イベントレポート

日本酒の未来は明るい!「若手の夜明け2023 AUTUMN」潜入レポート

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1.「若手の夜明け2023 AUTUMN」

全国から若手醸造家による47蔵が集う日本酒イベント『若手の夜明け2023 AUTUMN』が
東京・大手町フィナンシャルシティにて、2023年9月13日(水)〜16日(土)に試飲イベント、17日(日)はシンポジウムを開催。
NYのブルックリンクラをはじめとする初参加の18蔵を含め、全47蔵が出店し、イベント限定酒を含む100種類以上が堪能できる。
クラウドファンディングで1,300万円以上の支援を受けるなど注目度抜群のイベントだ。
今回9月13日にイベントを体感。若手醸造家との会話はもちろん、各蔵こだわりのお酒から限定酒、新銘柄まで推し蔵を見つけにいざ潜入。

若手の夜明け

9月13日の初日17時に潜入取材開始。
大手町仲通りには夕暮れと共に徐々に人が集まり出し、賑わいをみせる。
白いバルーン型投光機も「若手の夜明け」の象徴になりつつある風景だ。

イベントスタートの17時前には受付では行列ができており、人気の高さが伺える。
イベントを運営する「株式会社Cland」は酒蔵の映像コンテンツ制作や日本酒アプリの開発をメインに日本酒のある暮らしを新しい視点から発信している。

「若手の夜明け」に参加する酒蔵は、気鋭の若手醸造家や、復活や世代交代、家業を継いだばかりの蔵、若手人材の育成を担うメーカー、そして”クラフトサケ”と呼ばれる新しいカテゴリーを発信する前衛的な酒蔵まで、これからの日本酒業界を担う若手醸造家たち。

どの蔵にも共通しているのが、“自分の信じる本当に美味しいお酒を届けたい”という想いだ。

2.若手醸造家の声/想い

まず最初に話を聞いた太田酒造場 (鳥取県若桜町)/太田章太郎さんは”若手の夜明け”に関して若い世代のお客さんが多い。その為、日本酒に対してネガティブさがないので新しいものとして受け入れてくれる。自慢の辨天娘の燗酒も新しい広がりを見せていると声を弾ませる。
福田酒造 (長崎県平戸市)は火入れの仕方をすべて変えたというお酒を。
土田酒造(群馬県)や藤井酒造(広島県)は真骨頂ともいえる”完全無添加 生モトづくり”に自信をのぞかせる。
若駒酒造(栃木県)は磨かない酒造りのこだわり。
三宅酒造(兵庫県)の若き女性蔵元三宅文佳さんは全てをリセットし新しい酒造りに励む。
八海醸造(新潟県)は年ごとに酒質テーマを設定して毎年仕込む新しい取り組み“唎酒”を振る舞う。
稲とアガベ(秋田県)、ぷくぷく醸造(福島県)、haccoba(福島県)などクラフトサケは長蛇の列ができる人気ぶりだ。

どの蔵にも勢いを感じる、そしてみなぎる自信がこちらにも伝わる。
改めて感じる「日本酒を飲んで元気に!」これぞ若手の力、日本酒の力を体感。

3. 「若手の夜明け2023 AUTUMN」限定酒

多くのブースの中でもやイベント限定酒は飲んでおきたいところ。
今回出品されている限定酒は阿部酒造(新潟県)・haccoba(福島県)・森酒造場(長崎県)の3酒蔵。日本酒にこだわりと新しさを表してくれる3銘柄はチケットサイトMakuakeの予約限定での販売。

▲阿部酒造(新潟県)REGULUS 2022

阿部酒造の中でも近年人気が高まっている、酸味の個性を引き出して造られている低アルコール原酒のお酒。酸味が効いた今までの清酒とは全く異なる味わいが魅力だ。クエン酸由来の酸味が口いっぱいに広がり、温度の変化により華やかさの変化も感じられる。

▲haccoba jam

一般販売はしておらず、イベントや一部飲食店のみの限定流通。
エルダーフラワーとホップによるマスカットのような香り、麹と乳酸菌による甘酸っぱい味わいが広がる。山椒レモネード粕が爽やかな後味をもたらせてくれるのは驚きだ。
さまざまな副原料をかけ合わせた重層的な味わいは唯一無二。

▲森酒造場(長崎県)五代目蔵元杜氏・森雄太郎さんと飛鸞 限定酒。

全く新しいタイプの貴醸酒。パッションフルーツのような甘さと軽やかさで飲みやすい。
「日本酒ではおそらくどこもやらないであろう方法で造っている。今は試験醸造なので口外できないが、常にブラッシュアップしていきたい」と森さん。多くの人に届けたい魅惑のNEW酒だ。

4.話題のお酒

定番酒や限定酒以外にも話題のお酒が勢ぞろい。今回ニューヨーク・ブルックリンの酒蔵「Brooklyn Kura」が若手の夜明けに初参加。18時からの試飲には大行列ができるほどの人気ぶりだ。

2018年1月にアメリカ・ニューヨーク初の酒蔵「Brooklyn Kura(ブルックリン・クラ)」がスタート。日本に負けない美味しいお酒を造りたいと日々挑戦している。

定番商品は、軽快で華やかな純米吟醸「#14(ナンバー・フォーティーン)※写真真ん中」
花のような華やかな香りと、バランスの良い軽快な口当たりが特徴だ。

日本酒を作るのに最も重要な原料である米や水は、現地から調達。麹はBrooklyn Kuraの醸造所で作られ、酵母は日本からのものだそう。

日本ではなかなか飲むことができない逆輸入酒が飲めるのも「若手の夜明けAUTUMN」ならでは。

▲ハタチのSAKE PROJECTメンバーのお二人

「ハタチのSAKE PROJECT」とは、20歳の5人が”若者に日本酒を飲んでもらう”きっかけづくりを目指すプロジェクト。新潟県佐渡島の酒蔵「尾畑酒造」が運営する学校蔵で仕込み体験しラベルデザインなどのプロモーションや販売を自ら行うことにより、若者に日本酒との出会いを通して日本文化をしっかり見つめてもらうこと、さらに若者の多様な居場所づくりに取り組んでいる。

そして完成した日本酒「前夜」※写真中央
昔ながらの生酛づくり、乳酸菌を後入れせずゆっくり時間をかけて自然に発酵させている。
酸味のある爽やかな味わいが特徴。

女子大学生が作ったと話を聞いて、飲みやすいフルーティーなお酒のイメージがあったが、しっかり米の味わいが楽しめる大人向けの味わいだ。

5.日本酒の未来は明るい

「若手の夜明け」では参加酒蔵の銘柄が購入できるほか公式Tシャツや、日本酒を包める大判のオリジナル風呂敷、各蔵のロゴ入り前掛けや、United Arrowsとのコラボグッズまでラインアップ。

イベントを体感して、日本酒に関わる人たちが声を揃えた“刺激”
日本酒の概念を越えようとしている醸造家、新たな定義を広げてくれる新進気鋭のクラフトサケ、新たなお酒との出会い。誰もが切磋琢磨し、刺激を感じ、それぞれの地域で新たな取り組み、挑戦が始まる。

「日本酒の未来は明るい」そう感じさせてくれた「若手の夜明け2023AUTUMN」
日本酒に関わる者たちの“生き様”は続く。

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