お酒と食事 うり
吟味した食材を、その時期ならではの献立に。季節ごとに足を運び、日本酒とともに旬を味わいたい小料理店。
四条河原町から歩いてすぐ、綾小路通から細い路地を入った一画にひっそりと看板を掲げる[お酒と食事 うり]。1Fはカウンター4席とテーブル4席、2Fはテーブル6席というこぢんまりした空間で腕を振るうのは、市内の割烹などの料理店に勤めた後に独立、2018年にこちらをオープンした上門邦彦さん。献立には、旬の魚介や信頼のおける生産者が作った野菜を使った料理が並ぶ。いずれも上門さんが「ぜひこれを食べてほしい」と仕入れた食材を使ったもので、お客さんに喜んでもらいたいという思いがこめられている。ハモフライ山椒正油1300円。ハモの身はふわりとやわらかで、衣はサクッと軽やか。山椒の実を炊いた醤油のピリッとした風味がアクセントになり、いくらでも食べられそう。平貝胡瓜酢みそ800円。旨みのある平貝と胡瓜を、上品な酢味噌和えにしたもの。この日はほかに「とうもろこしの天ぷら」や「いちじくのごま酢がけ」「ずいきのあんかけ」など、季節の食材を使った献立も並んでいた。
さらに、お造りや丁寧に仕込んだおでん、魚介や野菜の炭火焼など、一品一品丁寧に作られた品々を味わえる。上門さんの真摯な料理への姿勢をそのまま映したようで、どの料理も魅力的だ。料理と一緒に楽しみたい日本酒は、さっぱり系や辛口系、旨みのあるものなど10銘柄余りを取り揃える。お酒選びにも心を配り「料理に合いそうな、おいしいお酒を仕入れています」と上門さん。そのラインナップの一部がこちら。松の司 生酛 純米酒(滋賀県・松瀬酒蔵)
自家酵母菌だけで醸した純米酒で、温度帯によって様々な味わいに。お造りにもおでんにも合わせたい。篠峯(奈良・千代酒造)
旨みとキレのよさを持ち合わせた辛口の純米酒は冷やで。香取 自然酒純米80(千葉・寺田本家)
無農薬米を100%使用し、精米歩合は米本来の味わいや旨みを感じられるとされる80%のお酒。季節が変わるたびに足を運んで、その旬の味を堪能したくなるこちらは、席数が限られているゆえ、あらかじめ予約するのがおすすめ。初めて来店する際は、綾小路通の路地の入口に置かれた小さな看板を目印に、奥へと進もう。