刻の奏・ときのかなで ⽉の桂 720ml 【限定1,000本】12,000円
「⽉の桂」の常温熟成の特徴である、濃厚でなめらかな⼝当たりと複雑味が溢れる味
わいをベースに、「出⽻桜」由来の軽快で繊細な果実⾹、「天寿」のまろやかで奥⾏
きのある⾹味が加わり、「南部美⼈」の酸味個性が光る芳醇な味わいがエッセンスと
して⽣きた味わい。仕上げに少量加えたテキーラ使⽤の樽熟酒(月の桂)がアクセントとなり、より厚みと複雑性のある、おもしろい味わいに仕上がった。

※どちらも発売日は2025年12月20日(土)

詳細:刻SAKE協会ホームページ

問合せ先
月の桂醸造元 増田德兵衞商店
黒龍醸造元 黒龍酒造株式会社

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