日本酒とお店

オリジナルの日本酒は強力な武器になる![和牛料亭 bungo 祇園店]津田将義さんインタビュー

複数の酒蔵の日本酒をブレンドするという考えから生まれた、新感覚の日本酒[Assemblage Club(アッサンブラージュ クラブ)]と自分だけのオリジナルブレンド日本酒が作れるスポット[My Sake World]。この蔵を超えた日本酒のブレンドという新しいチャレンジをサポートしてくれる人たちに、今の想いを聞いた。

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京都の3つの酒蔵の協力のもとに実現した日本酒[Assemblage Club(アッサンブラージュ クラブ)]や、個人や飲食店、企業がオリジナルブレンド日本酒を作ることができるスポット[My Sake World]。“日本酒のブレンド”という、これまでになかった企画に協力、応援をしてくれる蔵や人に、参加を決めた理由やその後の影響などについてインタビューした。

今回は祇園に佇む和牛料亭 bungo 祇園店。店長の津田さんはブレンド日本酒を3種類製造。
和牛と合わせるブレンド日本酒の製造の想いや取り組みについて聞いた。

この方に話を聞きました

和牛料亭 bungo 祇園店 店長 津田将義さん
プロフィール
専門学校を卒業後、肉料理を中心にした飲食業を展開する「株式会社 大地」に入社。系列店のイタリアン炭火とワインでおおいた和牛の魅力に触れる。好きなお酒はワインと日本酒。

希少なおおいた和牛と日本酒のマリアージュ

着物でのそぞろ歩きが絵になる、最も京都らしい風情漂う祇園・新橋通り。芸事の神様として芸舞妓さんが手を合わせる姿が見られる辰巳神社のそばに佇むのが [和牛料亭bungo祇園店]。京都市指定の伝統的建造物を生かした空間で、和牛料理の粋を極めた贅沢なコースを選りすぐりの銘酒とともに味わえると評判の一軒だ。こちらで使用している“おおいた和牛”はサラサラとした上質の脂が特徴で、濃厚な旨みがありながら胃がもたれにくいという希少な銘柄牛。“焼かない焼肉”と称するオールサーブのスタイルで、和牛本来の味わいを引き出す絶妙の火入れで提供する。合わせるドリンクは厳選した本格派ワインと日本酒、ジャパニーズウイスキーなど多彩。特に日本酒はオリジナルの『豊京和園』を始めとするプレミアムな銘酒を揃え、絶品の和牛料理とのマリアージュが楽しめる。カウンターのほか、落ち着ける個室も選べる(別途個室料金あり)。コース1万8700円〜。

最初はチーズと京野菜の前菜から。中心はブッラータチーズと牛肉の根菜巻き。ボイルやソテーした季節の京野菜には出汁のエスプーマや色とりどりの野菜のソースを添えて。

松茸を巻き込んだユッケにはキャビアを乗せて、トリュフをふんだんに削った極みの一品。

「ここでしか飲めない」という“刺さる”ワード

—京都の[My Sake World]で日本酒のブレンドを体験して、[和牛料亭bungo祇園店]オリジナルの日本酒を製造していただきました。体験をしてみたご感想はいかがですか?

津田さん「やっぱり、日本酒をブレンドするという手法自体に驚きがありましたね。そもそも想像をしたことがなかったので、ブレンドによって美味しくなるなんてびっくりでした。実際に体験してみたら、率直に楽しかったですよ。やっぱり合うものもあれば、イマイチ良くない組み合わせだなというのもありました。これはどうかなと思っても、飲んだら意外と美味しかったり、なかなかおもしろかったです。ブレンドにはすべて京都の日本酒を使用しています」

—製造していただいた『豊京和園 FUKYOWAON 雫』『華』『楓』という3種類のオリジナル日本酒について、それぞれのテーマをお教えください。

津田さん「まずは『雫』。うちは赤ワインのオーダーがよく出るんですが、比較的少なめですが白ワインを求められるお客様に提案できる日本酒というのがコンセプトです。レモンのような香りの日本酒をブレンドして、かなり酸味のあるフレッシュな味わいに仕上げました。前菜のチーズと京野菜のサラダに合いますし、出汁にもマッチする味わいですね。
2本目の『華』はがっつり辛め。THEお肉に合わせて飲んでいただこうというストロングなタイプです。でも、ただ辛いだけじゃなく、辛いけど旨い“旨辛”なイメージ。しっかりコクがあって、グッと辛味のある味わいです。
最後の『楓』は、僕が一番ブレンドにこだわったやつなんですが、温度による味わいの変化を楽しんでいただけるお酒です。お食事の際、最初に低い温度で提供してから2、3品挟んだ後に飲んだ時、また少し違う味わいになっているという感じです。反対に『雫』『華』は温度による味のブレが少なく、そのまましっかり美味しいお酒だと思います」

—カラフルなラベルのデザインと合わせて、『豊京和園 FUKYOWAON 』というネーミングも印象的でインパクトがありますね。

津田さん「ラベルのデザインもネーミングも僕が考えました。FUKYOWAON(不協和音)って言葉は居心地の悪い音の重なりという、あまり良くない意味ではありますが、日本酒のブレンド自体がこれまでの“御法度”という印象を翻して“美味しい”ということと、日本酒と和牛の掛け合わせ、そのすべてがマッチすればいいなと。それを祇園から発信したいという意味が込められています。漢字は当て字で豊後の『豊』、京都の『京』、和食の『和』、祇園の『園』です。

—お客様にはどのように勧めておられますか?

津田さん「この3種類の日本酒は、今のところ1種類ずつの提供になりますが(※2025年9月現在は『華』)、最終段階では3種類並んだ状態で、お客様に選んでいただければいいかなと思っています。まだ始めたばかりで調整段階のつもりだったのが、こんなにスムーズにたくさんオーダーが出るとは予想外でした。特にこちらから推さなくても、お客様の方でメニューを見て興味を持ってくださいます。やはりオリジナルの日本酒で、ここでしか飲めないという響きはすごく刺さりますね。海外からのお客様がほとんどなのですが、旅先ではその土地ならではのものを口にしたいという感覚でしょう。それは日本のお客様でも一緒だと思います」

将来は日本酒の酒蔵を持ちたい

—それでは最後に、今後について何か展望があればお教えください。

津田さん「かなり遠い将来になるかもしれませんが、日本酒の酒蔵を持つのが夢です。やはり我が国日本で、日本のお米を使って作る美味しい酒ということで、自分たちオリジナルの日本酒が強力な武器になると考えています。リーフさんに協力していただいて作ったブレンド日本酒はその第一歩目ですね!」

—それはすごいですね、楽しみにしています。本日はありがとうございました!

店を訪れるインバウンド客からも日本酒は大いに関心を持たれていて、ワインと共に日本酒を和牛に合わせて飲まれる方は多いそう。なかでもオリジナル日本酒『豊京和園 FUKYOWAON 』は、店主の津田さんのブレンダーとしてのセンスの良さも相まって、想定以上の人気ぶりで早くも予定数を売り切ってしまいそうな勢い。今後『雫』『華』『楓』の3種類が揃ったら、コースの流れと合わせた一皿ごとのペアリングも体験してみたい。

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ライター・唎酒師 藤田えり子
大阪の日本酒専門店に世界を広げていただき、さまざまな日本酒や酒蔵に出合う。好きな日本酒は秋鹿、王祿ほか
お酒以外の趣味は鉱物集めとアゲハ蝶飼育。

和牛料亭 bungo 祇園

和牛料亭 bungo 祇園

住所
京都府京都市東山区新橋通大和大路東入ル本吉町56
TEL
050-3091-6677
HP
https://wagyuryotei-bungo.com/gion/
営業時間
12:00~14:00、17:00〜20:30(予約可能時間)23:00閉店
定休日
不定休

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