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[五十家グループ]が行く!
野菜に合う日本酒探しの旅 ~岐阜県/中島醸造~

京都で野菜メインの居酒屋を展開する[五十家グループ]の3名が岐阜県/中島醸造への蔵見学に密着。日本酒に取り組む想いや日本酒の選定、オリジナルブレンド日本酒の構想などを聞いた。

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「旬の採れたて野菜をおいしく食べる」をコンセプトに、京都市内で” 11店舗出店する[五十家コーポレーション]。連日大盛況の店舗では野菜料理に合わせドリンクの提供にも力を入れている。京都の3つの酒蔵の協力のもとに実現したブレンド日本酒[Assemblage Club(アッサンブラージュ クラブ)]では野菜専⽤⽇本酒「なつゆ」をオリジナルで製造。また個人や飲食店、企業が小ロットで日本酒を作ることができるスポット[My Sake World]でも各店長がブレンダーとなりレンド日本酒を製造し各店舗で提供している。

今回は[五十家グループ]の副社長 奥良太さんと[五十家]店長 宮國涼太郎さん、[炭棲堂]店長 木瀬太一さんが岐阜県[中島醸造]へ蔵見学。
日本酒に対する想いや考え、今後店舗で仕入れる日本酒の選定、オリジナルブレンド日本酒の構想などをインタビューした。

[五十家グループ]にとって日本酒とは?

左より中島醸造株式会社 蔵元 中島修生さん、五十家グループ/炭棲堂 店長 木瀬太一さん/副社長 奥良太さん/五十家 店長 宮國涼太郎さん

-五十家グループにとって日本酒とは?

奥さん「『五十棲』『おにかい』は出汁を使った料理が多いので日本酒は押しています。他にも京都駅八条口の『炭棲堂』に関しては専用の熱燗台もあるので熱燗に力をいれていきたいと考えています。お酒のセレクトは各店舗の店長が料理に合わせてや季節などで選んでますね。」

-酒蔵見学は行かれますか?

奥さん「ワイナリーなどは行きましたが、酒蔵は数えるほどです。今回とても楽しみにしています」

野菜専用日本酒「なつゆ」

-五十家グループでは[Assemblage Club(アッサンブラージュ クラブ)]野菜専用日本酒「なつゆ」を製造いただきました。感想はいかがですか?

奥さん「野菜に合うというコンセプトなのでお客さんにアプローチしやすいです。お客さんも理解して飲んでいただくので満足していただいている印象です」

-ブレンドするということに関しては?

奥さん「最初は蔵を超えてのブレンドは世間一般でもどうなのかな?という感じはありましたが、新しい価値として受け入れられていますね。」

-「My Sake World」でブレンド体験をしていただく予定ですがどのようなお酒を作りたいですか?

奥さん「ざっくりですが、熱燗に合うお酒など考えています。熱燗にあまり詳しくないので、どんな感じがいいのか中島醸造さんに聞いてみたいです。中島醸造さんの日本酒は旨口のお酒と聞いているので楽しみです」

酒の恵は大地にあり

[中島醸造]は1702年、岐阜・瑞浪の地で創業。地元で築いた歴史を礎に日本酒の新境地にも果敢に挑み続けている。2000年には新銘柄「小左衛門」を立ち上げ。酒米にも注力し、地元産の酒米を育成するほか、選び抜いた多種類の酒造好適米を用いて、さまざまなタイプの酒を醸している。

蔵見学の前に、酒米の田んぼと土壌の歴史を学ばさせてもらった。

中島さん「市内の3つの農家さんと協力して、食用米と酒米を栽培しています。この田んぼが『酔むすび』という酒米です。茎をかじって食べてみてください。」

奥さん「とうもろこしみたいです!」

中島さん「岐阜県を押して開発された酒米で、でんぷんが凝縮しているので甘いんですね。米の中の『心白』と呼ばれる部分が小さく精米しやすいのが特徴です。今食べてもらった幼穂(ようすい)の時の味を見る限りきれいな感じのお酒にしようかなと思っています。」

「土作りにもこだわっていまして、もみがら、米ぬか、牛糞、酒粕をまぜた肥料を使ってるんです。酒粕を使う事によって高い発酵を維持するので草の種がなくなり、除草剤の量が少なくて済みます。また発酵期間も長いため、微生物がたくさん関与し豊かな土壌を育みます」

-お酒にはどのように影響しますか?

中島さん「きれいなお酒。後味がクリーンに出来上がってくると感じています。ここに至るまでに通常の栽培方法、減農薬、有機栽培、無農薬の4つの土を同じ品種、同じ場所で栽培した結果、無農薬や有機栽培は後から透明感ある旨味が感じられます。」

水は屏風山の伏流水を仕込水に使用しており、はるか昔は海だった地層を巡ってくる水はやわらかくミネラルのある水質が特徴。 恵まれた土地と水、米の特徴、双方の個性を活かした酒造りは様々料理に合わせられる食中酒をテーマに、香りがあるもの、旨みがあるもの、キレがよいもの、熟成酒、貴醸酒など幅広い味わいに挑戦している。

徹底した温度管理

蔵見学では2018年より新しくなった冷蔵設備を見せてもらった。以前は半分屋外で醸造していたそう。

中島さん「完成したお酒は10度で瓶貯蔵やサーマルタンクで保管しています。一番古いものだと10年~12,3年。5年以上のものとブレンドして味を調整しています。熟成酒のステージはまだまだですが、頑張って取り組んでいきたいですね。生酒などはマイナス6度の氷温庫で保管しています。麹室の温度は30度前後、湿度も30%程度で管理しています。発酵が完了すると10℃で保管します。」

冷蔵設備、衛生管理は徹底しつつも、香りや旨味を出したい時は昔ながらの作業も行うという。
商品のコントロールができるからこそ、お酒と向き合うことも忘れてはいない。

伝統の生酛づくりや再仕込み貴醸酒、特殊装置を用いた直汲なども手がけている。安定した商品はもちろん、バリエーション豊富なラインナップが楽しめるのも大きな魅力。近年ではヨーロッパを中心に海外40カ国以上と取引があるというのにも驚いた。

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中島醸造
岐阜
♯酒蔵♯岐阜

五十家グループの料理に合わせたい日本酒

見学の後はズラリとならぶ商品の説明と試飲をさせてもらった。

中島さん「試飲していただくと分かりやすいと思いますが、銘柄によって味が違います。使っているお米が違ったり、仕込みの仕方が違います。本日見ていただいた田んぼの地元産のお米を使用しています。」

-中島醸造さんで取り組んでいる最近の傾向の日本酒はなんですか?

中島さん「最近の傾向は甘めで、旨味があり口当たりが滑らかで後味が軽いものが好まれています。」

奥さん「山廃無濾過本醸造原酒!これは美味しいですね」

中島さん「濃厚で個性豊かなんですね。インパクトがあるし記憶に残りますよね」

奥さん「これを燗にしたら面白い!」

中島さん「ジンジャエールと割ると、焼きや焦げ臭などと非常に相性がいいです。ドライのジンジャエールがおすすめですよ」

宮國さん「つくねとかと合いそう!試してみたいです!」

普通酒の再仕込貴醸酒※年数違い (左より黄麹使用、右は白麹使用)

中島さん「普通酒の再仕込貴醸酒(写真左)も濃厚です。仕込みを3回して甘味やアミノ酸を増やしています。色が淡い方が半分白麹を使用しており爽やか、濃い方が黄麹を使用しており蜂蜜のように濃厚です。」

木瀬さん「貴醸酒も野菜料理に合いそうですね」

中島さん「リキュールのカボスもおすすめなんです。酸味が心地よくグリル料理と相性がいいです。トニックウォーター割りもおすすめ、レモン系よりオレンジ系のトニックだと1:1で割れますよ。イベントをするとカボスは大人気です」

「梅酒もいいですよ。温野菜とか豚肉など軽いものと相性がいいと思います。フレンチなどでは鶏肉の香り漬けに使用したり、ソースに使用したりして出されています。シャーベットなどにしても上品でいいですね」

宮國さん「飲みやすいですね」

-これからチャレンジしたいことはありますか?

中島さん「小左衛門山廃本醸造無濾過原酒のその年できた生酒を出そうと思っています。後は有機米での酒造り、有機米の味わいの違いを表現したいですね」

-試飲されて印象に残ったお酒はありますか?

奥さん「特別純米 信濃美山錦は使い勝手がいいですね。燗でも冷やでも行けるので、山廃本醸造無濾過原酒とブレンドしてみても面白いかも!色々試してみたいと思います。」

中島さん「これから色んなこと提案したいし挑戦したい!飲食店さんは隣の店と違うお酒を出すのではなく、自分の料理に合う日本酒を置いてほしいです。お客さんの満足度が違うと思いますよ。」

奥さん「とても勉強になりました!店に帰って色々とチャレンジしてみます!本日はありがとうございました。」

五十家グループの野菜料理に合わせる小左衛門が飲めるのはもうすぐかもしれない。
新たなブレンド日本酒の構想も乞うご期待。

文:Sake World編集部

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中島醸造

中島醸造

創業
1702年
代表銘柄
小左衛門、始禄
住所
岐阜県瑞浪市土岐町7181-1 Googlemapで開く
TEL
0572-68-3151
HP
https://kozaemon.jp/
営業時間
8:00〜17:00
定休日
土・日曜、祝日休

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