酒蔵に聞く

全20銘柄がSake World NFTに登場! 兵庫・播州の地酒「富久錦」の想いを聞く!

米どころ播州にあり、地元の米だけを使った純米酒にこだわる酒蔵「富久錦」。酒造り真っ只中の蔵に密着取材、さらにSake World NFTへの期待について代表兼製造責任者の稲岡社長にインタビュー。

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Sake World NFTに20銘柄を登録した兵庫・播州の地酒「富久錦」。
日本酒の価値を上げる新しい取り組み“日本酒×NFT”に対しては理解が追い付かない方は多い。
それは仕方がないことで、これから認知や良さを伝えていくのが私たちの課題である。
そんな中、Sake World NFTの取組にいち早く共感してくれたのが代表兼製造責任者の稲岡社長だ。
今回、全量純米蔵を貫く覚悟や地元への思い、Sake World NFTへの出品について話を聞いた。
田圃限定シリーズやスパークリング純米酒、数本限定の希少酒、壺入りの熟成古酒まで圧巻のラインナップが登場する。

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富久錦株式会社 代表取締役社長兼製造責任者稲岡敬之さん
プロフィール
播州平野の中心、兵庫県加西市ののどかな田園地域に佇む、天保10(1839)年創業の酒蔵「富久錦」。2014年から社長兼製造責任者として酒造りを取り仕切る

1. Sake World NFTの出品酒、全20銘柄を徹底解剖

-今回Sake World NFTに20銘柄出品された理由はなんですか?

「熟成することでお客様にとっても価値が上がるお酒を選びました。以前から日本酒の熟成には関心があったので、弊社でもお酒の楽しみ方の一つとして色々試してきました。“Sake World NFTは自分のお酒を育てるのが面白さ”と思って参加していますのでワクワクしています。Sake World NFTではマイナス5度の氷温倉庫で貯蔵できるのがいいですね。一番いい状態での保管なので。例えば「出来立てピチピチの生酒、限定100本」みたいな企画で、それぞれの人がそれぞれの熟成の仕方で楽しむなんて面白いと思うんです。このSake World NFTさんの仕組みでより価値が出るものを思いついたら、また提案していきたいなと思っています」

―Sake World NFTに期待する事は?

「蔵には在庫がなく、お客さんの手元のみにある、つまりSake World NFTの氷温倉庫だけに眠っているというような状況になれば面白いですね。今回出品している朔はフランスの酒コンクールで賞をいただいたお酒ですがR03BYは既にフリーの在庫が1本しかないです。持っていると価値が付くと思いますよ」

●朔 R03BY(右)R04BY(中央)
生酛純米大吟醸酒のスケール感に加え、播磨のお酒らしく穏やかな口あたりの中に、しっかりとした旨みを感じられる。食事に合う飽きのこないお酒。ラベルを覗くと奥に月が見えるデザインもおしゃれ。R03BYは「Kura Master2023クラシック酛部門」トップ賞、「審査員賞」受賞。
R03BYは蔵にもフリー在庫は1本しかなく希少酒になるだろう。

●祝泡 純米スパークリング2020、2021
生酛造りの特性を活かしたスパークリング純米酒。美しく立ち昇り、心地よくはじける泡と、発酵がもたらす自然な香り、熟成による旨みは、生酛造りだからこそ。白を基調にエンボス加工が施されたスタイリッシュなラベルは、デザイナー森田恭通氏が手掛けたもの。2021年度産はインターナショナルワインチャレンジ2023で希少なリージョナルトロフィーを受賞。

●豊倉町下村下 山田錦、 朝妻町安楽寺 山田錦ほか
酒米の田んぼにこだわり、土地の名前をつけたシリーズ。木桶で生酛造りをしている。「豊倉町下村下」は川が近く低地で水捌けが良く、「朝妻町安楽寺」は山影にあり昼夜の寒暖差がつきやすい立地。それぞれ2020、2021、2022年のヴィンテージが選べ、フレンチオークの樽で熟成させたin the barrelバージョンもある。特に「朝妻町安楽寺」2020in the barrelは「kura master 2022プラチナ賞」に輝く逸品。

「今回出品している田圃限定シリーズですが、正直最初は味の区別がわからなかった。それが2年3年経って、もう全然違うようになりました。同じ加西市内ですが、土壌と育つ水が違えばそれぞれの特性が出てきているんでしょうね。熟成するに従ってすごく個性が出てきました。その原因がわかったら面白いですけど。そういうのもNFTを利用して買った人の楽しみになる、魅力の一つですよね。すぐ飲む用と熟成させて飲む用とのセット購入も面白そう、3年後、5年後の楽しみができますね」

●古酒各種(山田錦 純米大吟醸)
貴重な古酒は黒釉金彩壺 25年古酒、黒釉金彩壺 純米大吟醸2014〜2018をラインナップ。陶芸作家・山城健司氏の黒釉金彩壺に詰めた限定品。今や幻ともいうべき25年古酒は純米大吟醸を蔵内熟成させた濃醇な味わいにうならされる。2014〜2018は冷蔵庫熟成。年を重ねるごとにまろやかさ濃密さが増す、熟成古酒ならではの味わいを堪能できる。

「普通には販売しない壺で熟成させている古酒です。25年古酒は蔵の常温で保管しています。その他は冷蔵です。おそらくこの2~3年で在庫はなくなる可能性がありますよ」

「僕なら2本購入します。熟成は横の比較ができる。1本はそのまま、もう1本は熟成させて味の違いを楽しみたいですね」

2.地元産の米にこだわる理由

上記の出品銘柄はSake World NFTの為にセレクトしてもらった。
改めて富久錦の酒造りについて聞いてみた。

稲岡さんの父に当たる先代が「全製品純米酒宣言」をしたのは1987年。時代に先駆けての英断だった。そこまで純米酒に、なおかつ地元加西産の米にこだわる理由はなんだろう。
「1994年にすべて純米酒に切り替え、地元の米100%になったのが1999年。そもそも地酒というのは「地の米で作る酒」であるべきという根本的な考えからです。
地元の米にこだわるもうひとつの理由は、僕たちが加西の町のために何ができるかということ。まずはお米を買って、皆さんの農業収入を上げる。地元農家と契約栽培をしているのは、僕たちはいいお米がないといいお酒を作り続けられないので、地元でいい農家を育てないといけない。そのためにはやりがいが必要で、お米を作っても儲からない、誰が買ってくれるかわからないでは若い人は参入できないでしょう。僕たちが自然に優しい農法を推奨しているのも、加西の景色、きれいな水や緑を守りたいという思いからなんです」

3. 伝統を復活させた生酛造り

酒造りを取材するなか、印象的だったのは純米大吟醸の麹作り。じっとしていても汗ばんでくる40℃以上の麹室で、稲岡さんと蔵人の二人が蒸米を手際よくほぐし広げていく。上半身をいっぱいに使っての素早い作業は、慣れているとはいえキツいはず。富久錦の酒造りはほとんどが機械に頼らない手作業だ。江戸時代から伝わる古式醸造法を基に、現代の技術や知見を交えた工夫を加える。

稲岡さんに代替わりして、新しく生まれたのが『純青』という銘柄だ。これをきっかけに伝統的な生酛造りを復活、今では約半数の銘柄が生酛造りとか。
「『純青』は、生酛で自分たちが作りたい酒を作ろうと。売れる酒じゃなくて、自分たちが価値があると思う酒を作ろうというのがスタートです。それまで山廃はあったんですが、僕がもう山廃をやめて生酛をやろうと言いました。生酛の方が理にかなっているし、熟成するにつれてどんどん味がのってくる。特に山田錦は全体的に凝縮されていく感じがあるんですよ。凝縮され、角が取れて丸くなる。味が濃くなるというより、濃密な感じになってきます」

4.  山田錦の栽培に適した風土


加西市の位置する播州は、言わずと知れた酒造好適米の山田錦の名産地。
「播州は山田錦の栽培に非常に向いている気候なんですよ。雨が多すぎず、そんなに大きい台風も来ませんし、温度の上がり下がりが極端じゃなく穏やか、土壌的にもミネラル豊かでいいお米が育ちます。それぞれの地域において、そこでしかできない酒を造るのが地酒の価値だと思っています。僕たちは播州の気候と土と米、水で播州のお酒を造るということですね。」

5. 富久錦が目指す先

NFTという新しい試みにワクワク、好奇心とチャレンジ精神旺盛な人柄が伝わってくる。最後に、稲岡さんに酒蔵の今後の展望について尋ねてみた。
「蔵が大きくならなくてもいい、ここでしか醸せない酒、播州の人に『俺らの酒はこの酒だ』と誇りを持ってすすめてもらえる酒を造りたいんです」

販売も兼ねている蔵には日々様々な方が訪れる。
圧倒的に地元の方が多いのが富久錦の魅力だ。
ふと見渡した播州の景色には新たな可能性を探るヒントの芽がしっかりと根ずいている。

富久錦 株式会社

富久錦 株式会社

創業
1839年
代表銘柄
富久錦
住所
兵庫県加西市三口町1048Googlemapで開く
TEL
0790-48-2111
HP
http://www.fukunishiki.co.jp/
営業時間
9:00〜17:00

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